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“創る”を“共に” 福岡の未来をひらく
産学官 知の融合 “創る”を“共に” 福岡の未来をひらく ②
福岡県の産学連携を強力に推進するのが、企業支援機関だ。開発や事業化を後押しする豊富なノウハウと実績を備え、さまざまな連携に大きな成果をもたらしている。社会のニーズや課題が多様化、複雑化し、単独での取り組みで成果を上げることが難しくなる中、その役割は大きい。
北九州産業学術推進機構(FAIS)/学研都市で半導体産業を振興
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クリーンルームの体験実習などを通じて人材育成にも取り組んでいる
北九州産業学術推進機構(FAIS=フェイス)は、北九州市若松区の北九州学術研究都市(学研都市)において、産学連携による新事業創出の支援を行っている。学研都市は理工系の1学部4大学院が一つのキャンパスに集積し、半導体の設計から評価までの研究開発機能を有した施設も備えている。
FAISは北九州市とともに、同市域の半導体産業の振興を目的に「北九州半導体ネットワーク」を運営しており、2025年5月現在、120社以上の企業が加盟している。
同ネットワークでは企業間マッチングや交流イベントなど「販路開拓」のほか、クリーンルームの体験実習や半導体基礎講座などの「人材育成」など、さまざまな取り組みを進めている。
飯塚研究開発機構/地域のリーディング産業を育成
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IoT導入実践講座
飯塚研究開発機構(福岡県飯塚市)は筑豊地域における新産業・新技術の創造支援拠点として企業の研究開発支援や人材育成などを展開している。
モノづくり企業の発展のためコーディネーターを配置し、技術課題の解決や技術高度化、新技術・新製品の開発から事業化まで企業に寄り添ってきめ細かく支援する。
また、モノづくり企業の中核を担う人材の育成・確保を支援するため3次元設計、金型、めっき、生産・品質関連の講座を実施。さらに、中小企業の現場技術者を対象に、デジタル化に向けた知識の習得および現場に則したカイゼンセミナーやIoT導入実践講座などを実施することで、モノづくり中小企業のデジタル化人材を育成し、地域のリーディング産業を育成する。
九州オープンイノベーションセンター/九州・大学発ベンチャー振興会議、事業化支援
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2月に開催された第9回九州・大学発ベンチャー振興会議
九州オープンイノベーションセンター(KOIC、福岡市博多区)は、九州一円を活動エリアとする産業支援機関として、多岐にわたる事業を展開している。
活動の一つとして「九州・大学発ベンチャー振興会議」の事務局を九州経済連合会、FFGベンチャービジネスパートナーズ(同中央区)と共に務める。
このほか、次代を担う「ネクストリーダー塾」の開催など人材育成にも力を入れている。
同会議では、大学発ベンチャー創出のため、会員が大学の研究にギャップ資金(1口50万円)を拠出して研究成果の事業化を支援する。アントレプレナーシップの醸成にも注力しており、趣旨に賛同する会員は年々増加している。
福岡県産業・科学技術振興財団/福岡半導体リスキリングセンターで講座
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ふくおかISTが運営する支援施設(イメージ)
福岡県産業・科学技術振興財団(ふくおかIST、福岡市早良区)は、技術開発や人材育成支援による成長産業の創出や育成を行う。国や県、民間の資金などを活用し、これまでに900以上の研究開発プロジェクトを支援しており、中小企業庁の「Go—Techナビ」では、全国130支援機関中、支援実績第5位、事業化実績第3位である。
半導体業界に精通したアドバイザーが取引拡大や技術向上の助言を行うほか、半導体製品開発を支援する。
「福岡半導体リスキリングセンター」では、企業ニーズに基づいて半導体を作る側と使う側で講座体系を分類。入門から上級編まで「対面」「オンライン」「eラーニング」で多数の講座を提供し、開設から約2年で1万人以上が受講している。
久留米リサーチ・パーク/バイオ産業創出へ研究開発から販路開拓まで
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インキュベーション施設など支援が充実している久留米リサーチ・パーク
久留米リサーチ・パーク(福岡県久留米市)は、福岡県、久留米市と連携し、バイオ関連産業を集積させる取り組みを推進している。その取り組みが評価され、2021年に国から「地域バイオコミュニティ(福岡バイオコミュニティ)」に認定。「創薬」「再生医療」「バイオものづくり」「機能性表示食品」などの研究開発、実証事業に加え、インキュベーション施設提供、投資環境の整備、人材育成、販路開拓など一貫したベンチャー育成支援を進めている。
また、近年は、福岡においても民間資本の支援組織参入やインキュベーション施設建設などが進んでいることから、これらとも連携しながら、バイオ関連企業が成長、発展できるエコシステム構築への取り組みを進めている。
福岡県中小企業振興センター/自動車サプライヤーに電動化対応を支援
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貸し出しにも対応するEVの分解部品
福岡県中小企業振興センター(福岡市博多区)は、自動車サプライヤーの取引拡大や競争力強化に向けた取り組みを進める。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)と呼ばれる技術革新で電動化分野への支援が急務となる中、経済産業省の「ミカタプロジェクト」の委託を受け、2022年7月、九州地域の支援拠点「自動車関連企業電動化参入支援センター(電動化センター)」を設置した。
電動化センターでは、セミナーなどを通じた自動車産業に関する最新情報の紹介をはじめ、実物の電気自動車(EV)パーツの常設展示・貸し出し、自動車に関する豊富な知見を持つコーディネーターによる相談対応、自動車サプライヤーのさまざまな課題に応じた専門家派遣などをすべて無料で提供する。
