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福井のグッドカンパニー2024
新幹線がいよいよ福井県にやってくる。16日に北陸新幹線の金沢―敦賀(福井県)間が延伸開業する。経済活性化や交流人口増加の契機と捉える福井県では「100年に1度」の好機逸すべからずと、観光客やビジネス客の受け入れ態勢整備が急ピッチで進む。県内では北の玄関口となる芦原温泉駅(あわら市)、福井駅(福井市)、越前たけふ駅(越前市)、敦賀駅(敦賀市)の四つの新幹線停車駅が誕生。首都圏との時間距離や心理的距離などが縮まることから、地元産業界の期待も膨らんでいる。
福井のグッドカンパニー2024 「かがやき」つながる①
宇宙関連に期待/セーレン
―売上高の6割を占める車輌資材事業の見通しは。
「2023年度は中国の落ち込みが激しいものの、それ以外の地域が好調で、トータルではプラスで推移している。今期から中国のEV(電気自動車)メーカーへの提案を強化してきた。その成果が24年度は大きく表れる」
―本革を超える耐久性や軽さなどが特徴で環境に優しい合成皮革「クオーレ」の販売が好調です。今後の戦略は。
「タイとメキシコで約60億円を投じ、各既存工場敷地内に新棟を建てて生産ラインを増設する計画だ。北米向けに供給するメキシコは26年度、アジア向けのタイは27年度にそれぞれ稼働させ、グローバルでの生産能力は現状比13%増を見込む。また、さらなる環境対応として植物由来素材の比率を高めた製品を24年度中に投入したい」
―2月に打ち上げられた新型基幹ロケットに、開発製造した超小型人工衛星「TIRSAT」が搭載されました。
「これまで衛星の開発や設計、製造が中心だったが、今回は打ち上げ後の全体運用も手がける。当社は超小型人工衛星の日本におけるハブを目指しており、そのための第一歩となる。『衛星を使ってこんなサービスがしたい』といったアイデアのあるユーザーと一緒にビジネスができる」
―新幹線が福井に来ます。
「今秋に福井の企業連合で衛星を打ち上げる計画がある。福井を日本の宇宙産業拠点にしたいという思いに加え、この取り組みで人材を呼び込みたい。宇宙関連企業は関東圏に多く、東京―福井間が移動しやすくなるのは大きい」
操作性改善に注力/松浦機械製作所
―5軸制御のマシニングセンターを中心に自動化・無人化製品を展開しています。2024年12月期の見通しは。
「23年は潤沢な受注残を抱えてスタートしたものの、足元の引き合いはなだらかに落ちている。踊り場に入ったと感じるが、24年にすごく落ち込むということはなく底堅い印象だ。24年後半に回復が見込まれる半導体関連など、期待できる業界もある。当社としては仕掛品を持っておき、リードタイムを短くして短納期対応できる体制を整える」
―開発の方向性は。
「操作性の改善に注力しており、特にソフトウエアの使い勝手を良くしている。昨秋、オペレーションシステムを約10年ぶりに刷新した。今までなら何度もクリックして画面を呼び出していたのを、一つの画面で見られるようにしたほか、人的な確認作業をできるだけ自動化した。5軸制御マシニングセンターから始めて対応機種を増やしており、さらに拡販したい。自動化に各メーカーが取り組んでいるが、本当に自動・無人で動かすのは相当ハードルが高い。実現には『機械を使うプロ』である顧客先へ出向き、彼らからヒントをもらうことだ。『機械を作るプロ』の我々がそれを具現化する。そういう循環を回していきたい」
―新幹線が福井に来ます。
「関東圏へのアクセスが良くなることで顧客に来社してもらいやすくなる一方、リクルート面では人材の流出を懸念している。県外から来てもらえるような魅力ある会社にしないといけない。SNS(会員制交流サイト)を中心に情報発信に力を入れている」
ロボット密度20%目指す/アフレル
―独自開発のロボットシステムパッケージで中堅製造業の自動化を支援する新規事業に力を入れています。
「2030年の製造業におけるロボット密度(従業員1万人に対して稼働する産業用ロボットの数)20%を目指している。協働ロボットによる自動化ソリューションパッケージの開発では、生産現場の自動化率向上と導入・運用のしやすさを追求。最短2カ月の短納期、低コスト、操作性の良さ、内製化を進める運用教材の4点にこだわった。日本のロボット密度は約4%。人手不足対応、生産性向上へのデジタル変革(DX)化、現場の負荷軽減と収入増、収益増へ同密度の向上は必須。製造業の明るい未来を目標に人材と技術を拡充していく」
―先進技術、ロボティクス教材を用い、次世代人材の教育支援サービス事業を企業や学校などに展開しています。
「自動車業界をはじめ、多くの分野で機械・電気からソフトウエアへの人材シフト要請が増えた。人工知能(AI)といった先端技術、データ分析、システム開発のプロセス理解、開発言語習得などでリスキリング含む企業エンジニア育成に積極対応している。30年後の明るい未来社会づくりでは、教育機関向け『ロボティクス+ソフトウエア』の教材で高等教育向けを中心に小中学生含め、『AIをつかう、から、AIをつくる人材』育成にも心血を注ぐ」
―新幹線が福井に来ます。
「人的交流とビジネス連携の増加が期待でき、30年に現在の事業規模10倍化を狙う。地域産学官連携で100年に一度のチャンスに挑戦する」