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福井のグッドカンパニー2024 「かがやき」つながる②
EHD分野に注力/日華化学
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日華化学社長 江守 康昌 氏
―界面科学と毛髪科学を基盤技術とし、繊維加工用薬剤や樹脂原料、業務用クリーニング薬剤をはじめとした化学品事業と、ヘアケア剤やヘアカラー剤などの化粧品事業を展開しています。
「2024年度は両事業とも23年度比で増収増益を見込んでいる。23年度は上期に、欧米でのアパレル製品の在庫調整や中国の工場稼働率低下などで、主力の繊維加工用薬剤が伸び悩んだ。一方、下期からは市況が一部で回復。半期ベースでは過去最高水準の売上高だった。成長の柱である化粧品事業は、顧客の美容サロンなどで来店客が減った影響があるものの、新ブランド拡販で堅調に推移した。24年度は化粧品事業でのシェア拡大に加え、化学品事業での不採算製品の統廃合により、さらなる成長を目指す」
―EHD(環境、健康・衛生、先端材料)分野を成長領域と位置づけ注力します。
「EHD分野は社会の持続的成長に欠かせない領域で、同分野への転換を加速している。例えば、化学品事業では半導体向け材質加工用薬剤をグローバル展開する。同薬剤は使用済み廃液を回収・リサイクルできるのが特徴。引き合いも多く、国内だけでなく、グローバルの需要も取り込む」
―新幹線が福井に来ます。
「北陸新幹線延伸により、福井から長野や富山に行きやすくなり、それらの地域で新たなビジネスチャンスが生まれることを期待している。ただ、同新幹線は大阪までつながって、はじめて真の価値が生まれると考えていて、一日も早い延伸を期待している」
クラッドメタルで貢献/武生特殊鋼材
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武生特殊鋼材社長 河野 通郎 氏
―高級包丁や工業用刃物向けの素材として、複数の異種金属を冶金的接合したクラッドメタル、オリジナル刃物鋼などを展開しています。
「2023年度の業績は悪くはないが、思った以上の伸びを期するのは難しそうだ。日本製包丁の評価は高く、海外でも広く使われているが、インフレ下の欧州経済停滞などが響く。米国や中国、東アジアにも不透明感は漂っており、景気に左右されない体制づくりを進めていく。10月に70周年を迎える24年度の市況は大きくは変わらないとみる。インバウンド需要も強く、売上高20億円超を3年連続で安定達成することを目指す」
―25年度からの次期〝10年ビジョン〟を策定中です。
「社内幹部で議論を深め、24年度内に打ち出す。今言えるのは〝クラッドメタルでモノづくりや社会生活に貢献する〟ということ。本社工場(福井県越前市)で新工場棟が25年春に稼働予定。熱間圧延ラインを増設し、従来より幅が広い鋼も扱える。クラッドメタルは低コストで必要部位の高強度化や耐食性向上などが行え、機械工業、精密分野、航空宇宙、自動車、医療など、金属関連の多くの〝困り事〟解決に貢献できる。新棟を機に刃物業以外への提案も本格化し、需要をかき立てていく」
―新幹線が福井に来ます。
「アクセスがしやすくなる首都圏には企業などの研究開発部門が多く、アプローチしやすくなる。越前市は打刃物産地。新工場棟は〝魅せる工場〟にもでき、稼働日は産業観光の受け入れも可能。将来は材料の良さの体感や技術発信の拠点にもしていきたい」
顧客接点増やし事業機会創出/福伸工業
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福伸工業社長 玉田 康二 氏
―溶接技術を強みとし、納豆を炊くための業務用大型圧力釜といった食品加工用圧力容器や、食品加工自動化ラインのフレーム、水や化学薬品、溶剤の貯蔵向け大型タンクなどを手がけています。
「コロナ禍からの市況回復や関東圏での顧客開拓などが奏功し、売上高が順調に伸びている。新型コロナウイルス感染症が拡大した際、主力市場の食品業界では顧客の設備投資が落ち込み、売上高が減少した。ただ、その間に関東圏を中心に顧客開拓を実施。グループ会社で地下タンクなどを手がけるタマダ(金沢市)と連携した営業活動により、化学薬品や溶剤を貯蔵する大型タンクの受注も増やした。現在、食品業界の設備投資も再開しつつあり、従来事業の売上高に新規顧客や非食品分野での売上高が上乗せされ、大きく伸長している」
―中長期の成長戦略は。
「2019年に稼働した関東工場(栃木県鹿沼市)では29年までに製造人員を現状比2・5倍にする。本社工場(福井県あわら市)だけでなく、関東工場でも顧客へ納めた装置のメンテナンス業務を始めるため。顧客接点を増やし、新たな事業機会創出にもつなげる。受注拡大を念頭に外注比率を高める方針で、パートナー企業を探している。新事業としてプラズマ技術関連の研究開発も進めている」
―新幹線が福井に来ます。
「事業拡大につながる直接的な機会はまだ見えていないものの、北陸新幹線の延伸で観光業が盛り上がれば、当社の顧客である食品やお土産品メーカーが潤い、設備投資需要の増加も期待できる」
多様なニーズに全方位で準備/エイチアンドエフ
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エイチアンドエフ社長 山田 烈史 氏
―自動車業界向け大型プレス機械などの2024年度の事業環境や見通しは。
「23年度は受注・売上高ともにコロナ禍前の200億円レベルまで回復した。24年度も23年度と同等の受注状況を見込む。足元で大型プレスの更新需要があるほか、EV(電気自動車)やHV(ハイブリッド車)といった各種電動車は多様な作り方があり、変化の時代には一定の需要が続く。ただ、メキシコを含む北米は投資に勢いはあるがEV化の流れは減速気味。中国も日本車は低調ながらも重要市場であることに変わりはなく、インドにも期待している」
―24年度の戦略は。
「アフターサービスは、コロナ禍で中断して23年から再開した各国への巡回営業を継続する。老朽更新だけでなく、機能向上提案も積極的に行う。中国・インドは現地の同業者と協業して販路拡大やサービス力を高める。中国は国産品が優遇され単独では攻めにくく、インドはコスト競争力や情報収集などが必要だ」
「製品面は、自動車骨格部品である内板のハイテン(高張力鋼板)化が進んでおり、当社ではトランスファープレス機の加圧能力アップにも対応可能だ。EV関連プレス機の開発にも注力し、トランスファープレス機で高生産性を実現する機種を24年度中に市場投入したい。多様なニーズに対して全方位で準備を進める」
―新幹線が福井に来ます。
「新しいJR芦原温泉駅に直結する複合施設のホールで創立60周年記念式典を計画しており、地域経済の発展や活性化に協力していく」