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「フクイノベーション」福井のグッドカンパニー2025
福井のグッドカンパニー①
フクビ化学工業 社長 森 克則 氏/ジャンプアップにはM&Aも
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フクビ化学工業 社長 森 克則 氏
ー売上高の6割強を占める建材事業の見通しは。
「日本は新築や一戸建て住宅向けだけにフォーカスすると厳しいが、中古住宅・リフォームや倉庫、工場、学校、病院などの非住宅も含むと成長市場。特に首都圏で顕著だが、住宅価格が高騰する中、“駅近”などの利便性を追求して中古住宅を購入し、リフォームする動きが急増しており、対応していく。製品では断熱材『フェノバボード』を中心とした断熱改修需要も旺盛。法改正も追い風で、高い断熱性能を求める流れをしっかり捉えていく」
ー2027年度までの5カ年の中期経営計画の進捗(しんちょく)は。
「25年度の売上高はほぼ計画通り。ただ中計最終目標の売上高450億円へのジャンプアップには、M&A(合併・買収)も必要と思っている。注力する再生木材などの環境配慮型商品は、当社グループで工事まで手がけるケースも多い。地場産の木材を使ってほしいというニーズが増えており、バリエーションを増やし、工事を含めた品質を前面に出して受注を伸ばしていく。一方、海外は米国の住宅産業が“超”がつくほどの成長市場で、日系ハウスメーカーも進出している。当社も現地企業との協業や資本参加、M&Aも否定せず、事業成長に結びつけていきたい。すでにオハイオ州に拠点を持つが、需要地近くでの展開も検証する」
ー車載部品などの状況は。
「訪日外国人などの観光需要を背景に増えたバス向け部材が伸びている。反射防止材は車関連に加え、医療用モニターやゲーム機などでもスペックインが順調に進んでいる」
日華化学 社長 江守 康昌 氏/技術力でEHD領域拡大
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日華化学 社長 江守 康昌 氏
ー事業環境は。
「2024年12月期は売上高、利益ともに過去最高だったが、良いところも、厳しいところもあった。(繊維用薬剤などの)化学品事業は中国やベトナムなど海外でのビジネスが収益に貢献した。化粧品事業はインフレに賃金上昇が追いつかず、美容院の利用者の来店回数が減り、サロン専売ヘアケア製品が苦戦したが、高級価格帯の製品やメンズブランド製品が伸びた。ただ、戦略的な営業職の増員が利益に影響し、同事業は増収減益だった」
ー化学品事業では環境、健康・衛生、デジタルの英語の頭文字を取った「EHD領域」の製品を伸ばす方針です。
「社会から求められ、利益率が高いEHD製品の拡販は“一丁目一番地”。特に今年はフッ素フリーの撥水剤と、溶剤を使わない水系ウレタンの2製品を大きく伸ばす。100回洗濯しても撥水(はっすい)性を保つフッ素フリー撥水剤は当社の技術でしかできない製品だ。溶剤系のウレタンは環境規制がかかり、水系への移行が世界のトレンド。競合他社もあるが、当社は水系ウレタン開発の歴史も長く、白色のカーシート用合成皮革に使える製品など、バリエーションも多いので、優位なポジションにある」
ー化粧品事業の戦略は。
「27年に稼働する新工場は既存工場では難しかった自動化を進め、人時生産性を1・5倍に高める。外注比率を下げるためにも、生産体制をしっかりと整える。営業職の増員はサロン専売ヘアケア製品の特徴を美容師に理解してもらい、販売を伸ばすための先行投資。2年後には業績に貢献してくる」
エイチアンドエフ 社長 山田 烈史 氏/変化ある所に商機あり
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エイチアンドエフ 社長 山田 烈史 氏
ー自動車業界向け大型プレス機械が強みです。
「事業環境は米トランプ政権の誕生や、関税リスクの高まりなどで先行き不明感が増している。自動車業界では大手メーカーの経営統合計画が破談になり、国内金利の上昇などから、顧客の設備投資動向を見極めるのも難しい。ただ、変化のある所に商機もあると認識している。自動車の電動化の流れには全方位的に準備し、車の作り方の変化に対応する。例えば、自動車の燃費向上や電動化には、高硬度で薄肉化が可能なハイテン材を使った車体の軽量化が不可欠。この加工には加圧能力が高い大型プレス機が必要で、当社の強みが発揮できる」
ープレス機械の保守、修理、改造、移設などのサービス事業に注力しています。
「事業は好調に推移しており、今年、保守・修理パーツを一時保管する倉庫を増床する。既存スペースだけでは手狭になっているため、増床でさらなる需要に備える。サービス事業は収益率が高く、業績が落ち込んだコロナ禍であっても、一定の需要があった。早期に売上高へ占めるサービス事業の比率を高めたい」
ー金属加工機械大手、アマダのグループに入ります。
「アマダは板金機械や工作機械などの開発・製造、販売、サービスが主力事業で、規模が大きい。グループ入りすることで、仕入れる情報量や顧客が格段に増え、プレス機関連の売上高も単純合算で約2倍になる。両社が取り扱うプレス機は異なり、今後、それぞれが持つ技術、販売・サービス網を相互活用することで、さらなる成長を目指す」
武生特殊鋼材 社長 河野 通郎 氏/来月新工場、多能工化を推進
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武生特殊鋼材 社長 河野 通郎 氏
ー2025年度からの中長期での事業の方向性は。
「14年に打ち出した10年後の目標“10年ビジョン”で掲げた売上高20億円(14年は約12億円)、新鋼種開発、工場新設は達成し、4月に新工場が稼働する。一方、従業員の多能工化や異業種展開の取り組みは道半ば。継続して取り組みを進めていく。担当業務の前後工程を知れば、今の仕事へフィードバックもできる。多能工は異なる視点で物事が見られるようになり、人としての成長も促せる。次のビジョンは30年3月期までの5カ年で策定を進めており、新鋼種や新工場をうまく活用し、これまでと同様の伸び率で売り上げの成長を図っていきたい」
ー異種金属を冶金的に接合したクラッド材、独自の刃物鋼が主力です。市況環境は。
「インフレで刃物製品の値段は上がったが、高級包丁をはじめ、高品質で世界から評価される日本製は厳しい財布事情の中でも選ばれる存在。国内向けの刃物鋼は24年度も堅調だ。一方、景気減速の東アジアや欧州は生産需要の低迷で輸出が厳しい。ただ、米国大統領が決まるまでの様子見ムードは一変し、25年度はいろいろと動きだすことが期待できる。過去を踏まえれば、海外は生産需要が上がり始めると、一気に跳ね上がる傾向にある。新工場をうまく活用する」
ー異業種展開の方向性は。
「クラッド材は耐久性、耐食性、熱伝導性、柔軟性といった顧客が求める機能を付与でき、機械や精密分野などをはじめターゲットは幅広い。産学連携で開発したチタンクラッド材は航空宇宙や医療分野などへ提案し、業容を広げていく」