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震災の記憶を風化させない
災害時のトイレ対策
災害が発生した直後、被災者が直面する想定外の危機の一つは「トイレの使用不能」だ。断水や停電によって水洗機能が停止し、行き場を失った排せつ物があふれかえる。過去の災害現場で繰り返されてきた「トイレパニック」が、今後発生が予想される首都直下地震や南海トラフ地震でも懸念されている。
災害現場で懸念される「トイレパニック」
平時において排せつ物は、トイレから下水道を通して下水処理場へ運ばれ、微生物による分解や化学的処理を経て浄化・放流される。しかし、ひとたび災害が発生し、水洗トイレが機能しなくなると、排せつ物の処理が滞る。被災地では水洗機能を失った便器が汚物で満杯になり、極めて不衛生な状態に陥りやすい。
トイレは不特定多数の人が使用し、ドアの取っ手や便座、洗浄レバーなど同じ部分に触れるため、接触感染が起きやすい。汚物が放置された状態が続くと、夏場は害虫の発生を招く。また、避難所などにおいて不便で不衛生なトイレの使用をためらい水分摂取や食事を控えた結果、栄養状態の悪化や脱水症状、エコノミークラス症候群などの健康被害につながる恐れがある。
被災者の健康・尊厳守る
トイレ問題は多くの健康被害と衛生環境の悪化をもたらすだけでなく、不快な思いをする避難者を増やし、人としての尊厳が傷つけられることにもつながる。これらの課題を回避し、被災者の健康と尊厳を守るために、トイレを「命を支える社会基盤サービス」の一つとして捉え、平時から対策しておくことが求められる。
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災害時は1リットルの水で洗浄可能な「レジリエンストイレ」 -
排せつ物をフィルム内に密封する「無水・ラップ式トイレ」
家庭では携帯トイレや簡易トイレの備蓄、行政ではマンホールトイレ、仮設トイレなどの整備を行うことで、災害時における排せつ環境を確保しておくことが重要だ。また、避難所に適したトイレを備蓄し、運用方法について事前に検討しておくことも必要となる。
1月28日から30日までの3日間、東京・有明の東京ビッグサイトで行われた「防災産業展2026」(日刊工業新聞社主催)では、併催企画として「災害対応・快適トイレ展」が開催された。
強制開閉弁を採用し、平常時は5リットル、災害時は1リットルの水で洗浄可能な「レジリエンストイレ」(LIXIL)や、ボタン一つで便器内にフィルムを装填し、排せつ後に熱圧着で密封する「無水・ラップ式トイレ」(グローバルガーデン)、工具不要で組み立てることができ、使用後は可燃物として焼却処分が可能な「ほぼ紙トイレ」(スマイル・ブラザーズ・ジャパン)など多数の製品が披露され、会場には連日多くの来場者が訪れた。
災害はいつ起きるかわからないため、普段からの備えが重要になる。いざという時に戸惑わないよう、事前に使用方法を体験しておきたい。
