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第19回 キャンパスベンチャーグランプリ東北(CVG東北)
「第19回キャンパスベンチャーグランプリ(CVG)東北」実行委員会と日刊工業新聞社、東北地区3産業人クラブは2023年12月19日、仙台市内で最終審査会を開催した。審査の結果、最優秀賞をはじめ5組の入賞者を決定。2月6日、東北3産業人クラブの新春講演会などと同時に行う表彰式で代表者に賞状と賞金、記念品が贈られる。
入賞者決定―1―最優秀賞、特別賞・東北経済産業局長賞
最優秀賞に高橋さんら CVG全国大会に出場
東北6県の学生によるビジネスプランコンテスト「CVG東北」の今大会には、大学・高校専攻科7校から15件のエントリーがあり、予備審査をくぐり抜けた5組が最終審査に進出。審査会当日、各組の代表者らが登壇し、7分間のプレゼンテーションと8分間の質疑応答に臨んだ。
公的研究機関や産業団体を含め官民を代表する審査委員8人が出席。質疑応答では制限時間ギリギリまで学生との間で突っ込んだやりとりが交わされた。審査委員からの鋭い指摘に素早く答える力も試された。また、今年から協賛・後援企業や産業人クラブ会員の代表者もオブザーバーとして列席。学生の真剣な姿に熱い視線を送った。
最優秀賞には事業構想大学院大学・高橋りなさんらのグループの「米粉を活用した新食品開発事業」を選出した。高橋さんらは山形県産米に同じく県産の米油を配合した栄養豊富な「米粉麺プラス1」を商品化。地元在住のベトナム人に実食してもらったり、車中泊の番組を投稿する地元出身ユーチューバーとタイアップしたり、ユニークな販売促進活動なども評価された。高橋さんは2月27日に東京で開催される全国大会へ出場する。
特別賞の東北経済産業局長賞には、弘前大学・佐々木慎一朗さんらのグループの「MediGO―NFTを用いたダイナミックプライシングで医療の待ち時間を適正に―」が選ばれた。一部の審査委員が最後まで最優秀賞に推すなど高い評価を得た。同じく特別賞の日刊工業新聞社賞には岩手大学・佐藤啓仁さんらの「農商工連携を効率化させるサービス『カンバンリンク』」が選ばれた。
さらに本審査に進んだ東北福祉大学・関沢奏汰さんらの「すぐチア」、および同大学・齋藤春菜さんらの「あなたの選択で未来を変えよう!~『みんなでつくる』サイクルで環境に優しい行動を~」にも奨励賞の授与を決定。プレゼンした全5組が受賞を果たした。
最優秀賞/米粉を活用した新食品開発事業
事業構想大学院大学 高橋 りなさん
山形県立米沢工業高等学校専攻科 澤 雅恭さん・戸屋 康介さん
人類が稲作をスタートした古代から現代まで食されてきた日本の代表的な主食である「お米」。現在は消費量が著しく減少傾向にあり、日本の食料自給率等に大きく影響を及ぼしている。その背景には社会情勢の変化から派生した食文化の多様化も一つの要因と考えられる。そのことは、日々の食事から摂取できていたはずの必要な栄養素を取りきれないなど、新たな課題を生み出しているのではないか。
そこで、日々の食事から必要な栄養素を摂取できる食品開発を行い、消費拡大のため新しい活用法や食事シーンを描き、最終的に「お米」の自給率等を向上させる提案をしたい。このプランは「お米を食べる」ことから多くの人々の健康に寄与し、また、地域の食材と組み合わせることで農業の6次化を促し、地域活性化の一助を担えるものと考えている。
特別賞・東北経済産業局長賞/MediGO-NFTを用いたダイナミックプライシングで医療の待ち時間を適正に-
弘前大学 佐々木 慎一朗さん・下倉 佑太さん・斎藤 遥斗さん
「病院の待ち時間は何故、なくならないのだろう」。この素朴な疑問から「MediGO」は生まれた。
私たちが病院に行くと、受け付け、診療、処方の順で受診する。各ステップの間には必ず待ち時間があり、それぞれをなくそうという努力を各自がしている。しかし、待ち時間はなかなかなくならない。何故だろうか? 答えは、既存の診療予約および医療事務システムが必ず人の手を介するからだ。
「MediGO」はスマートコントラクトを有したクリニック用の診療予約システムである。患者が順番待ちの受け付けをしてから診療に至るまで、誰の手や目に触れることなく自動的に診療案内が進む。また、患者が到着時間を前後させたとしても、待ち時間に冗長性を持たせていることもポイントだ。
我々は「MediGO」によって、医療人の行う医療行為の価値を最大化させていく。
ごあいさつ/新しい時代のリーダー目指し活躍を
今回で19回目を迎えましたCVG東北には、東北各地の大学・高校専攻科から15件のエントリーがあり、昨年12月開催の最終審査会にて、事業構想大学院大学・高橋りなさんのグループの最優秀賞受賞をはじめ5件の入賞者が決定しました。受賞された皆さんには心よりお祝いを申し上げます。
さて、猛威を振るっておりました新型コロナウイルス感染症も昨年5月の5類移行を契機に、ようやく収束に向かいつつあります。とはいえ、これまでの4年間、学生の皆さんは貴重な学生生活のほとんどをコロナ禍の下で過ごし、学業のみならず、課外活動や学校行事など、さまざまな対面活動が制限され、交友関係の構築などでも苦労を重ねられたことかと思います。
他方、この4年の間に我々を取り巻く社会環境は大きく変わりました。リモートワークの普及に伴うデジタル変革(DX)や「働き方改革」の加速、そして「ChatGPT」に代表される生成AIの普及といった人工知能の飛躍的な進歩などもあり、我々の意識や社会通念もコロナ禍以前から大転換を迫られております。
このような変革期に皆さんは、起業家精神・チャレンジ精神にあふれ、創造性豊かな感性で社会の課題解決に取り組む人材として本大会に挑戦して頂きました。皆さんには、新しい時代を牽引するリーダーとして活躍されることを祈念してやみません。応募プランを拝見しますと、地域資源を活用するなどして地元を活性化させようというアイデアが多く、非常に勇気づけられる思いです。人口減少と高齢化が全国で最も早く進むとされる東北地域において、若い皆さんが自らのアイデアや起業プランを地域社会に訴え、周囲を巻き込んでいくことの意義は非常に大きいものがあります。
我々も皆さんの活躍を少しでも応援するべく、行政、経済団体、大学など産官学を挙げた支援体制を整えております。今回受賞された皆さんが、この東北から日本を代表する存在として飛躍されることを切に願っております。このたびの受賞、誠におめでとうございます。