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第19回 キャンパスベンチャーグランプリ東北(CVG東北)
「第19回キャンパスベンチャーグランプリ(CVG)東北」実行委員会と日刊工業新聞社、東北地区3産業人クラブは2023年12月19日、仙台市内で最終審査会を開催した。審査の結果、最優秀賞をはじめ5組の入賞者を決定。2月6日、東北3産業人クラブの新春講演会などと同時に行う表彰式で代表者に賞状と賞金、記念品が贈られる。
入賞者決定―2―特別賞・日刊工業新聞社賞、奨励賞
特別賞・日刊工業新聞社賞/農商工連携を効率化させるサービス「カンバンリンク」
岩手大学 佐藤 啓仁さん・齋藤 朱里さん
私たちは現在、岩手県で農商工連携に取り組んでいる。取り組みの中の現体験として情報共有の効率化、連携の全体像の共有が課題点として挙げられた。スマート農業をはじめとした生産面の効率化が広まる半面、情報共有の効率化に向けたサービスの普及はまだまだ進んでいない―という現状があることを知った。
そこで、農商工連携に取り組む事業者向けのウェブサービスを考案した。具体的なサービス内容は、ウェブ内でテンプレート(カンバン)に最低限の5Wを記入するだけで、現在進行中の生産計画やガントチャートなどが自動生成・共有され、ユーザーはそれを一覧形式で確認でき、現状の農商工連携の全体像の把握が可能になるというものである。
今後、自分たちが農商工連携の当事者であることを生かし、現場でプロトタイピングを重ねながら開発していく予定である。
奨励賞/すぐチア
東北福祉大学 関沢 奏汰さん・佐藤 雅将さん・杉村 天都さん・横欠 碧海さん
昨年の国際大会において、各競技で日本代表は歴史的な快挙を成し遂げた。このような活躍による影響はすさまじく、多くの国民が勇気や希望といったものを受け取った。選手だけでなく、観戦者の応援も含め国民全体で盛り上げていったことが、昨年の歴史的な快挙に大きく影響したと考える。
そこで、私たちは応援グッズレンタルサービスで応援の質向上を目指す「すぐチア」を提案する。これはスマートロッカーを活用することで、効率的な応援グッズレンタルを目指すサービスである。
「すぐチア」ではダイバーシティーなサービスを考えており、応援のハードルを下げる。さらに、応援グッズの廃棄問題にも取り組む仕組みを考えている。今後、社会課題にも目を向け、多くの人がより良いファンライフを送れるようなサービスを考えていきたい。
奨励賞/あなたの選択で未来を変えよう!~「みんなでつくる」サイクルで環境に優しい行動を~
東北福祉大学 齋藤 春菜さん・鈴木 葵さん
我々は日常生活の一場面である道端にゴミが落ちている風景から着想を得て、ポイ捨てを抑制するバッグと環境に優しい行動を後押しするビジネスモデルを考案した。現在、地球が抱える多様な環境問題を我々が独自に作成する物語の世界に投影させる。物語に登場する主人公がさまざまなアイテムを利用して環境問題の解決へ立ち向かうというストーリーとともに、登場したアイテムを実際に製品化して提供する。
また、物語の制作においては主人公の行動内容を投票で決定するといった顧客参加型の仕組みを設けている。顧客が関心を持ちやすく、自主的に環境に優しい行動を起こすことを促すビジネスモデルとなっている。我々が顧客とともに作り上げる物語と製品は環境問題の解決にアプローチしたいと考える人の後押しとなり、その行動の輪は現状を変える一手になると考えている。
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東北福祉大学・関沢さんのグループは総勢4人の全員参加でプレゼンをこなした
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各プレゼンに対し、制限時間ギリギリまで審査委員からの活発な質疑が続いた
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審査委員からの鋭い質問に素早く回答する瞬発力も求められた
審査講評/問題解決への思い、挑戦する意志伝わる
19回目の開催となるCVG東北には、15件の意欲あふれる応募がありました。書面審査を経て選ばれた5件に対し、12月19日に仙台市内でプレゼンによる本審査が行われました。前向きかつ創意工夫がみられるものばかりで、興味深く、また楽しんで聞かせてもらいました。候補者の気づき、社会問題を解決したいという思い、挑戦する意志が十分に伝わってきました。
最優秀賞に選ばれた事業構想大学院大学の高橋りなさんらのグループは、山形県産米と米油を原料に「米粉麺プラス1」を商品化し、同県米沢市内の店舗や道の駅などで販売を開始しました。市内在住外国人への試食アンケート、離乳食・子どもの食育へ展開できるかの調査に加え、地元出身ユーチューバーとのタイアップといった積極的なマーケティング活動も評価されました。
特別賞には弘前大学の佐々木慎一朗さんと岩手大学の佐藤啓仁さんの両グループの提案が選ばれました。佐々木さんらは、医療サービス満足度に着目した診療のオンライン予約と病院の口コミのウェブサービスを提案しました。佐藤さんらは、生産状況を可視化できるなど農商工連携の課題解決に特化した連携アプリとその運用サービスを提案しました。
奨励賞には東北福祉大学の関沢奏汰さんと同じく東北福祉大学の齋藤春菜さんの両グループの提案が選ばれました。関沢さんらは、野球・サッカー・バスケットボールなどのプロスポーツ応援グッズのレンタルサービスを提案しました。斎藤さんらの提案は、ペットボトルなどのリサイクル活動に多くの方々が参加できるストーリー性を取り入れた社会的なビジネスです。
応募されたすべての皆さんに対し、その挑戦に最大限のエールを送りたいと思います。さらに最優秀賞、特別賞、奨励賞を受賞した皆さんの晴れの舞台での笑顔を見られることは審査委員全員の喜びでもあります。本当におめでとうございました。