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CVG四国 中井さんに最優秀賞
四国の学生による新規事業提案コンテスト「第21回キャンパスベンチャーグランプリ四国」の審査会と表彰式が2023年12月4日、高松市のリーガホテルゼスト高松で開かれた。今回は12校の大学・高等専門学校から41件の応募があり、書類選考を通過した8件が最終プレゼンテーションを行った。最優秀賞の四国経済連合会会長賞には、徳島大学の中井洸我さんが提案した「赤ちゃんのためのデジタルヒューマン工学」が選ばれた。最優秀賞には賞状と賞金50万円が贈られた。その他の受賞者にも賞状と賞金が贈呈された。
特別賞/四国経済産業局長メッセージ/審査委員長(産業技術総合研究所四国センター 所長)講評
特別賞【新来島どっく賞】
部屋暖房とアレルギー物質除去を同時に実現
新居浜工業高等専門学校
長尾 祐希さん、松田 りささん、廣瀬 心愛さん
一般的に固体状態の炭素を燃焼するためには650度C以上の温度が必要だが、同校ではより低温で炭素を燃焼できる酸化触媒の研究を進めており、酸化タリウムと酸化ビスマスの混合物を用いると200度C付近で燃焼が始まることに着目した。
本プランではその特性を応用し、市販のセラミックスファンヒーターの熱源を利用して部屋の中に入り込んでくるPM2・5や炭素を主成分とした花粉を燃焼除去する。一般的にセラミックスファンヒーターの熱源部分には、セラミックス製のヒーターが用いられており、その上にセラミックス粉末である同混合物の炭素系燃焼触媒を塗布する仕組み。新たな付属品を取り付ける必要が無いため、機能追加によるコスト上昇は少ない。
特別賞【鎌長製衡賞】
コントレ
香川高等専門学校
三田 耀介さん
満員電車内の人々の場所を管理することで、乗り降りする人や立っている人が快適に利用することができるアプリを提供する。
提案するスマートフォンアプリ「コントレ」は、朝夕の通勤ラッシュ時に各駅の乗降客数や停車時間、車内の密集地・過疎地などのデータをインターネットなどで集め、そのデータを元にどの駅でどの車両に乗り込むことで、乗り降りがスムーズにできるかを人工知能(AI)などを用いて分析する。その分析結果をアプリに落とし込み、ユーザーの位置情報を元に最適な車両へユーザーを誘導する仕組み。将来的には路線バスにもサービスを展開していく計画。
特別賞【日刊工業新聞社賞】
Embodied English Words
香川大学大学院
鳴海 航汰さん
英単語教育とイベントの場を組み合わせた学習環境を仮想現実(VR)技術を用いて実現し、単調な英単語学習(暗記)の改善し、「楽しく続けられる英単語学習」の提供を行う。
VR英単語学習アプリ「Wordrow」を利用して直感的なゲーム形式の学習プログラムを提供する。本アプリは、ユーザーが主人公となり英単語が書かれたカードを使いながら謎解きをしていくアドベンチャーモードと、VR空間上に表示される前置詞が示す場所にある球体を打ち抜くシューティングモードの二つのモードで構成。ゲーム形式にすることで、従来の単語帳を使った暗記に比べてイメージで記憶することができ、復習も楽しく行うことができる。
特別賞【四国産業人クラブ賞】
見る見るmilkるーむ
香川高等専門学校
山田 愛乃さん、宮武 眞子さん、高橋 涼さん
公共の場にある授乳室の室内と室外で、安全なコミュニケーションをとることができる「見る見るmilkるーむ」を提案する。
提案する授乳室は、室内のタッチスクリーンと室外のICカードリーダー付きインターホンで構成。それぞれにマイクとスピーカーがあり、音声でコミュニケーションを取ることができる。スクリーン上のボタンをタッチすることでも意思表示が可能。インターホンを押すと室内のスクリーンにその様子が映し出される。事前登録・発行した「おもいやりカード」をカードリーダーにかざすと、顔写真が室内のスクリーンに映し出される。
有線もしくは無線の通信環境があり、施錠可能な既存の授乳室にシステムを提供していく。
メッセージ/四国経済産業局長 小山 和久氏
新たな価値創造に向けて挑戦
第21回キャンパスベンチャーグランプリ四国におきまして、各賞を受賞された皆さま、誠におめでとうございます。
最終審査会に進まれた皆さまのビジネスプランは、環境問題や子育て支援など社会課題解決をはじめ、学生の人材育成につながるものまで、若い人ならではの発想や着眼点と日頃の学業・研究で培った知見を生かした、大変素晴らしい提案ばかりでした。人口減少など全国に先駆けて課題が顕著化している四国地域にとって、社会課題解決と経済成長を加速し、地域イノベーションを促進する担い手として、大いに期待しているのがスタートアップであり、四国経済産業局においても、起業家を応援するスタートアップ・エコシステムの強化を進めて参ります。
次代を担う皆さまの豊かな創造力やチャレンジ精神は、新たなイノベーションを生み出す原動力となります。今回を機に、新たな価値創造に向けて皆さまの挑戦が今後も続いていくことを心から期待しております。
講評/審査委員長(産業技術総合研究所四国センター 所長)大西 芳秋
ベンチャー起業における四国文化
現在、社会活動はコロナ禍という言葉を忘却のかなたへ押しやる程の活気を見せています。本グランプリの提案も28件から41件に増加し、非常に優秀なアイデアで活況を呈しました。中でも最優秀賞は、これまでの手厳しい意見を傾聴するとともに提案を洗練して捲土重来を期し、3度目のチャレンジでの受賞となりました。この不撓不屈の精神は、起業には非常に重要であり、これから続く学生諸子の良い手本になったのではないかと思います。
また、今回新たに協賛頂いた新来島どっく、大倉工業をはじめとする協賛各社さま、主催者である四国経済連合会、四国産業人クラブ、日刊工業新聞社の皆さまの次代の四国を担う人材に対する援助は、他地域と比べても誇るべきではないかと感じています。
このような高志あふれる若者とそれを支える体制は、遺すべき誇れる四国の文化ではないかと思います。願わくは、有言実行となり四国の名が全国に現れん事を!