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クラッチ・ブレーキ
クラッチ・ブレーキは各産業分野で動力の伝達制御に欠かせない機械要素部品だ。身近なところではOA機器の紙送り機構、昇降機の停電時・緊急時のブレーキ、自動車のパワースライドドアやエアコンなどさまざまな用途で使用されている。製造業向けロボットの市場拡大に伴い、電磁ブレーキの性能向上が求められている。安全性の確保や予知保全などの高付加価値化が注目されている。
「電磁」操作・信頼性を両立
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モーションコントロールの要となるクラッチ・ブレーキ(シンフォニアテクノロジー提供)
クラッチ・ブレーキは機械産業の工場自動化(FA)を中心に、各産業分野でモーションコントロールの要として需要が拡大してきた。クラッチは駆動力を伝達・遮断する機能を持つ継ぎ手、ブレーキは負荷慣性や機械系を減速・停止(制動)、または停止状態を保持する装置と定義され、構造や動力の伝達形態によって電磁、機械、油圧、空圧に分類される。その中でも電磁クラッチ・ブレーキは産業用に広く活用されている。
電磁クラッチ・ブレーキは、コイルの通電で発生する電磁力を利用して動力や回転運動を制御する。経済性や操作性、信頼性に優れ、一般産業機械や工作機械、半導体製造装置、FA機器、医療機器など多岐にわたって活躍している。「摩擦式」「かみ合い式」「空隙(くうげき)式」などがあり、その構造や制御性(操作性)の簡便さから、摩擦式が主流となっている。
また、電磁クラッチ・ブレーキは作動方式によって励磁作動形と無励磁作動形に大別される。励磁作動形は通電した時にクラッチやブレーキが働き、無励磁作動形は通電を断った時にクラッチやブレーキが働く。
中でも緊急時の制動・保持などの用途で利用される無励磁作動形ブレーキは、電磁力をブレーキの解放に使用する。ブレーキ力はスプリングまたは永久磁石で発生させる。通電が断たれた時にブレーキがかかるため、エレベーターをはじめとする昇降機や機械の暴走防止など、停電時や緊急時にブレーキが必要な場面で多く使用されている。
ロボ関節に搭載 応答・軽量化に貢献
労働力人口の減少や品質向上のニーズ拡大などを背景に製造業向けロボットの需要は増加し、電磁ブレーキの市場も拡大している。ロボット向け電磁ブレーキはサーボモーター内へ組み込まれるなど、アクチュエーターとしてロボットの関節部分に搭載され、定位置で軸の保持や、緊急時の動作停止の役割を担う。
モーターやアクチュエーターの小型化に伴い、電磁ブレーキも小型化・薄型化が求められ、ロボットの応答性や軽量化につながる構造の重要性が増している。メーカー各社は製品開発を進め、ニーズに応える。
産業用ロボット分野では人と同じ場所で作業する協働ロボットも普及し始め、労働力不足の解消に期待がかかる。
クラッチ・ブレ―キは自動化が進む現場の安全・安心を支えている。