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千葉県優秀企業経営者表彰
革新性や挑戦意欲に富んだ経営手腕を発揮し、企業の成長を実現している千葉県内の中小企業経営者をたたえる「千葉県優秀企業経営者表彰(第29回千葉県ベンチャー企業経営者表彰)」の受賞者5人が決まった。グランプリである「知事賞(最優秀経営者賞)」には、常磐植物化学研究所(千葉県佐倉市)の立﨑仁社長が選ばれた。立﨑社長ら受賞者には賞状と表彰盾のほか、副賞として賞金が贈られた。
知事賞など受賞者5人決定
千葉県優秀企業経営者表彰(第29回千葉県ベンチャー企業経営者表彰)
【受賞者一覧】
■知事賞(最優秀経営者賞)
株式会社常磐植物化学研究所 代表取締役社長 立﨑 仁 氏
■優秀経営者賞
扶桑鋼管株式会社 代表取締役社長 江村 伸一 氏
サンレイ工機株式会社 代表取締役社長 津覇 浩一 氏
株式会社日本都市 代表取締役 大原 俊弘 氏
■ひまわりベンチャー育成基金賞
株式会社さかなドリーム 代表取締役最高経営責任者(CEO) 細谷 俊一郎 氏
千葉県優秀企業経営者表彰は1996年に「千葉県ベンチャー企業経営者表彰」として創設された。主催は千葉産業人クラブ(白鳥豊会長=白鳥製薬会長)。千葉銀行と、ひまわりベンチャー育成基金の協力を得て、千葉県と日刊工業新聞社の後援で運営している。
アントレプレナーシップ(起業家精神)を発揮して事業を発展させている、もしくは生み出している経営者を表彰することで、千葉県経済の活性化を後押しするとともに、経営に関する新しい考え方や、意思決定のヒントとなる情報を広く発信するのが目的だ。
現在は最も優れた経営者に「知事賞(最優秀経営者賞)」(副賞50万円)を贈り、「優秀経営者賞」(同10万円)を3人に贈呈。同時に創業10年未満の経営者を対象とした「ひまわりベンチャー育成基金賞」(同10万円)も選んでいる。
29回目となった今回は応募から書類選考(1次審査)を経て11人を選定。各社を訪問してインタビュー調査した上で、2月に最終審査会を開催した。
審査員は、ちばぎん総合研究所の前田栄治社長と、千葉県商工労働部の橋口朝光副課長、千葉県産業振興センターの中村耕太郎理事長、千葉大学の百原新副学長、千葉県産業支援技術研究所の阿久津和司所長、千葉銀行の伊藤信一執行役員法人営業部長、ひまわりベンチャー育成基金の石川徹副理事長、千葉産業人クラブの白鳥会長が担当した。産学官金のそれぞれの視点から意見が出され、厳正な審査が行われた。
知事賞に立﨑社長/経営理念掲げ社員の意識改革
知事賞に輝いた常磐植物化学研究所の立﨑仁社長が、2010年に32歳で4代目の社長に就任した当時は、売上高はピーク時の60%まで落ち込み、経営は危機的な状況にあった。その中で「価値の創造」と「技術」「社会貢献」を経営理念に掲げ、社員の意識改革を進めるとともに、強みである植物由来成分の精製など技術開発に磨きをかけた。これにより業績のV字回復を実現させた。これらの実績に加え、ESG(環境・社会・企業統治)経営や、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の先進的な取り組みが評価された。
一方、優秀経営者賞となったのは、扶桑鋼管(千葉県浦安市)の江村伸一社長と、サンレイ工機(同白井市)の津覇浩一社長、日本都市(同船橋市)の大原俊弘社長だ。
扶桑鋼管は建設機械や工作機械などに使われる機械構造用鋼管の卸売りや加工、輸出入を手がける。グループ内に最新の工作機械を導入している加工会社があり、ユーザーニーズに最適化した製品を供給している。機械構造用鋼管の取扱高で業界トップレベルのシェアを持つ。タイとインドネシア、中国にも機械構造用鋼管の販売と加工、輸出入を担う拠点があり、海外での部材調達のニーズに対応している。
サンレイ工機は液晶パネル用光学フィルムや車載用リチウムイオン電池(LiB)向けなどの高性能カーボンロールを製造する。カーボンロール専用工場を持ち、独自方法でカーボンパイプに鉄やステンレス、アルミニウムなどを被覆することで、異材質多層管ロールを製造。さらにロール製造で培った技術を生かし、レーシングカー用シャフトを受注するなど事業を拡大している。
日本都市は区画線や舗装、道路標識設置、土木、解体、コインパーキング設置、電気設備設置、都市緑化など社会インフラ関連のさまざまな工事を自社で一括施工できるのが強みだ。超高圧水を噴射し、路面や構造物の表面を掘削するとともに、その処理水を吸引回収することで、騒音や粉じんの飛散を抑制する設備を導入するなど環境に配慮した工事を進める。
ひまわりベンチャー育成基金賞を受賞したのは、さかなドリーム(同館山市)の細谷俊一郎最高経営責任者(CEO)だ。同社は東京海洋大学発ベンチャーで、品種改良技術を活用し、魚類の開発と養殖、販売に取り組む。第1弾となるハイブリッド魚はカイワリとマアジを掛け合わせた「夢あじ」だ。美味だが、漁獲量が安定しないカイワリを、育てやすいマアジと掛け合わせた。