-
業種・地域から探す
続きの記事
旋盤・ターニングセンター
旋盤加工は円形断面をもつ部品加工に活用され、モノづくりにおける切削加工の中で、最も基本的かつ重要な加工工程のひとつとして用いられている。金属を高精度かつ低コストで効率よく加工できるプロセスとして、自動車や産業機械の高精度部品製造を支えている。部品形状が複雑化し、要求される加工精度が高まる中、ミーリング用主軸や主軸以外の回転軸、焼き入れ用のレーザーなどを備えた旋盤構造の複合加工機であるターニングセンターの需要も高い。さまざまな工作機械メーカーが独自技術を搭載した旋削加工機を投入している。
自動化、工程集約への要求拡大
人手不足に対応する機能の開発進む
旋盤やターニングセンターなど旋削加工機は、大手部品メーカーから中堅・中小企業まで幅広いユーザー層をもつ。特に近年では人材不足や熟練技術者の高齢化による減少を背景に、自動化や無人運転機能を高めた工作機械や生産技術の開発ニーズも高まっている。また大量生産から多品種少量生産への変化も著しく、専用機よりも工程集約できる多機能・高機能な旋削加工機を求める声も多い。
-
自動化システムとの併用に注目が集まった「NLX2500/700」
DMG森精機は昨年9月、同社のベストセラー機「NLX2500シリーズ」の第5世代目を市場投入した。
二つの主軸を搭載したターニングセンター「NLX2500/700 2nd Generation」は、主軸の切削能力を同社従来機比25%向上。刃物台のミーリング能力も同40%高め、マシニングセンター(MC)と同等の性能を備えた。複雑な加工形状への対応力を向上し、工程集約や自動化をしやすくした。電気自動車(EV)や半導体製造装置など幅広い部品の加工に対応する。
シミュレーションによる性能予測と熱変位解析による機械構造の最適化で、長時間の加工でも安定した精度を実現。X軸とZ軸のすべり案内は摺動(しゅうどう)面幅を同10%広げ、振動減衰性と動剛性を高めた。左右の両主軸では同等の切削能力を備える。
ロボットシステムやガントリーローダー、棒状の素材を供給する「バーフィーダー」などの自動化システムと組み合わせることで夜間の無人運転にも対応。長時間の連続稼働を実現する立型大容量クーラントタンクも選択でき、安定した長時間稼働を支援する。
サイクルタイムを削減
ヤマザキマザックは12月に3タレット2スピンドルのコンピューター数値制御(CNC)旋盤2機種を発売した。3タレット構造により、第1主軸と第2主軸での同時加工を可能にした。双方の主軸で加工量に偏りがある場合に、加工時間のバランスを取る機能によりサイクルタイムを削減できる。
-
3タレット2スピンドルCNC旋盤「HQR-200/3 ネオ」
発売したのは「HQR-200/3 ネオ」と「同250/3 ネオ」。バーフィーダーやワークアンローダーなどの自動化システムを活用して、チャックワークからシャフトワークまでさまざまな部品加工の自動化に対応する。3タレットに特化した専用画面とサポート機能を備えたCNC装置「マザトロール スムースジーキューブ」を搭載し、多様な干渉チェック機能により3タレットの複雑な動作でも安全な運転を実現した。
稼働中の消費電力をCNC装置のモニター上に見える化する「エナジーセーバー」機能も搭載する。インバーター式油圧ユニットやチラーユニットの採用により、消費電力も削減した。
省スペース、工程集約に需要
省スペースや工程集約対応など、高機能なCNC旋盤の需要も高い。シチズンマシナリー(長野県御代田町)は、米国専用の主軸台固定型CNC自動旋盤「MiyanoBNXシリーズ」を刷新し、今月から世界各国で発売する。最大加工径65ミリメートルの機種を追加して加工範囲も広げた。同シリーズは二つの主軸と一つの刃物台で構成。効率的な複合加工と価格競争力を両立した機種として米国で販売を伸ばしており、世界展開で新たな需要を掘り起こす。
MiyanoBNXシリーズは最大加工径51ミリメートルと同65ミリメートルの2機種を用意した。米国専用モデルを世界展開するのは同社で初めて。
同51ミリメートルの機種は背面主軸の最大加工径を42ミリメートルから51ミリメートルに拡大。正背面で同サイズの主軸を搭載し、多様な加工に対応する。同65ミリメートルの機種は正背面で同サイズの加工対象物(ワーク)に対応する。正背面主軸の回転数は共に毎分5000回転だが、正面主軸を駆動するモーターの出力を同51ミリメートルの機種と比べ20%以上増の18・5キロワットに向上。ワークの大型化に合わせ切削能力を高めた。
大物部品加工にも対応
長谷川機械製作所(さいたま市見沼区)は、精密CNC旋盤「C52シリーズ」を開発した。工程を集約した高精度加工が狙いで、現行の「C42シリーズ」より大物の部品加工が行えるよう、対応する最大棒材径を52ミリメートルなどとした。7月に本格受注を始める。
C52シリーズは主軸が二つ、刃物台のタレットが一つのワンタレット型。C42のタレットが10角形なのに対し、C52は12角とし、最大12種類の工具を使って、段取り替えなしにさまざまな加工が行える。
ワークをつかむチャック径は両主軸とも最大8インチで、メーン6インチ・サブ5インチのC42より大型化した。
また、左側のメーン主軸を固定式にして剛性を上げ、右側のサブ主軸が軸方向(左右)に移動する。左右の主軸でワークを持ち替えることで、表側の加工後に裏側の背面加工が行える。
8月に新機種発売
スター精密は、棒材の最大加工径20ミリメートル対応のスイス型自動旋盤「SR-20RIVモデル」の新機種「タイプE」を8月に発売する。同時4軸制御の工具旋回制御軸(B軸)を採用し、従来機よりも広範囲な加工ニーズに対応する。
同時4軸制御が可能なB軸制御付き回転工具ユニットを搭載し、数値制御(NC)プログラムによる回転工具ユニットの自由な角度割り出しが可能。加工中に機械を止めずに角度を調整でき、加工の効率化とともに、3次元ミーリング加工などの同時4軸制御を駆使して複雑形状部品の加工に対応する。
SR-20RIVモデルに共通する独自の均等荷重クロスガイド構造を採用した高剛性刃物台などの特徴を装備。安定した精度で長時間連続稼働を実現する。27ポジションの工具ステーションに最大41本の工具を搭載できる。
同モデルは手動式の角度調整型回転工具ユニット搭載仕様など、これまでに2タイプを用意。2012年の販売開始以来、累計販売台数は2400台を超える主力機種となっている。