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愛知県尾張西部地区産業界
愛知県尾張西部地区は岐阜県と三重県に隣接し、古くから東西をつなぐ交通の要衝として栄えてきた。近年では首都圏と関西圏の中継地であることから物流拠点としての需要も高まっており、高速道路や幹線道路の近隣には大型の物流センターも立ち並ぶ。産業面では毛織物を中心とした繊維業が発展し、現在でも尾州ブランドとして世界中で親しまれている。伝統産業が目を引く同地域だが、製造業の新たな取り組みやスタートアップとの協業など革新的な動きも増加している。
特色ある地域の産業活用
北名古屋市、弥富市が20周年
愛知県尾張西部地区は同県の北西部に位置し、愛西市、あま市、一宮市、稲沢市、岩倉市、北名古屋市、清須市、江南市、津島市、弥富市の10市と、大口町、大治町、蟹江町、豊山町、扶桑町の5町、飛島村の1村からなる。岐阜県と三重県に隣接し、木曽川の育んだ豊かな自然に囲まれた同地区では、製造業に加えて農業や繊維産業なども地場産業として根付いている。特に明治以降は毛織物産業が大きく発展し、現在では国内生産量の約60%を担う一大産地として知られている。糸から生地になるまでのさまざまな工程を地域企業が分業しており、地域全体で毛織物を生産する体制が作られている。同地区で生産された毛織物は「尾州織」として国内外のブランドから高級スーツの生地として重宝されている。
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市制20周年を記念した北名古屋市(上)、弥富市(下)のロゴマーク
伝統あるモノづくりの地域として知られる一方、2000年代初頭に誕生した比較的新しい街も多い。愛西市、あま市、北名古屋市、清須市、弥富市などはいわゆる「平成の大合併」で生まれ、今年度は北名古屋市と弥富市がそれぞれ市制20周年を迎える。
北名古屋市では8月に記念式典を実施するほか、一年を通じて多彩な行事を企画している。10月には同市に在住、勤務、通学する20歳の若者と市議会議員の意見交換会を開催する。ワークショップ形式で実施し、同市のあゆみを振り返りつつ、将来のビジョンについて語り合う。定員は40人まで。
弥富市では特産の金魚や文鳥にちなんだ記念行事を実施する。今月は同市の歴史民俗資料館の館長を務める手乗り文鳥の「ぶんちゃん」の退官を記念し、活動を振り返る企画展示を開催するほか、10月には「2026金魚サミットinやとみ」の開催を予定する。市制20周年を祝う記念のロゴマークにも金魚をデザインした。
尾張西部地区に息づく多様な産業の特徴を生かし、各市町村は今後も街づくりを続けていく。
特徴生かした技術開発盛ん
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多層シートを小ロットで成形できる
高機能フィルム試作機など
AIKIリオテック(稲沢市)は、光学機器などに用いる高機能フィルムの試作、研究開発に適した多層Tダイ式フィルム成形ユニット「ALM-TMF200-3L」を販売している。最大5層の多層フィルム、多層シートを小ロットで成形できる。各層の押し出しを独立制御でき、実機レベルに近い再現性が得られる。
半導体関連、電子機器などに使われる異種材料の多層構成による高機能フィルムの開発に対応する。少量の材料でも試作が可能で、開発コストの低減に貢献する。
各押し出し機は温度、流量の独立制御が可能で、材料特性に合わせた成形条件を設定できる。
押し出しから成形、巻き取りまでを容易な操作での一貫制御により、1人でも効率よく作業が可能。ユニットを構成する押し出し機は超小型短軸、小型短軸、小型二軸など同社の製品ラインアップから用途に応じて選べる。
DXでミスや負担を軽減
特殊鋼専門商社の川本鋼材(あま市)は、出荷作業の効率化など鋼材物流の課題解決に向けてデジタル変革(DX)を推進している。紙情報のデジタル化を進め、作業ミスのリスクを低減し、作業負担の軽減や安全性の向上につなげる。加工作業との連携も図り、加工工場の静岡DF(浜松市中央区)では業界初の材料供給から加工、荷積みまでを完全自動化した。持続可能な鋼材物流の体制づくりが着々と進む。
同社でのDXの取り組みは、コロナ禍以前から着手。注文から生産管理、切断、出荷納品までの工程をデータ連携し、一気通貫で管理できるシステム構築に取り組んできた。
また業務は紙情報からデジタル化への転換が進んでいる。在庫データ、出荷納品書データを2次元コード化し、鋼材の切断加工や出荷作業時にコードを読み込んで基幹システムと連携。これにより材料間違い、積み込み忘れなどのミスが減り、積み込み時の確認作業の時間短縮、トレーサビリティー(履歴管理)の正確な把握につなげている。
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静岡DFは自動倉庫と切断機などが連携した自動化工場として稼働する
DXの取り組みが拡大することで、製造現場の様子も変わりつつある。22年に完全自動化工場として開設した静岡DFは、自動倉庫と切断機2台、無人搬送フォークリフト(AGF)1台が連携し、切断加工から出荷準備までの24時間稼働を可能にしている。
受注内容に応じて、自動倉庫から必要な鋼材を取り出し、切断機に投入、加工した後、測定や製品識別のためのレーザー刻印などを行い、ロボットがパレットに収めるという一連の作業を自動化。少量多品種の短納期対応で、特に効果を発揮しているという。
ダイカスト金型の鋳造課題解決
寿原テクノス(稲沢市)のアルミニウムダイカスト鋳造時に金型内で発生するガスを抜く部品「ハイブリッドチルベント」が「第22回/2025年超モノづくり部品大賞」の環境・資源・エネルギー関連部品賞を受賞した。
同製品はベリリウム銅製チルベントのガス抜き性能と、銅材製チルベントの耐久性を併せ持つ。従来品と同等のサイズのまま、より高いガス抜き効果を発揮する。ダイカストは内部空洞(巣)の発生を防ぐためガスを抜く。ガスを出す隙間(クリアランス)を広く取ると、溶けたアルミ(溶湯)が固まる前に噴き出す不具合「フラッシュ」が起きる場合もある。
フラッシュを抑えるには溶湯の熱を吸収する必要があり、熱伝導率の高いベリリウム銅製チルベントも採用されている。ただ、ベリリウム銅製は通常の工具鋼製の3倍ほど高価で、条件次第で耐用期間は半分程度になる。
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材料資材とエネルギー削減にも貢献する
それに対し、ハイブリッドチルベントは工具鋼を使った溶湯の入口側以外の部分に熱伝導率が高い純銅を使用する。銅の使用部を一部にとどめてコストを抑え、価格は工具鋼製の5割増程度に抑えた。耐久性は工具鋼製と同等で、クリアランスは最大1ミリメートル確保可能。ベリリウム銅製と同等以上のガス抜き効果を発揮する。銅部分を回転し、溶湯に接して損傷する側を入れ替えることで使用期間の延長も可能だ。
不良率を削減することで材料資源とエネルギーの削減に貢献すると評価された。
超モノづくり部品大賞は、日本のモノづくりを支える優れた部品・部材に光を当てる顕彰事業。機械・ロボット、電気・電子、モビリティー関連、環境・資源・エネルギー関連、健康福祉・バイオ・医療機器、生活・社会課題ソリューション関連の6分野から、今回は大賞をはじめ40件が受賞した。
