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愛知県西三河地区産業界
西三河地区は、愛知県の中央に位置する製造業の一大集積地。安城市、岡崎市、刈谷市、高浜市、知立市、豊田市、西尾市、碧南市、みよし市、幸田町の9市1町からなる。大手自動車メーカーを中心に自動車産業を支える中堅・中小企業が集積している。EV(電気自動車)シフトによる産業構造の変化や人手不足による自動化・工程集約への対応など各企業は蓄積した技術を生かしモノづくりをリードしていく。
製造業のノウハウ活用 新製品・サービス開発進む
西三河地区は、愛知県内の製造品出荷額等総数のうち約5割を担うモノづくりの一大集積地。完成車メーカーや大手自動車部品サプライヤーだけでなく、こうした企業を支える中小企業や周辺装置メーカーなどが幅広く立地し、地域全体の技術力を支えている。また2025年11月には県内で初となるアウトレットモールが岡崎市で開業した。三河地区の有名店や同市の観光案内ブースが出店するなど地域の活性化にも一役買っている。同県内からだけでなく静岡県など近隣地域からの集客も見込まれ、産業・商業ともに西三河地区に注目が集まる一年となりそうだ。
立型MCに新仕様
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旋削・キー溝加工を集約した
キラ・コーポレーション(西尾市)は、主軸40番の立型マシニングセンター(MC)「PCV—40b」にワンチャッキングで旋削、キー溝加工も可能な工程集約仕様を設定した。各加工用の機械を導入しなくても済み、省スペース化や人手不足対策といった需要に応える。歯車部品の加工をメーンターゲットに提案する。
最高毎分2000回転のインデックステーブルを搭載し、高速旋削加工に対応するとともに、ブローチ工具を装備してキー溝加工もこなす。PCV—40シリーズは自動工具交換装置(ATC)の違いにより、「a」と「b」の2機種を展開。bは主軸に減速装置を搭載した低速・重切削加工が可能な仕様を特徴とし、25年1月から本格販売を始めた。工程集約仕様を加えて拡販を図り、シリーズ全体で年間40台の販売を目指す。
外国人労働者との交流を円滑化
エヌ・ピー・ロジ(刈谷市)は小島プレス工業(豊田市)に対し「出張ポルトガル語教室」を始めた。ブラジル人を中心にポルトガル語を話す外国人就業者が増加する中、製造現場などでのコミュニケーションを後押しする。今後、三河地方を中心にポルトガル語の習得需要を掘り起こす。
出張ポルトガル語教室は1回当たり1時間程度。受講人数は5人までで、対面で行う。受講料は1回当たり数万円程度。上智大学外国語学部ポルトガル語学科を卒業したエヌ・ピー・ロジの出口皓士取締役が講師を務める。
小島プレス工業では管理職2人と若手社員2人が受講しており、3月まで実施する。出口取締役が作成したテキストを使用し「簡単な日常会話ができるレベルを目指している」(出口取締役)という。
今後製造業、物流業を中心に受注を目指す。インドネシア語などの教室開設も検討する。
高精度加工の対応を強化
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8月に5軸MCを導入し仕事の幅を広げた
平松鉄工(碧南市)は、設備投資により仕事の幅を広げている。25年8月に安田工業(岡山県里庄町)の5軸MC「ジグボーラーYBMVi50」を導入し、最大直径650ミリメートルまでの加工対象物(ワーク)に対応可能となった。従来の設備ではワークサイズは同400ミリメートルまでだったが、宇宙関連の大型製品の引き合いが増えたことで導入を決めた。さらに今年は高精度ワイヤーカット放電加工機も導入する。
同MCを導入したことで、直径0・08ミリメートルの超高精度な穴開け加工や、ヘリカルギアの内歯加工など難易度の高い仕事、ワークサイズを理由に断ってきた仕事も受注可能になった。ロケット部品やEV向けなども増えており「何に使われるか現場に伝えると、意欲が高まる」(沖田恵社長)という。
同社は自動車や空調機器、造船関連など幅広く試作部品を手がける。高精度の削り出し加工を得意とし、他社では引き受けられないような精密な加工でも1個から対応できる。社員30人ほどの規模ながら、研削加工機17台、MC21台、放電加工機10台など多彩な設備を使い分けることで、高精度かつ短納期を実現している。
AI検査機で働きやすさ創出
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置くだけで検査と計数が可能
人材不足が深刻化する一方、労働に不安を抱え働くことに前向きになれない若者も多い。こうした状況を変えようと開発されたのがリネーブルキャリア(安城市)の「リネーブルキット1(ワン)」だ。
同システムは画像認識AI(人工知能)を搭載したオーダーメードの部品検査システム。治具の上に部品を置くだけで、AIが良・不良を判断する。また完成品の計数も自動で実施。誤って不良品を完成品に入れると警告が出るため、不良の発生を未然に防止。作業中のデータは画像で保存され、万が一不良が発生した場合でも全品再検査を防げる。価格は70万円からで、顧客の要望に合わせソフトウエアからハードウエアの設計・製造まで内製する。
同社は若者の自立を支援するNPO法人リネーブル(同市)から生まれた。開発を手がけたのは、かつて働きづらさを抱えていた若者たちだ。ミスや失敗の可能性をなくすことで、安心して働ける環境づくりに貢献する。自動車部品の組み付け、検査を手がけるアチーヴ(岡崎市)と連携し、実用化した。
西三河地区の製造業を中心に販路を広げ、同時に若者の働く場の創出も目指す。さらに若者の労働に対する意欲回復から、社会復帰までの支援を一貫して提供するため、今春には新たな事業会社も設立する。
