-
業種・地域から探す
続きの記事
第21回LCA日本フォーラム表彰
LCA日本フォーラムはLCA(ライフサイクルアセスメント)の優れた活動を表彰する「第21回LCA日本フォーラム表彰」(後援=経済産業省、日刊工業新聞社)を選定し、1月27日に全国町村会館(東京都千代田区)で表彰式を開いた。最高位の経済産業省脱炭素成長型経済構造移行推進審議官賞に輝いた、とやまアルミコンソーシアムやJX金属、三菱マテリアルなど8件の企業・団体と、1人の功労者に各賞を授与した。世界的に脱炭素の潮流が拡大する中、複数の企業や産学官の連携でLCAを活用する動きが盛んになっている。
製品の環境負荷 定量評価/脱炭素市場創出の基盤
LCAは製品の資源採取から原材料の調達、製造、加工、組み立て、流通、製品使用、廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体における環境負荷を定量的に評価する手法。2030年をゴールとした国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成や50年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現に向けた取り組みが加速するにつれ、LCA手法の重要性はますます高まっている。
LCA日本フォーラムはLCAに関わる産業界、学会、国公立研究機関の関係者が集まるプラットフォームで、産業環境管理協会が事務局を務める。1995年に設立され、2004年からLCAに関する優れた取り組みを「LCA日本フォーラム表彰」として顕彰している。
表彰式で同フォーラムの稲葉敦会長は「LCAはこれまで機運の高まる3回の波があった」と振り返り、「第1の波は1998年、国家プロジェクトにより、日本全体でLCA活動が開始したこと。第2波は2008年にカーボンフットプリント(CFP)が登場し、温室効果ガス(GHG)削減に向けた取り組みが進んだ」と紹介。「第3波を迎えた現在では、企業間での情報交換やカーボンラベルの表示が進んでいる。LCAの観点のみならず産業界全体の意向として脱炭素への注力が重要」と力を込めた。
CFPは製品・サービスがライフサイクル全体を通して排出する温室効果ガスを、二酸化炭素(CO2)に換算して表示する仕組み。CFPを見える化することは、サプライチェーン(供給網)全体のCO2排出量削減につながり、脱炭素・低炭素製品(グリーン製品)が選択される市場創出の基盤として欠かせない。
最高位賞 とやまアルミコンソーシアム
-
表彰式は1月27日に全国町村会館で行われた
21回目となる今回は、24年8月5日から10月11日までの期間で募集が行われた。LCA日本フォーラム表彰選考委員会の審査を経て、12月に受賞者が決定した。富山県高岡市の「とやまアルミコンソーシアム」が最高位の経済産業省脱炭素成長型経済構造移行推進審議官賞に輝いたほか、LCA日本フォーラム会長賞3件、奨励賞4件、功労賞に1人が選ばれた。
同彰の応募部門は「環境マネジメント・環境コミュニケーション部門」「研究活動・人材育成部門」「アウトリーチ・コラボレーション部門」と、公募ではなく関係者の推薦に基づく「功労賞部門」の4部門となっている。応募は企業、工場、部門、団体、個人単位で可能。応募資格の柔軟性を持たせ、多様な視点から積極的な活動を取り上げている。
経済産業省脱炭素成長型経済構造移行推進審議官賞の、とやまアルミコンソーシアムは「地域循環型アルミ産業網のグリーン化のためのDXプラットフォームの構築~とやまアルミバリューチェーンのCO2排出量の『見える化』と工程・企業間データ連携によるDXアプリケーション創出~」で受賞。
「CFP」見える化で産業界普及
富山県の「アルミ産業成長力強化戦略推進事業」の一環として活動する、とやまアルミコンソーシアムは、地元のアルミ産業をグリーン化することを目的に、アルミバリューチェーン全体のCO2排出量を「見える化」する「DXプラットフォーム」に取り組み、工程間および企業間でのデータ連携を可能にすることで、持続可能な生産モデルの構築を目指している。
今回はLCA手法を用いてアルミの二次溶解工程での省エネに取り組み、CO2排出量削減を実現した。地域活性化や企業間連携、実績データ共有、CFP算定解析などを実施し、産学官の活動が促進された。二次資源の循環拡大と脱炭素化の同時達成を目指し、システム化が進められた点などが高く評価された。
LCA日本フォーラム会長賞は3件が受賞した。JX金属の「銅のサステナビリティ向上を目的とした、需要家と共創するリサイクル促進スキームの提案とLCA手法の活用」は銅の精鉱製錬における余剰熱を活用し、銅のリサイクルを低環境負荷で実現し、電気銅のCFPの算定を通じ、環境負荷を定量的に開示している点が評価された。
三菱マテリアルの「電気銅のカーボンフットプリント算定・第三者クリティカルレビューの実施と、家電リサイクルLCA」では電気銅のCFP評価などを通じて、ステークスホルダー(利害関係者)とのエンゲージメント(愛着)の向上に活用している。またNTTやNTTデータグループなど合同企業の「ソフトウェア分野の脱炭素化に向けた業界連携活動」も受賞した。
LCA日本フォーラム奨励賞は4件が受賞。ヤマトマネキンの「レンタル可能な環境配慮型仮囲い『スライドパネル』によるライフサイクルCO2削減の取り組み」は、スライドパネルで製品のライフサイクル全体にわたる環境性能を可視化。環境負荷削減効果を直感的に理解できるデータを提示し、業界の意識改革を推進した点が評価された。
LCA日本フォーラム功労賞はPETボトルリサイクル推進協議会の小松郁夫専務理事が受賞した。
LCA日本フォーラム表彰の梅田靖選考委員長は「今回の表彰では二つの特徴が見られた」とし、「一つ目はCFP。CFPはサプライチェーン上のコミュニケーションツールとして、またデジタル製品パスポートの情報として不可欠なものになっており、ますます普及が期待される。二つ目はチームとしての取り組みだ。チームを組んで強みを発揮するのが日本の勝ち筋でもある。受賞者にはこの優れたモデルケースを実際に社会で活用して広め、次の受賞者につなげてもらいたい」と期待を込めた。