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第51回 発明大賞
日本発明振興協会(東京都渋谷区、加藤忠郎会長)と日刊工業新聞社共催の「第51回(2025年度)発明大賞」受賞製品・技術が6日に発表された。発明大賞本賞や、発明大賞東京都知事賞など計15件が受賞した。表彰式は13日に東京都港区の明治記念館で行われる。日本のモノづくり現場の工夫を可視化するとともに、中小企業や個人発明者の成果発表の機会となる。
3月12日 表彰式 発明大賞(日本発明振興協会会長賞/日刊工業新聞社賞)
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前回(第50回)の発明大賞表彰式(日本発明振興協会提供)
発明大賞は日本発明振興協会と日刊工業新聞社が共催し、1975年の創設以来、今回で51回目となる。独創的な技術や製品の創出を通じて、国民生活の向上や環境課題の解決に貢献した成果を社会に広めることを目的としている。
受賞対象は画期的な発明考案を通して産業の発展や国民生活の向上に寄与した資本金10億円以下の中小企業や個人、グループ。特に中小企業や独立した発明研究者の支援に力を入れており、関係省庁の後援も受けている。
審査委員会(委員長=向井千秋東京理科大学特任副学長)で発明の革新性や社会的意義、産業への波及効果などを厳正に審査した。その結果、発明大賞本賞、発明大賞東京都知事賞、発明大賞日本発明振興協会会長賞、発明大賞日刊工業新聞社賞の主要4賞各1件を選定。加えて発明功労賞7件、考案功労賞2件、発明奨励賞2件の計15件が選ばれた。
発明大賞本賞はダイモン(東京都中央区)の「転倒しても走行可能な超小型・高強度無人探査車」が受賞した。重さ0・5キログラム以下の世界最小・最軽量クラスで、「七転び八起き」にちなみ「YAOKI」と命名。双輪式で転倒しても走行でき、上空100メートルからの落下にも耐える高い耐久性を持つ。宇宙産業や今後の月面探査の発展が期待されている。
発明大賞東京都知事賞は阪神内燃機工業(神戸市中央区)の「燃料噴射制御システム及び二元燃料機関」が受賞した。
発明大賞日本発明振興協会会長賞は伊東電機(兵庫県加西市)の「静音・衝撃吸収搬送装置」が受賞。同装置はローラーの材質を従来の金属製から弾力性のある樹脂部材に代え、衝突時の騒音を低減。制御装置を搭載し、搬送ゾーンごとに速度調整できるようにし、搬送物への衝撃緩和を極限まで小さくした。
発明大賞日刊工業新聞社賞はデュプロ(相模原市中央区)の「4隅の圧力を個別に調整できるパッケージ用型抜き装置」が受賞。四つのプレスモーターを個別制御し、移動定盤の四隅の加圧量を電子制御で調整する仕組みを構築。誰でも数分で調整でき、装置の最小化や安定搬送を実現した。作業効率と生産性の向上が期待される。
発明功労賞と考案功労賞は優れた発明考案により業績をあげた企業や個人、グループを表彰する。
累計表彰件数は今回の15件を含めると、1462件に上る。応募期間は毎年7月1日から9月30日までとなっている。
【発明大賞 日本発明振興協会会長賞】 静音・衝撃吸収搬送装置/伊東電機 会長 伊東 一夫 氏 ほか2人
搬送物との接触時に衝撃を吸収し、音の発生や搬送物の損傷を抑制できるローラーコンベヤー装置。二つのローラー片が組み合わさった構造で内部を空洞化して搬送物への衝撃を緩和できる。ローラー部間の隙間を極限まで小さくしたことで小物や軟包装の物品を運べるようになった。
従来装置は金属製のローラーで構成され、搬送物との衝突時に衝撃音の発生や搬送物が破損する危険性があった。ローラーの材質を弾力性のある樹脂部材にすることで騒音を抑え、制御装置を搭載することで搬送ゾーンごとの速度を調整できるようになった。
(伊東電機=兵庫県加西市)
[喜びの声] 伊東電機 会長 伊東 一夫 氏
このたびは、栄えある賞をいただき誠にありがとうございます。
近年、拡大するネット通販の市場では、配送効率化と環境配慮の観点から包装形態が軟包装化し、作業効率向上が課題となっています。「小物・軟包装品対応ローラFNR」は、従来コンベヤーのローラー間の隙間では対応できなかった搬送が可能です。物間搬送のスキマが最小で連続搬送できるため能力も向上します。市場トレンドや課題に対して先行開発で社会に貢献してまいります。
【発明大賞 日刊工業新聞社賞】 4隅の圧力を個別に調整できるパッケージ用型抜き装置/デュプロ 社長 田中 日出男 氏 ほか3人
打ち抜き圧のムラを抑制する調整作業を大幅に簡素化できる小型平盤打抜装置。四つのプレスモーターを個別で制御し、移動定盤の4隅の加圧量を電子制御で調整する仕組みを構築した。サイドグリップ搬送や気流によるシート材の姿勢制御を備え、装置の小型化や安定搬送を実現した。
従来はムラを解消するためにテープを貼り、加圧調整用ハンドルを回すなどの手動での調整が必要だった。そのため熟練作業者でないと扱いにくく、調整に1—2時間かかっていた。開発した装置は誰でも数分で調整でき、作業効率と生産性が向上すると期待される。
(デュプロ=相模原市中央区)
[喜びの声] デュプロ 社長 田中 日出男 氏
このたびは名誉ある賞に選出いただき、身の引き締まる思いです。
紙離れにより業界が縮小する中、印刷業の多様なニーズに応え、持続可能な業界に変革する「救いの手」になりたい—その一心で開発に心血を注いできました。
かつて熟練の職人技を要した調整を四軸独立モーターで可視化し、人手不足という喫緊の課題を打破します。今後も常に「上流」にあるユーザーの声に寄り添い、付加価値を高め、業界の未来を切り拓く所存です。
