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第7回 100年企業顕彰
経済産業大臣賞/中小企業庁長官賞/東京都知事賞/100年経営の会会長賞/日刊工業新聞社賞
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(写真左から)山下隆一中小企業庁長官、経産大臣賞を受賞したマルト長谷川工作所・長谷川直哉社長、ユアサ商事・田村博之社長
100年経営の会(北畑隆生会長、事務局=日刊工業新聞社)は、「第7回100年企業顕彰」(日刊工業新聞社共催、経済産業省中小企業庁・日本商工会議所・全国商工会連合会後援)の贈賞式を1月に都内で開催した。同顕彰制度は創業100年を超える優れた長寿企業の功績をたたえるものとして、2年に一度開催している。7回目を迎えた今回は、経済産業大臣賞に輝いたマルト長谷川工作所やユアサ商事をはじめとする計38社を表彰した。戦禍や震災、経済危機など、幾多の困難を乗り越えながら、卓越したビジネスモデルを構築した各社の足跡を一部紹介する。
【経済産業大臣賞 地域共栄部門】 マルト長谷川工作所
鍛冶の技術を生かしたペンチ専門メーカーとして1924年に創業。新潟県内では作業工具製造の先駆的存在だ。海外市場の開拓には60年前から注力し、現在は30カ国・地域へと販路を広げ、売り上げの約65%を海外輸出が占める。特に薄刃ニッパーは切れ味と精度の高さから国内外で評価が高く、50にも及ぶ全工程を自社で一貫生産するビジネスモデルは世界の同業種と比べても稀(まれ)という。リーマン・ショックを受けてニッパー型の爪切りを開発し、理美容品の新ブランド「MARUTO」で欧米の高級市場を開拓するなど、快進撃が続く。
【中小企業庁長官賞】 一條旅舘
戦国時代の1560年、初代当主が宮城県の鎌先温泉に湯小屋を建て宿屋としたことを起源とする老舗旅館。木造の本館2棟と土蔵は、国の登録有形文化財にも登録されている。2011年の東日本大震災では、全館休業としながらも雇用維持に努め、積極的な設備投資も行った。その結果、休業明けには一層の充実を図った施設と接客が評判を呼び、稼働率90%以上を達成。近年のインバウンド需要にも見事応えている。25年9月には高価格帯の新館「THE YUKAWA一條支店」がオープンするなど、次の事業展開を見据える。
【中小企業庁長官賞】 及源鋳造
900年の歴史がある奥州・南部鉄器の伝統を守りながら、高いデザイン性をあわせ持つ「OIGEN」ブランドは国際的にも評価が高い。創業は1852年。グローバルな視野の広さは高度成長期、先代4代目の米国視察にさかのぼる。これを機にデザイン意識が社内に浸透し、若手金属工芸家と協業した商品開発がスタート。今に続く「一歩先を行く暮らしを愉しむ鍋釜」というコンセプトが根づく。日本の巧の技と美意識を奥州から世界へ発信し続けるOIGENは、日本のモノづくりの未来を切り開くロールモデルといえよう。
【東京都知事賞】 コロンバン
1924年創業の菓子メーカー。パリで修行した創業者の門倉國輝が、日本で初めて本格的なフランス菓子を提供したとされる。戦前は画家・藤田嗣治作の天井画や冷房施設を持つ銀座の店舗が評判を呼び、モダン文化の発信地に。戦後は多くのパティシエを輩出するなど、日本の洋菓子界をけん引してきた。ショートケーキを考案し、バターにこだわった菓子づくりを今も守り、焼きショコラをはじめとするオリジナルスイーツを数多く開発・販売。100周年を迎えた2024年には原宿サロンをリニューアルオープンし、新たなサロン文化の創出に挑む。
【100年経営の会会長賞】 日本インシュレーション
1914年にパッキングメーカーとして大阪で創業し、30年頃に船舶用断熱材の製造へ進出した。以来一貫して「断熱」に力を注ぐ。66年には高耐熱素材「ゾノトライト」の工業化に世界で初めて成功。これを基材とした耐火・保温材のパイオニアとして、防災と省エネルギー化に貢献している。現社名には「絶縁」を意味する「インシュレーション」を掲げ、建築物の耐火やプラント設備の保温を事業の柱に、熱の絶縁に関する技術開発に取り組む。そのほかバイオマス由来保温材の開発に成功するなど、地球環境に配慮した事業も展開する。
【日刊工業新聞社賞】 オーベクス
初代会長の渋沢栄一が「東京帽子株式会社」として1892年に創業し、1985年に現社名へと変更した。帽子製造のフェルト加工技術を応用したマーカーペン先の製造に注力し、さらにコスメチックや医療の分野へ参入するなど、時代の変化に柔軟に対応したモノづくりに挑む。ミクロサイズの複雑な空隙(液体流路)を形成する「精密異形押出成型技術」や「繊維束成形技術」など、トップクラスの技術力が強み。今後も技術を生かした新製品の開発に注力し、グローバル市場での競争力強化と持続的成長を目指す。
【日刊工業新聞社賞】 三好キカイ
1918年創業。30年にユニバーサルジョイントを開発し、その先駆者として時代をリードしてきた。高い国内シェアを誇る高精度のユニバーサルジョイントで培った技術力とノウハウを生かし、91年には組み立てフレーム部材「パイジョン」を開発。当初、家具向けに開発された同商品を、産業機械部品やセンサーの取り付け部品などへ用途を広げ、現在は売り上げの35%を占める第2の柱へと成長させた。「全産業の発展に貢献する」という経営理念のもと、多様化・高度化する顧客ニーズに応え、高付加価値の製品開発にまい進する。
