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近畿大 MNの開発進める/「こーばへ行こう!」
近畿大学生物理工学部の加藤暢宏教授は、3Dプリンターを利用し止血用のマイクロニードル(MN)の開発を進めている。MNは直径数マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の針先を持つ複数の針が並んだシート状の構造を持ち、注射針というよりも剣山のイメージだ。作製したシートをばんそうこうのように傷口に貼るだけで止血でき、手術中に出血した際の止血材として活用できる。
安全性高い止血材 手術現場での活用目指す
MNの研究に関しては英国や韓国、国内では東京大学や富士フイルムなどが開発を進めている。MNは皮膚の最も表面の表皮の内側にある「真皮」の上部に刺すため、痛点に届かず痛くなく、この場所に免疫に関する細胞が多いことから、ワクチンの投与方法として期待されている。
加藤教授が開発するMNの適用場所は体内の柔らかい臓器を対象にしている。ポリ乳酸で作られているため、生体内で分解できることも大きな特徴だ。約1ミリメートル間隔のメッシュ構造で柔軟性が高く、医療用テープと同様の柔らかさを持つ。
フォトレジストを利用し、型を作製。熱溶解積層法(FDM)形式の3Dプリンターでポリ乳酸製のメッシュシートを作った。型を使ってメッシュシートにMNの形状を転写して作成した。加藤教授は「データさえあれば3Dプリンターを使い短時間で作れる」と自信をみせる。
加藤教授は和歌山県立医科大学の田中篤教授との共同研究を実施。マウスの肝臓をメスで傷つけると1分くらい出血が続くが、MNシートを傷口に貼ると10数秒で止血できた。さらにマウスの心臓をMNシートで覆った実験で、真っ赤な血液が大量に吹き出る「動脈性出血」を止められた。今までの臓器の止血方法では血液製剤が多かったが、高価で、感染症のリスクがあるケースもあった。
今後、加藤教授は安全性が高い止血材として手術現場での活用を目指す。
オープンファクトリー 盛況のうちに終了
大阪府東大阪市のオープンファクトリー「こーばへ行こう!」が18日で閉幕した。盛光SCM(東大阪市)など市内の企業・団体が参加し11月10、11日と、17、18日の2週にわたり開催された。
25年、来場5万人目標
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町工場を題材にした落語を披露 -
工場見学ツアーで製造工程の説明を熱心に聞く参加者 -
東大阪市外の企業の製品を展示するなど地域間連携にも役立っている
市内約30カ所の町工場を会場とし、工場見学やワークショップ、ライブショーなどが行われた。地元の近畿大学や大阪商業大学の学生も企画・販売などで参加した。
盛光SCMは17日、オープンファクトリーで落語イベントを開催。落語家の月亭天使さんがアートステージ(同)の小宮路すえこ社長の波瀾(はらん)万丈の生きざまをモデルにした落語を披露した。落語の登場人物の1人である盛光SCMの草場寛子社長は「涙なしでは聞けない。今後もこうした取り組みを通じ、東大阪の経営者や職人の生きざまを伝えていきたい」と強調した。こーばへ行こう!は18年にスタート。22年の来場者は18年比6倍の4290人に達した。25年には参加企業80社、来場者5万人を目指す。
