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第42回 優秀経営者顕彰
日刊工業新聞社が中堅・中小企業の優れた経営者を表彰する「第42回優秀経営者顕彰」の贈賞式が、22日、東京・大手町の経団連会館で行われる。同顕彰制度は優れた経営手腕により企業を成長させ、日本経済の発展と地域社会に大きく貢献したモノづくり関連の中堅・中小企業経営者を毎年、顕彰している。受賞者に、今後会社をどう発展させたいかを聞いた。
経済の発展と地域社会に貢献した中堅・中小企業経営者を顕彰
最優秀経営者賞/四国化工機 代表取締役社長 植田 滋 氏
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四国化工機 代表取締役社長 植田 滋 氏
日本国内では少子高齢化や人口減少が進んでいる中、このまま日本国内の仕事がメインでは、将来的に市場が縮小してしまう。現在も充填機や紙パック入り豆腐を積極的に海外へ販売しているところだが、さらなる販売拡大に向けて、市場となる地域や対象製品を広げていく必要がある。
そのためには、当社の特徴を発揮できる地域に事業活動の拠点を設けるなど、経営資源を投入していかなければならない。経営資源の中でも特に重要なのが、国際的に活躍できる人材。今後はこれまで以上に、国際的に活躍できる人材の獲得と育成に注力していきたいと考えている。
【受賞理由】
四国化工機は飲料用紙パックや食品カップ、各種ボトルの充填機や関連機器のほか、飲料・食品向けの包装資材を手がける。屋根型紙容器成形充填機では国内シェア70%のトップ企業。機械や包装資材を使用する食品の領域にも参入し、157日間常温保存できる豆腐なども製造販売する。植田滋社長は1996年に就任。将来を見据えて積極的に設備投資し、売上高も大きく伸ばした。四国・徳島を代表する企業として、地域の発展にも貢献。世界50カ国以上の企業と取引する国際的な中堅企業に育てた。
優秀経営者賞/光陽産業 代表取締役社長 大山 健二郎氏
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光陽産業 代表取締役社長 大山 健二郎 氏
事業領域の拡大、新規事業、海外事業の三つで成長する計画だ。中長期目標として、売上高100億円を目指している。
国内のガス器具市場は底堅くはあるが、成長を予期するのは難しい。ただ、周辺にはまだ手つかずの仕事がある。既存事業を肉付けするように拡大していく。また、医療向けをはじめ新規事業を強化する。これらを成長戦略の2本柱と位置付けている。中国・大連の製造拠点を生かし、海外販売も増やすつもりだ。
正義を失ってしまったら、会社を継続できない。ずる賢いビジネスは長続きしない。社会的意義を踏み外さず、確実に成長していきたい。
優秀経営者賞/サン工業 代表取締役社長 川上 健夫 氏
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サン工業 代表取締役社長 川上 健夫 氏
サン工業には「21世紀のめっきを極める」というキャッチフレーズがある。めっきは奥が深く可能性がある分野なので、さらに深掘りし当社独自のめっき技術を増やしていきたい。
一方で、めっきは表面処理の一分野であり、それだけに注力してきたが、今後は視野を広げて「化学」という大きなフィールドでチャレンジしていきたいと思っている。これまでの経験や知見を生かして、できることは山ほどあるはずだ。
めっき業界は3K(きつい・汚い・危険)というイメージが強く残っているが、業界のセオリーを壊して、社員が安心して働ける環境も同時に追求していく。
優秀経営者賞/木田バルブ・ボール 代表取締役社長 木田 浩史 氏
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木田バルブ・ボール 代表取締役社長 木田 浩史 氏
長年培ってきた加工技術やロボット活用ノウハウを生かし、お客さまの自動化提案から専用機の設計・開発・据え付けまで一貫してサポートするメカトロ事業を2024年4月に始めた。これまでは三重事業所(三重県伊賀市)の鍛造事業と、本社で担う切削・研磨加工事業の2本柱だったが、バルブ向け事業は景気の浮き沈みが経営に直結する。
一方、メカトロ事業は自社の営業努力で無限の可能性があり、事業基盤の強化につながる。事業の3本目の柱として注力していきたい。環境対策にも本腰を入れ、近い将来、製造など直接的な事業活動におけるカーボンニュートラルの達成を目指す。
優秀経営者賞/コタニ 代表取締役会長 小谷 正博 氏
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コタニ 代表取締役会長 小谷 正博 氏
現在、「グローバル志向、田舎暮らし」をビジョンに掲げ、本社周辺の土地に住宅や商業施設などの整備に取り組んでいる。2023年に新本社事務所を完成させたほか、防音・防振などの環境対策と省人化を図った新工場建設にも着手し、住宅地と工場地が共生するまちづくりを進めている。
会社が生き残るためには地域の支えと人材が重要になる。人々が暮らしやすく、働きやすい環境づくりで地域活性化や人材確保につなげる。
同時に、自動車業界の潮流に対応した生産体制の強化を図るとともに、自動車部品にとどまらず、独自性のある製品開発を推進して成長を目指す。
優秀経営者賞/対松堂 代表取締役会長 田中 寛孝 氏
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対松堂 代表取締役会長 田中 寛孝 氏
創業以来、薬種商から工業薬品販売、電子回路基板の実装メーカーと変貌してきた。事業の変遷は常に現在地の隣にある事業に進出することで、無理して現在地と関係ない事業には手を出さなかったという歴史がある。私の代は海外進出とM&Aを果たし、軌道に乗せることができた。
今後はお客さまの製品開発を支援し、短納期化に応えつつ、お客さまから相談される会社になっていきたいと思っている。当社が100年以上、続いているのは環境の変化に対応してきたから。
日本のモノづくりの競争力が試される中、次の100年に向けて社会に貢献できる会社へ進化することが求められると考える。
優秀経営者賞/土佐電子 代表取締役社長 辻 韶得 氏
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土佐電子 代表取締役社長 辻 韶得 氏
「ものづくりは人づくり」。創業以来、土佐電子が今まで継続できているのは、取引先や社員との縁があり、お力添えをいただいたおかげだ。これからも変わらぬご支援ご協力をお願いしながら、40年の歴史の中で培ってきたオンリーワンの製造技術を後世に継承していく。
そして、慢心することなく次なる時代に向けて変化・成長し、「ものづくり」にこだわる会社として、皆さまに信頼され、喜んでもらえるよう今後も精進していく。
また、ベトナムに進出して二十数年になる。今後も高知県とベトナムの架け橋となるよう、国際協力や友好交流を推進していく。
優秀経営者賞/津根精機 代表取締役会長 津根 良孝 氏
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津根精機 代表取締役会長 津根 良孝 氏
津根精機は金属切断加工機メーカーだが、ずっとそこに安住するだけでは進歩はない。企業には変化を続ける市場ニーズに柔軟に対応する創造性が必要であり、当社もそれを磨く努力を続けている。
その一例として、海外企業との技術提携を通じて、レーザー切断機分野への進出を計画中だ。固定観念にとらわれることなく、新分野、新商品の開発などに日々チャレンジしていくことが重要と考えている。
誠実に取り組む姿勢なくして、新技術や新製品を開発することはできない。製品づくりを通して、市場や社会への責任を果たすこと。それが企業として、最も大切な務めの一つと考える。
優秀経営者賞/FSX 代表取締役社長兼CEO 藤波 克之 氏
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FSX 代表取締役社長兼CEO 藤波 克之 氏
海外市場を深耕したい。日本の文化「おしぼり」を世界の公用語になるよう、高い安全性・抗ウイルス・抗菌を発揮する「VB」技術とともに広めたい。特に和食との組み合わせに照準を合わせている。すでに米国では活動しており、2025年以降はベトナムでも法人立ち上げを目指している。
VBが肌に対する抗老化作用があるということを論文で証明し、応用研究を続けている。化粧品製造免許を取得し、商品ラインアップの一部を化粧品基準に切り替えた。今後、化粧品ブランドも立ち上げていきたい。また、観光にも着目している。観光とおしぼりは親和性が高く、ホテル向けなど商品ラインアップを広げていく。
優秀経営者賞/化研テック 代表取締役社長 堀 薫夫 氏
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化研テック 代表取締役社長 堀 薫夫 氏
化研テックは今後も化学を基本とすることに変わりはない。エレクトロニクス市場はまだまだ伸び、洗浄ニーズもなくならないと見ている。洗浄技術をさらに磨き、国内だけではなく中国をはじめとしたアジア圏で洗浄液、洗浄装置の販売を拡大し、洗浄事業ナンバーワンを目指していく。
また、もう一つの柱として、特殊な形状の銀粉を用いた導電ペーストも市場実績が拡大しており、量産化を進めていく。
会社経営の一番の目標である「社員を幸せにする」を実現するため、常に顧客の潜在ニーズに応える先行技術開発を徹底し高収益企業になることを目指している。
次世代イノベーション経営者賞/三伸工業 代表取締役 加地 重久 氏
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三伸工業 代表取締役 加地 重久 氏
お客さまや関係先の皆さまに感謝と感動を届けることが、私たちの大きな目標。企業文化や価値観を大切にし、社員一人ひとりが社会貢献できる環境を作りたいと考えている。今後は社会インフラ事業とカーボンニュートラル事業を中心として宇宙事業にも注力し、ロケット発射設備や試験設備の分野でリーディングカンパニーを目指す。
将来的には、「ロケット大国ニッポン」実現に向けて宇宙を目指す企業でありたいと思う。常に「どうすれば目的を達成できるか」を考えながら進み、10年後には売上高100億円を達成させ、社会的責任を果たしつつ成長していきたい。
次世代イノベーション経営者賞/アビリカ 代表取締役社長 平田 栄子 氏
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アビリカ 代表取締役社長 平田 栄子 氏
同業他社を見ていると、アビリカの強みであるソフトウエア分野から離れ始めていると感じるので、今後もこの強みをブラッシュアップしていきたい。〝やれる人がいなくなってもアビリカはやれるぞ〟という思いがある。
IT分野にも進出したいが、レッドオーシャンだと認識している。空間上での製品が多いIT分野だが、空間と実際に人が触れる〝その間をつなぐ〟のが当社の役割。そのため、組み込みソフトウエアや制御設計などの仕事は今後も絶対になくならないと思っている。
将来的に自社の組立工場を持ち、一気通貫して制作を行う社員の悲願に向け、尽力したい。
次世代イノベーション経営者賞/アーキビジョン二十一 代表取締役 丹野 正則 氏
移動式木造建築物の活用が広がれば、自然災害の発生時には極めて有用な存在となる。当社はオンリーワンの存在をこの先も続けていく。
地域社会貢献者賞/小賀坂スキー製作所 代表取締役社長 小賀坂 道邦 氏
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小賀坂スキー製作所 代表取締役社長 小賀坂 道邦 氏
いつの時代も物事の本質は不変であると考えている。本質を見失うことなく長年蓄積してきた、他社にはまねできない技術・ノウハウで、「ジャパン・メイド」ならではの高性能で高品質のスキーを作り続け、ブランドの価値を高めていく。
そしてニーズに合わせた豊富な製品ラインアップと、正直・誠実なモノづくりで信頼と信用を積み上げ、顧客やファンを増やしながら国内のみならず海外にも市場を広げていきたいと思っている。
これからもトップアスリートから子ども、高齢者まで多くの皆さまに、スキー・スノーボードを通じて喜びと楽しみを感じていただけるように取り組んでいく。
地域社会貢献者賞/拓南製鉄 代表取締役会長 古波津 昇 氏
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拓南製鉄 代表取締役会長 古波津 昇 氏
創業者が定めた理念「拓鐵興琉」をパーパス(存在意義)として継承し、地域貢献を第一に事業に臨む。循環経済の実現は環境面に限らず、産業振興を通じて資金が還流し、地元に利益が残ることにつながる。利益は給与水準のさらなる底上げ、社会貢献といった活動を通じて還元し、異業種の県内中堅企業とも意識を共有しながら地域の活性化につなげていく。
また社会問題であるプラスチック廃棄物に対しても課題解決に貢献したい。自動車の解体を手がける中で、プラスチックの重要性を実感した。不法投棄の問題を含め、分別や減容など身近な活動から始めて、地域として答えを見つけていく。
地域貢献者賞/星野物産 代表取締役社長 星野 陽司 氏
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星野物産 代表取締役社長 星野 陽司 氏
新商品の開発を通じて新市場を創出する―。
このため、既存の商品や市場に対するマインドセットを変えて、顕在化していないニーズを見い出し、〝顧客の喜び〟を基点にした商品・サービスを提供していく。これらを通じ、「美味しさと健康な食生活の創造」を目指す。
信条である「開発と改善」は、モノづくりにとどまらず、社員一人ひとりの意識・行動に根差している。10年後に商品・事業領域などの半分が入れ替わるぐらいのイノベーションを生み出せる人材・組織・社風を形成するため、失敗を恐れず、失敗してもそれを糧にして成長する「転災為福」の精神で、挑戦を続けていく。
日刊工業新聞社賞/東邦電子 代表取締役 河本 悟 氏
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東邦電子 代表取締役 河本 悟 氏
東邦電子は2023年に60周年を迎えた。社内体制整備を進め、制御に関連する標準品開発を強化する組織、従来の枠組みを超えた新商品開発、生産全般を統括し組織間の課題を解決する生産管理体制を構築し、社員が世の中に対してより誇れる会社となることを目指している。
また、「緩やかな連携」として異業種と製品開発を共同で進めるなど、これまでにない枠組みでのモノづくりを進めている。
あらゆる分野で必要とされる温度の制御、計測を軸として、新しい発想を結集してアイデアを形にする。今まで以上のモノづくりを実現し、次の100年に向けて企業価値を高めていく。
日刊工業新聞社賞/西島 代表取締役 西島 豊 氏
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西島 代表取締役 西島 豊 氏
100年の歴史の中で、西島の作る製品はいろいろと変わってきた。祖業の発動機に始まり、工具へ移って、現在は工作機械。その工作機械も単体を作るだけでなく、いくつもの機械を組み合わせる専用システムになってきた。これからも製品の提供の仕方は、時代に合わせて変わっていくだろう。
しかし、人を中心として、技術で世界に貢献をする会社に変わりはない。結局、信頼される会社というのは、社員が人として信頼をされることに尽きる。どのような製品を納品するにせよ、その人が顧客に信頼されるような会社であり続けていきたいと思う。
日刊工業新聞社賞/信和 代表取締役 西山 幸司 氏
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信和 代表取締役 西山 幸司 氏
営業担当者が顧客の欲しいものに関する情報をつかんできて、その中から経営者が選択して事業展開している。
顧客によってニーズは異なるが、国連の持続可能な開発目標(SDGs)など世間の流れに合った商品を重視して提供する。脱プラスチックや鮮度保持機能が高い商品を開発する。
海外製品の方がコストが安い場合があるが、利益だけ追い求めてもダメ。他社にない商品でニーズに近づいていかないと事業は続かない。青果物向けを中心に提供するのは変わらないが、衛生に対する要求が高まってくることが予想される。クリーンルームを拡充し、青果物の奥深さを掘り下げる。
日刊工業新聞社賞/野添産業 代表取締役社長 野添 智子 氏
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野添産業 代表取締役社長 野添 智子 氏
野添産業は一度市場に出て使用された製品を原料にし、再生製品を製造することに挑戦し続けてきた。再生ストレッチフィルムも回収して再びリサイクル原料にするため、永遠にリサイクルできる仕組み。
環境意識が高い企業から反響があり、今後需要が増えていくことは確信している。ただ、まだ広く知られていないため、宣伝に力を入れていく。
また、回収製品は洗浄せず水を汚さない方法を用いて、当社でリサイクル原料に戻しているが、ストレッチフィルムは海外協力会社で製造している。将来的には国内でストレッチフィルムの製造設備を入れ、発展させていきたいと考えている。
日刊工業新聞社賞/東京メータ 代表取締役 馬場 正寿 氏
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東京メータ 代表取締役 馬場 正寿 氏
空気圧エネルギーを計測できる自社製品「エアパワーメータ」を活用し、工場などの省エネルギー対策をコンサルティングする事業に今後は力を入れていきたい。
多くの工場では金属加工時の切りくずの除去などに、エアコンプレッサーからの圧縮空気が使われている。設備内の圧縮空気の漏れや圧力損失は注目されてこなかったが、同製品でこれを見える化して対策を講じることで工場の二酸化炭素(CO2)排出量を削減できる。
現在、川崎市と連携して市内中小製造業にコンサルティングする事業に取り組み、成果も出てきた。環境負荷の低減と企業の競争力向上に寄与できると考える。
日刊工業新聞社賞/ワークス 代表取締役 三重野 計滋 氏
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ワークス 代表取締役 三重野 計滋 氏
超精密金型メーカーとして社業を発展させてきたが、マイクロレンズアレイ金型の開発を機にガラスレンズ販売にも乗り出す。このレンズは特殊な切削工具を使うことで、従来は直径0・5ミリメートルが最小だったものが、同0・1ミリメートルと大幅な微小化に成功した。情報通信や医療機器、自動車部品に実装して機能向上を図れる。
またこれまでの産学連携に加えて、企業間連携を強化することで販路を広げ、海外展開も進めようと考えている。金型メーカーから光学ユニットメーカーへと脱却し、次世代も飛躍する会社を実現させたい。
日刊工業新聞社賞/ミヤジマ 代表取締役会長 宮嶋 誠一郎 氏
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ミヤジマ 代表取締役会長 宮嶋 誠一郎 氏
これまで以上に社員が豊かに生活でき、多くの人材が入社してくれる会社に発展させたい。私が入社した頃、ミヤジマは社員数が十数人、売上高が1億4000万円規模の会社だった。現在、グループ全体の社員は約70人、売上高は20億円近くの会社にまで成長した。
あと4年もすると創業100年を迎えるが、先行きが不透明な時代、今後も会社が存続するには、企業としてさらにレベルアップする必要がある。
そのためには、やはり人が重要だ。収益力が高く、財務体質が強い会社にすることで、今いる人がやりがいを持って働け、新しい人材も入社したいと思える会社にしていきたい。