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職場の健康と安全を考える
企業における人手不足に伴う、高年齢労働者・外国人労働者の増加を背景に、労働災害のリスクが高まっている。厚生労働省の発表によれば、2025年に発生した労災による休業4日以上の死傷者数は前年に比べ減少しているものの、過去数年で見るとゆるやかに上昇。労災は時に労働者の生命に関わる深刻な問題であり、すべての労働者が安心して働ける職場を整備することは、経営者に課された重要な責任である。
高齢者の労災年々増加
厚労省がまとめた「労働災害発生状況」によると、25年の労災による死亡者数は前年から46人減少して700人と過去最少を記録。休業4日以上の死傷者数は13万5333人と、前年に比べて385人(0・3%)の減少となった。
23年3月に策定された「第14次労働災害防止計画」では、21年比で死亡者数を5%以上削減し、死傷災害の増加傾向を抑制して27年までに減少させることを目標に掲げている。死亡者数については減少傾向が続いており、状況が維持されれば、計画の目標達成が見込まれる。
死傷者総数は昨年より減少しているが、55歳以上の年齢帯は軒並み増加。その死傷者数は計6万742人と昨年より1785人増加している。特に労災発生率が高い60歳以上の高年齢労働者を対象とした対策の推進が求められている。
法令遵守し安心安全な労務環境を整備
休業4日以上の死傷災害発生状況を見てみると、事故の種類別では「転倒」が最多で、3万7195人(前年比817人増)が被災した。次いで「動作の反動・無理な動作」が2万2166人(前年比52人増)。三番目は「墜落・転落」が2万864人(前年比165人増)となった。一方、業種別では、製造業が2万6371人(前年比305人増)と最も多く、商業が2万3128人(前年比1089人増)、保健衛生業が1万9291人(前年比424人増)と続く。高齢労働者の増加が、転倒災害の主な要因となっており、転倒予防など取り組み強化が急がれる。
また昨今は職場における熱中症も深刻な労働災害である。25年6月より厚労省は改正労働安全衛生規則を施行し、事業者の熱中症対策の実施を義務付けた。しかし25年の熱中症による死亡者および休業4日以上の業務上疾病者の数は1803人(前年比546人増)と過去最多となった。業種別では、最多が製造業365人(前年比130人増)、次点で建設業292人(前年比64人増)。過去5年間に発生した熱中症の死傷者5554人のうち、製造業1063人、建設業1038人と、2業種だけで約4割を占めるほど、深刻な問題となっている。
厚労省は26年3月に「職場における熱中症防止のためのガイドライン」を策定。これまで以上に周知徹底を図る。
労働災害や事故が発生すると、多額の賠償責任を負うリスク、従業員の退職リスクも高まる。法令を遵守し、安心安全な労務環境を整えることで職場の安全性が高まり、従業員を労災や事故から守ることができる。
自立的な安全管理体制の整備・強化を支援
職場の安全衛生への取り組みを進めるあんしん財団では、死傷者数が多い4業種を対象にチェックリストをホームページ上で公開する。最大100の設問に回答すると、どの分野が対策不足か直感的にわかるレーダーチャートを表示。設問ごとに法令などの助言や対応策も確認できる。このほか“WBGT(暑さ指数)値記録表”などのフォーマット18種類、“火気厳禁”といった安全対策の徹底を促す多言語対応の提示物39種類もダウンロードして使用可能だ。
