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11月1日 計量記念日
11月1日は「計量記念日」。現行の計量法が施行された1993年11月1日にちなみ、通商産業省(現経済産業省)が制定した。併せて11月を計量強調月間とし、計量制度の普及や社会全体の計量意識の向上を目的とした啓発活動などが実施される。この機会に計量制度の意義・重要性について認識を深めたい。
品質保ちフェアな取引
計量は科学の基本となるだけでなく、商取引や法規制を介して我々の社会生活に大きな影響を与える。計量の基準を定め、適正な計量を確保することは、日常の生活を守り、経済を発展させるために不可欠である。
計量とは長さ、質量、時間、体積などを特定の基準を用いてはかり、その値を導き出す行為を指す。計量法は「計量の基準を定め、適正な計量の実施を確保し、もって経済の発展及び文化の向上に寄与すること」(第1条)を目的とする。
特に経済活動においてはお互いが共通で正確な〝物差し〟を用いなければ、フェアな商取引は成立しない。水道や電気、ガス、食品、燃料など、正しく量られていることを前提に料金が算出される。例えば百貨店では国家資格である計量士が所属しており、店内にあるはかりの巡回点検、量目検査、値札が適正表示されているかの確認、店員に対する食品表示の指導などを行う。販売店はこうした活動により、消費者からの信頼を確保している。
モノづくりの品質管理では、正しい寸法測定は基本中の基本となる。モノづくりのそれぞれのプロセスで同一の基準、同一の手順で全員が正しく測定することが大切だ。一人でも正しくない方法で測定した場合、品質を保つことができなくなる。それにより不良品が混入した場合は歩留まりの悪化になる上、そのまま納入された場合はクレームの発生につながる。
校正で正しさ確認
現場で使用する計測器や計量器が本当に正しいのかを確認する「校正」も重要だ。校正とは高精度の標準器と実際の測定結果を比較することで、測定器が正しい測定結果を出すかを調べること。
正確な測定・校正が行われているかどうかを第三者が監視する仕組みとして、計量法トレーサビリティ制度(JCSS)がある。JCSSは計量法に基づく制度であり、計量器に対して国家計量標準に準じた校正ができる事業者を登録する。その校正技術能力が試験所や校正機関認定の国際規格ISO/IEC17025を満たしているのか、製品評価技術基盤機構(NITE)の認定センター(IAJapan)が経済産業大臣に代わり審査して登録を行う。
登録された校正事業者は登録を受けた範囲内の自社製品や持ち込まれた他社製品に対して校正を行い、校正結果によってJCSS標章を付した校正証明書を発行できるようになる。
計測器や計量器は経年劣化などにより誤差を生じる場合がある。計測器・計量器を通して製造された自社製品の品質・仕様の確保のためにも、JCSS校正などを活用して定期的な校正を実施したい。
計量への意識向上
日本計量振興協会は計量啓発全国統一ポスターや計量普及広報誌「計量のひろば」の製作・配布に取り組んでいる。
また計量への理解向上と理科教育推進を目的に小学生を対象に「何でもはかってみようコンテスト」を実施する。今年は小学2年生の佐藤紬葵さんの「金魚のすずしいすみかさがし」が最優秀作品賞に輝いた。そのほか3点が優秀作品賞、1点が北森俊行賞、7点が奨励賞に選ばれた。
同コンテストは参加者が「はかってみたいと思う物」を選び出し、観察し、はかる過程の工夫、調査、まとめた結果をコンテスト審査委員会が優秀作品として選定している。
人々の計量への意識を高めることを目的に、計量啓発標語の募集も実施している。今年は950点の応募があった。最優秀作品賞には脇本健治さんの「信頼に 技術で応える 計量管理」が選ばれた。太田祐紀さんの「安全と信頼は 正しい計量の 積み重ね」など3点が優秀作品賞に、13点が佳作に選定された。