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ユーザー導入事例
東洋電溶/ロボットと組み合わせ部品加工
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WJとロボットを組み合わせ自動化した(小平工場)
加工後に切断―段取りなし
東洋電溶は主に自動車産業向けの省力機械やロボットを使った溶接システム、自動化ライン構築を手がける。機械・制御設計から材料調達、加工、組み付けまで一貫した生産体制を構築しているのが強み。国内には本社工場(東京都青梅市)と小平工場(同小平市)を構える。木村一郎社長は「直近では建設業の自動化ニーズが高まり、引き合いが増えている。この傾向は、しばらく続くのではないか」と予想する。
生産ラインの構築では製品化する前、自社工場でテストを行う。同社が現在、テーマとして取り組んでいるのは「金属加工・溶接工程の自動化」。部品加工は受託した生産ラインで使う設備向けが主体で、その形状は一品ごとに異なる場合が多い。
自動化への取り組みを進める中、同社は2022年4月、小平工場にウオータージェット(WJ)を導入し、ロボットと組み合わせた部品加工システムを構築した。木村社長は米国工場を長年担当した経験を持つ。同工場で導入していたWJのメリットを理解していたことから、国内工場への導入を決めた。
導入した機種はフロージャパンのWJ「Mach300」。加工エリア幅2メートル×奥行き1・5メートルで、Z軸ストロークは305ミリメートル。5軸のテーパー補正機能を備え、省スペース、コストパフォーマンスに優れた機種だ。
自動化前の従来工程では加工対象物(ワーク)をレーザーで任意の形状に切断した後、穴開け加工や板厚調整のための研削加工などを行っていた。その場合、切断後の複雑な形状をしたワークを段取りする必要があり、技術者のノウハウや段取り時間が必要だった。熱による歪みや変形の心配がないWJを導入して加工順を変更、穴開けなどの加工後に切断するようにした。
木村社長は「工程順を変えることによって、加工機への複雑な段取りが必要なく、オペレーターの技量に関わらず工程管理できるようになった」と利点を強調する。東洋電溶が扱うワークの材料は主に鉄で、課題とされた錆対策も独自方法で解決した。
ソフトウエアはフロージャパン独自のウィンドウズベースCAD/CAM(コンピューター利用設計・製造)「Flow Master」を標準装備。板厚・材質を選べば適正な加工速度を選択してテーパー自動補正する。「ウィンドウズベースで構築されているのでオペレーションしやすい」(同)という。
東洋電溶では今後、自社工場の自動化をさらに進める。自動化が進めば「機械加工のノウハウを持った人材が、社内で活躍の場が広がる」。同業他社に比べ若年層が多い同社で、そうした世代に合致した工法を意識することで、働きやすさ、職場の活気をさらに高めていく。
事業内容=ロボットを使った溶接システム・自動化ライン構築
所在地=東京都青梅市今井3丁目7の18
社長=木村一郎氏
電話番号=0428・32・2161
資本金=3416万円
従業員=80人
設立年月=1959年7月
ハタメタルワークス/配電盤部品 加工性能40倍
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WJ加工機の導入で生産性が大幅に向上した
材料ロス低減、作成個数3倍
2022年8月に、ハタメタルワークスは「第3の創業」を迎えた。創業の地である大阪府東大阪市内で本社を移転するとともに、社名を「畑鉄工」からハタメタルワークスに変更。「一層の企業成長には生産能力を拡大する必要があった」。3代目の畑敬三社長は大変革の意義をこう語る。銅を中心とした金属加工が主力の同社。新たなステージに上るための1歩を力強く踏み出した。
新本社の竣工に切断工程の担当者は「待ちに待った」と相好を崩す。旧本社では手狭で導入できなかった設備の初採用にこぎ着けたからだ。新規に整備したのがウオータージェット(WJ)加工機。スギノマシンの「アブレシブジェットカッタ」を選んだのは「オーダーで製作してもらえるほか、アフターサービスの信頼性を重視したから」と畑社長。同機の稼働からおよそ1年が経過する。導入の効果は大きいようだ。
同社が手がける主力製品の一つに配電盤や制御盤の部品「接続板」がある。銅板などを接続方法や設置スペースに応じた形に切断や曲げ加工で作成する。これまではワイヤカット加工機で切断し、マシニングセンター(MC)で仕上げ加工をしていた。
ただ、この工法では「部品1個の加工におよそ2時間を要していた」(加工担当者)。同工程をWJ加工機に置き換えたところ「1時間で20個の加工が可能になった」という。生産性が大幅に向上した結果、本社移転後3年で計画していた売上高10億円(移転前は約8億円)の目標を23年5月期に前倒しで達成。第3の創業を理想の形でスタートすることができた。
CADが扱えれば自由度の高い2次元加工ができるため、1枚の銅板から取れる個数もMCなどに比べ3倍ほど増えた。原材料高が叫ばれる現在、材料ロスの低減にもつながっている。
多様な材質を薄物から厚物までカットできるのもWJ加工機の特徴だ。畑社長は「金属加工にとどまらず、今後は樹脂加工にも挑戦していきたい」と展望する。
事業内容=鉄、非鉄合金加工品・車両用各種電気部品・電気接点などの製造
所在地=大阪府東大阪市高井田16の8
社長=畑敬三氏
電話番号=06・6783・8234
資本金=1000万円
従業員=19人
設立年月=1988年10月