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6月10日 時の記念日
6月10日は「時の記念日」だ。筆者が所属する日本時間学会では、毎年この時期に会員の集まる大会を開き、時間に関わる最新の研究成果に関する情報交換を行っている。今年の大会は6月14日、15日の両日、長崎市で開催される。
時間-快適に使い、充実感を得よう
時の記念日は、1920年(大正9年)に、日本政府が国民が時間に関心を持ち、規律正しく効率的な生活を習慣化するよう啓発するために定めた。
天智天皇の漏刻
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千葉大学大学院 人文科学研究院心理学講座教授/日本時計学会 会長 一川 誠
この日が選ばれたのは、671年、現在の太陽暦で6月10日となる日に、天智天皇が漏刻(ろうこく)と呼ばれる大掛かりな水時計を大津宮に作ったことにちなむ。漏刻で測られた時刻は、鐘や鼓を使って人々に知らされ、当時の律令(りつりょう)制の社会基盤の重要な基盤となったと考えられる。
天智天皇はまだ中大兄皇子だった660年に、明日香の、今では水落(みずおち)と呼ばれる地に国内最初の漏刻を設置したと言われている。この明日香の漏刻については設置の日付が残っていなかったため、日付が残っていた大津宮(おおつのみや)の漏刻設置の方が時の記念日とされた。皇子時代に漏刻を作ったことからわかるように、天智天皇は時を測りそれを国の働きの基礎とすることに熱心だったようである。
本来、漏刻を含む時計や時計の示す時間(時刻)は、社会的な協働のために人間が作り出した道具のようなものだ。そのため、道具に使われるのではなく、道具を使いこなしたらいいはずである。
機能のツール
ところが、飛鳥時代の最高権力者であった天智天皇が時計の設置に熱心だったことや、大正時代の日本政府が「時の記念日」を定めて国民の啓発を行ったことにも関係している。歴史的には時計やそれが示す時刻は社会や組織といった、いわば権力の側から個人を集団の協働へと動員するために機能させてきた道具という側面がある。それは文房具や家電製品のように、生活を便利にするために個人が自由な意思で手に入れた道具とは異なっている。
社会生活を送るためには不承不承従わなくてはいけない、時計仕掛けで動く社会の一員として動くために押し付けられた道具だ。使い勝手が悪いからといって、それを無視して自分のペースで生活することは社会性の放棄になりかねない。
時間の心理学
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視覚の時間解像度を測る実験刺激を観察
押し付けられた道具としての時間とは、どのように付き合えばいいのだろう。使いこなすところまでいかなくても、道具に使われるようなことは避けてできるだけ快適に使いたいものである。そのためには、私たちの心身がどのような時間的特性や制約を持っているのか知る必要がある。
時間に関する心理学研究は時間をどのように過ごすのか、時間の長さの感じ方や過ごした際の充実感の獲得に重要な役割を果たしていることを示している。例えば、体験される出来事が多いほど時間は長く感じられる。また、あとで思い出せることが少ないと充実感はあまり高くならない。
時の記念日をきっかけに、時計仕掛けで動く社会や組織の一部となるのではなく、時間をどう過ごすのか考えてみてはどうだろう。
伝統と革新-若い世代に提案
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カシオ計算機 時計BU商品企画部第二企画室リーダー 佐藤 貴康氏
我々が正確な時刻を知るために利用する腕時計は、長年ビジネスシーンで欠かせないものだった。近年ではスマートフォンで時刻が確認できるようになったことで、腕時計を着けないという選択肢も生まれている。その一方で、腕時計は時を知るための道具を超えて、スタイルや価値観を表す"自己表現のアイテム"としての存在感を高めている。
カシオ計算機は電波ソーラーウオッチ「OCEANUS(オシアナス)」の新製品として、『OCW-S7000RA』など5モデルを6月13日に発売する。開発を担当した、時計BU商品企画部第二企画室リーダーの佐藤貴康氏にこだわりを聞いた。
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機能と美しさ
-これまでにないカラーリングが特徴ですね。
「オシアナスは"青"を象徴色としながら、機能と美しさの両立を追求してきたブランド。立ち上げから20年がたち、買い換え需要が多く初めて購入する人が少ない傾向が出てきた。調査によると近年は"レトロ"なデザインが注目されていることがわかったので、今回はどこか懐かしさを感じるカラーを取り入れた。若い世代にもオシアナスの魅力に触れてもらいたいという思いから、伝統と革新を融合させた新しいオシアナスのスタイルを提案している。」
グラデーション文字版
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グラデーション文字板、ハーフマット調のサファイアベゼル、先端まで太さが変わらないストレート形状の針などが特徴
-デザインのこだわりは?
「中心から外周に広がるクラシカルなカラーのグラデーション文字板が特徴。蒸着や塗装を組み合わせることで、深みのある色合いを再現した。色と光が絶妙に溶け合う奥行きのある表情を生み出している。文字板の下にあるソーラーパネルに光を届けるため、どの位置にどれくらいの色をのせるか、透過率とのバランスを考え理想と機能を両立させた。ベゼルにはサファイアガラスを採用し、天面へレーザー加工を施すことで光沢感がありながらも反射を抑えたハーフマット調に仕上げている」
-流麗なフォームは引き継いでいます。
「魅力は流麗なフォームと装着感の良さにある。今回も、電波ソーラークロノグラフでありながら厚さはわずか9.5ミリメートル。高密度実装技術によって薄型化し、ワイシャツの袖にもすっと収まって腕にフィットする」
-機能面の特徴についても教えてください。
「時刻自動修正機能に加え、Bluetooth接続機能を搭載(1モデルを除く)している。専用アプリケーション『CASIO WATCHES』と連携することで、やワールドタイム設定もスムーズに行える。海外への出張や旅行時にも心強い仕様だ」
喜びと誇り
-どのような人にこの時計を届けたいですか?
「個性が重視される現代にふさわしく、独自性を大切にしながらも、品のある落ち着いた佇まいに仕上げた。三つのスタイルと五つのカラーバリエーションで選ぶ楽しさもある。オシアナスは"青"を軸としながらも、毎回異なる表情や個性を大切に開発してきた。長年、愛用してくれている人も、初めて手に取る人も、着ける喜びと所有する誇りを感じてもらいたい」