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栃木県産業団地
栃木県で新しい産業団地の造成や分譲が進んでいる。経済産業省の2022年の工場立地動向調査結果によると立地件数は21年から8件増の35件と企業立地が加速。県や各自治体は企業の受け皿確保に注力する。東京圏からのアクセスの良さや関東圏で最も安価とされる工業地価格が立地企業へのメリットとなる。
栃木県 整備加速
鹿沼インター産業団地 分譲進む
栃木県鹿沼市では鹿沼インター産業団地の分譲が進む。第1期分譲ではデクセリアルズとDAYDO Holdings(ダイドーHD、大阪府河内長野市、追田尚幸社長)がそれぞれ土地売買契約を締結した。第2期分譲の予約受け付けは3月1日―29日に実施し、5月ごろの内定、2025年の分譲を予定している。
東北自動車道・鹿沼インターチェンジ(IC)から約2キロメートルとアクセス性に優れる。近隣に既存の鹿沼工業団地、鹿沼木工団地、とちぎ流通センターが立地する企業集積性もメリットとなる。
1街区(7万1000平方メートル)の土地売買契約を締結したデクセリアルズの新家由久社長は「新製品や新技術を鹿沼市から発信し、栃木の魅力向上にも寄与したい」とした。
2街区(1万9000平方メートル)のダイドーHDは新工場を建設し27年の稼働を予定。追田社長は「茨城県など北関東での先の需要も見越し、立地を決めた」と説明した。栃木県企業局の北條俊明局長は「両社の事業推進により産業振興、地域発展につながる」と期待を寄せた。
第2期分譲は4万5000平方メートルの3街区と、4万4000平方メートルの4街区で予約受け付けを始める。分譲価格は3街区が1平方メートル当たり2万800円、4街区が同2万1000円。
デクセリアルズ 鹿沼事業所第2工場を拡張
デクセリアルズは鹿沼インター産業団地内に取得した7万1000平方メートルの敷地で、鹿沼事業所第2工場の拡張工事を行う。総投資額は300億円規模。第2工場で製造する異方性導電膜(ACF)の生産能力を拡充する狙い。同社新商品も手がける。拡張した工場は2026年度中の稼働を見込む。
第2工場ではデジタル変革(DX)化を順次進める。生産性向上に向けてプロセスの自動化、ロボット活用を進める。人工知能(AI)による生産計画の自動化、適正化は業務プロセスの最適化につながる。品質向上のため異常予測や品質データのリアルタイムモニタリングを実施。製造現場のリモートオペレーションで作業効率を高める。
東京圏から好アクセス 低い大規模地震リスク
栃木県は東京から約100キロメートル圏にあり東北自動車道や東北新幹線が南北に走り、北関東自動車道が東西に走るなど関東地方における交通の要所に位置し東京圏からのアクセスは抜群の環境であります。また大規模地震のリスクが低いと見込まれており企業にとってのリスク分散、事業継続計画(BCP)の観点からも拠点整備の適地であると考えております。加えて本県の工業地の平均価格は、関東圏内で最も安い価格となっており価格面でも企業が投資しやすい条件を備えております。本県では企業ニーズにお応えできるよう産業団地の整備に積極的に取り組んでおります。
具体的には、現在、「鹿沼インター産業団地」および「しもつけ産業団地」の整備を進めているほか、昨年9月の壬生町における新産業団地開発の事業実施の決定に加え、11月には足利市における新たな産業団地開発に向けた基礎調査実施を決定するなど、企業の皆さまに切れ目なく産業団地を供給出来るよう努めているところです。
特に、「鹿沼インター産業団地」については、第2期(3、4街区)予約分譲案内を開始したところであり3月1日から29日までを申込期間としておりますので、新たな投資計画をお持ちの企業様には、まずは栃木県を第一候補としてご検討をお願いいたします。
栃木県整備加速
あがた駅北産業団地/足利市、26年度造成完了
栃木県足利市で新産業団地の造成に向けた取り組みが進む。東武伊勢崎線・県(あがた)駅直結の「あがた駅北産業団地」は2026年度に造成を完了する見込み。久保田工業団地東側では新産業団地造成に向け栃木県企業局による基礎調査を開始。首都圏へのアクセス性の良さや産業集積地の利点を武器に、企業誘致の基盤とする。
あがた駅北産業団地は面積約19万平方メートル。北関東道・太田桐生ICと、同足利ICまでは10キロメートル、東北自動車道・佐野藤岡ICまでは15キロメートルに位置し、首都圏を中心にアクセス性が高い。
成田国際空港や東京国際空港といった国際空港、茨城港や東京港、横浜港といった主要港湾が100キロメートル圏内で、グローバルビジネスの活用も見込める。駅直結のため通勤や企業拠点間の往来でも使いやすい。
現在13カ所の市内産業団地は全て分譲済みで、立地需要の受け皿がない状況。新たな立地需要に応えるため足利市の早川尚秀市長は23年10月、栃木県の福田富一知事に新産業団地の整備を要望した。選定地は久保田工業団地東側の面積23万平方メートル。
要望を受け、県は栃木県企業局を事業主体として同選定地の基礎調査を決定。24年11月の事業実施地区と事業主体決定、25年1月以降の事業着手を予定する。県への要望にあたって市は28年度の造成工事完了を見込む。
佐野市 植下地区/「重点促進区域」に設定
栃木県佐野市は、事業者の企業誘致と産業団地の開発を積極的に行っている。「地域未来投資促進法」に基づき栃木県が策定した基本計画の中で佐野市植下地区は「重点促進区域」に設定されている。区域の総面積は約65万平方メートル。産業用地の需要に対して県内の用地が不足しており県と市が連携し企業進出を呼びかける。
地域未来投資促進法は、地域特性を生かし高付加価値と経済効果を生み出す事業に対し予算や税制、土地活用の配慮など行政のあらゆる政策手段で事業者を重点的に支援する。事業者が支援を受けるには自治体の基本計画に沿った事業を進めることが要件になる。企業にとって立地計画と県の基本計画が合致すればスピード感を持った事業戦略を練ることが可能になる。佐野市は特定重要物資を扱う企業などの進出を想定し事業者に対して市内進出を促す。
他方で佐野市は、2023年11月に土地区画整理事業で新たに産業団地を整備する方針を決定した。開発区域は15万1000平方メートルで27―29年度の造成工事を目指す。市内にある七つの産業団地は、すべて完売しており新たな受け皿の整備が必要だった。市には年間40件ほどの企業立地の問い合わせがあり、市の担当者は「高速道路の北関東道と東北道が隣接する充実した交通インフラを背景に業種を問わず引き合いが多い」という。佐野市は、企業誘致をきっかけに雇用の創出や市内への移住・定住など地域経済活性化に結びつける考えだ。