-
業種・地域から探す
タイヤ産業
日本自動車タイヤ協会(JATMA)などは2000年に4月8日を「タイヤの日」と定めた。ドライバーにタイヤへの関心を喚起し、正しい使用方法を啓発することで、交通安全対策に取り組んでいる。メーカー各社は安心・安全なドライブを軸に、電気自動車(EV)対応や環境配慮、データ解析・管理など、さまざまな観点から高機能なタイヤを提案している。
日常点検・整備 重要性を訴求
JATMAはタイヤの日の啓発活動の一環として、タイヤの日常点検・整備の重要性を幅広く訴求することを目的に、全国のパーキングエリア(PA)とサービスエリア(SA)で全国タイヤ商工協同組合連合会とともにタイヤ点検を実施している。25年は全国7カ所で行った。
タイヤの日における点検も含めて、25年に計340台を対象に行ったタイヤ点検では半数以上の53・8%が整備不良で、不良の内訳は空気圧不足が圧倒的に多かった。空気圧不足は燃費や操縦性に悪影響を及ぼすだけでなく、事故にもつながる。月に1度の点検や、必要に応じたタイヤ交換が求められる。
タイヤは車を走らせたり停止したりするだけでなく、内部に充填した空気で振動を吸収するなど、快適なドライブの実現において重要な役割を担う。メーカーは「安心」「安全」に加え、車内環境や静音性向上に関する技術開発を行い、最適なタイヤを届けている。またカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現に向けて、環境負荷の低い製品の開発にも取り組んでいる。
車輪脱落予兆など検知
住友ゴム工業の「センシングコア」技術は、タイヤの回転で発生する車輪速データと車両に流れるCANデータ(車両制御情報)を解析し、タイヤの空気圧・摩耗状態・荷重、路面状態、車輪脱落予兆などを検知する。車輪脱落予兆機能は25年10月にいすゞ自動車の大型トラック「ギガ」に、タイヤ荷重・空気圧検知機能は同年12月に中国・重慶瑞馳汽車実業の新型商用EV小型トラック「瑞馳C5」に標準装備された。
同社はサステナビリティーに関する長期目標「はずむ未来チャレンジ」を設定。CO2削減や水素エネルギーを用いたタイヤ製造を推進するほか、サステナブル原材料の使用比率を30年までに40%、50年までに100%にする目標を掲げている。この達成に向けて、資源循環型カーボンブラックの採用などを進める。
カーライフ幅広く対応
ブリヂストンは多様化するカーライフと幅広い顧客ニーズに対応する新ブランド「FINESSA(フィネッサ)」を展開。第1弾として乗用車用タイヤ「同HB01」を2月に発売した。
同HB01は高いウエット性能による安心・安全性と、優れた静粛性・乗り心地による快適なドライビングを実現。製品設計や素材選定において環境負荷低減にも配慮し、コストパフォーマンスにも優れている。セダン、コンパクトカー、軽自動車など多様な車種に対応する。
また空気の代わりにリサイクル可能なスポーク形状の熱可塑性樹脂で荷重を支える「AirFree」は、パンクの心配がなく、メンテナンスしやすい。地域社会のモビリティーを支えることをミッションに、各自治体と連携しながら26年の社会実装に向けて実証実験を行っている。
EV向け製品拡充
横浜ゴムはEV対応タイヤの拡充に取り組む。EV専用サマータイヤを開発したほか、バッテリー搭載による高荷重、高トルク出力、静粛性、電費性能・航続距離の向上といったEV特有のニーズに応える技術を搭載したタイヤに「E+」マークを付与している。
また輸送事業者向けシステム「T.M.S」は、タイヤ内部の空気圧や温度などのデータを点検結果やタイヤに装着したセンサー類から取得し、クラウド上で一元管理できる。最適な商品や運用プランを迅速に提案し、輸送ビジネスの課題解決に貢献する。
さらに植物由来のエタノールなどからブタジエンを高効率生成する技術の実証に向け、日本ゼオン徳山工場(山口県周南市)にベンチ設備を建設中。今年稼働予定で、ブタジエンの量産に向けた各種データを収集していく。
サステナ素材使用比率96%を達成
-
JATMAは国連欧州経済委員会による技術基準で定められた車外騒音基準値を満たす市販用タイヤを「低車外音タイヤ」として表示するラベリング制度を23年1月に開始 -
JATMAは10年1月から、タイヤの転がり抵抗性能とウエット性能の等級分けにおいて一定値を満たすタイヤを「低燃費タイヤ」に認定し、表示するラベリング制度を運用中
TOYO TIREは25年10月、材料・シミュレーション・デザインの3技術を統合した新技術体系「THiiiNK(シンク)」を確立した。
今後はすべての製品開発にシンクを適用。各技術を進化させながら横断的に連動させ、高精度かつ迅速な製品開発に応えていく。
また同社は同年12月、サステナブル素材の使用比率96・5%を達成した次世代コンセプトタイヤを発表した。バイオマス由来のゴムやCO2由来のブタジエンゴム、再生カーボンブラックなどを使用。さらに硫黄や酸化亜鉛といった従来代替が困難だった素材の再生化も実現した。
同社は今後、欧州ビジネスの土台となる研究開発・生産・販売機能をセルビアに集約し、製品性能やブランド力、事業の競争力を鍛えていく。
JATMAは「低燃費タイヤ等のラベリング制度」や「低車外音タイヤのラベリング制度」を実施。メーカーと消費者の橋渡しをしている。ラベル表示によって消費者に分かりやすく適切に情報を伝えるとともに、低燃費タイヤや低車外音タイヤの普及促進にもつなげていく。
【ごあいさつ】日本自動車タイヤ協会 会長(住友ゴム工業会長) 山本 悟/「安全・環境」の両立追求
-
日本自動車タイヤ協会 会長(住友ゴム工業会長) 山本 悟
自動車分野は電気自動車(EV)をはじめとする電動化や自動運転などのデジタル技術の進展、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)への対応など、大きな転換期を迎えています。そのような中で、路面と接して安全を支えるタイヤの役割は根幹において変わりません。
同時に、当会が追求すべき目標が「安全」と「環境」であることも不変です。今年も4月8日のタイヤの日を軸に全国でタイヤ点検活動を実施するとともに、ポスターを展開し、ドライバーの安全意識の向上に努めます。
業務で自動車を運転する人々にとって、車両の安定稼働は重要課題であり、最重要部品の一つであるタイヤの適正な空気圧の維持が欠かせません。しかし昨年実施した路上タイヤ点検では、点検車両の約半数に空気圧不足が認められました。空気圧不足は偏摩耗や異常発熱を招き、最悪の場合、バーストや事故につながる恐れがあります。また燃費悪化やタイヤ寿命の短縮を通じて、コスト増の要因にもなります。
月1回の空気圧点検と運行前の目視確認を徹底し、溝の深さや損傷の有無にも注意を払うことが、安全確保と業務効率維持の確実な一歩です。
脱炭素社会の実現に向けて、タイヤ産業では製造から使用、廃棄に至るまでのライフサイクル全体で環境負荷を低減する取り組みが加速しています。耐摩耗性向上や転がり抵抗低減といった技術開発により、使用段階での二酸化炭素(CO2)排出量の削減と資源効率の向上を両立する製品の提案が拡大しています。
また「タイヤのLCCO2算定ガイドライン」や、低燃費タイヤなどのラベリング制度の活用を通じ、環境性能の“見える化”も進展しています。転がり抵抗の数値からタイヤ使用時の1本当たりのCO2排出量を算定したところ、2024年は06年比で20・6%削減となりました。
当会は23年から、低車外音タイヤのラベリング制度を運用しています。今年2月にはグリーン購入法基本方針において、乗用車用タイヤの車外騒音性能が判断の基準に設定されました。
さらに再生可能原材料の活用やリサイクル技術の高度化も進み、環境配慮型製品への需要も着実に高まっています。今後も、安全性能と環境性能を両立する技術革新が競争力のカギとなります。
