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宇宙ビジネス
宇宙ビジネスは成長産業として、世界的に市場規模が拡大傾向にある。これまで培ってきた日本の技術力をさらに高め、存在感を示せるか-。スタートアップの参入も増える中で、官民の共創が求められる。
官民共創-成長のカギ
30年代 国内市場8兆円規模
日本は「宇宙基本計画(2023年6月改訂版)」で、20年に4兆円だった国内の宇宙産業の市場規模を30年代早期に2倍の8兆円にすることを目標に掲げた。内閣府が5月に公開した「宇宙政策の最近の動向」によると、宇宙分野の世界市場規模は30-40年に約1兆ドル(約150兆円=1ドル150円換算)になると予測されている。日本だけでなくグローバル規模での成長が期待され、国際競争も激化している。
6月29日、大型基幹ロケット「H2A」の最終号機が打ち上げられた。H2Aは2001年の試験機打ち上げ以降、打ち上げに失敗したのは6号機のみで成功率は98%を達成し、宇宙輸送における日本の技術の高い信頼性を築き上げた。今後は「H3」に引き継がれる。
「H3」にバトン
次に打ち上げ予定のH3の6号機は、補助ロケットを取り付けずメインエンジン3基のみでリフトオフする「30形態」の試験機。日本の大型基幹ロケットとしては初となる同形態により、H2Aのおよそ半額の約50億円での打ち上げが可能になる予定で、低コストな宇宙輸送を実現する大きな一歩として注目される。
近年、宇宙産業は官主導から官民共創へと流れが変わり、多くのスタートアップが参入している。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は民間との共創型研究開発プログラム「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)」を18年に開始した。民間のアイデアと、JAXAのリソースや技術を掛け合わせ、新たな宇宙関連事業の創出を目指す。これまで300件以上のアイデアが集まり、50件以上がプロジェクト化された。宇宙旅行やエンタメなど、個人向けサービスの開発プロジェクトもあり、人々が宇宙を楽しむための技術開発も期待される。
