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SMT&ハンダ(2024年8月)
電子部品や半導体はモバイル端末や情報機器、自動車の電動化と電子制御関連の高性能化・多機能化といった流れの中、小型化・微細化が進んでいる。これらの電子部品や半導体をプリント配線板の表面に実装する実装機(マウンター)やハンダ付け装置だけではなく、ハンダ材料や洗浄剤・洗浄装置の技術革新、めっきプロセスなどは、高い品質と信頼性、生産性向上、地球環境対応の視点からモノづくりに関わるユーザーの要求に応えている。
不良率・装置停止低減―生産効率を向上
信頼性・環境性能カギ
プリント配線板に実装する電子部品は表面実装部品(サーフェス・マウント・デバイス=SMD)やチップ部品と呼ばれ、コネクターやコンデンサー、抵抗器、インダクター、集積回路(LSI)などがある。
こうした微細な電子部品をプリント配線板に搭載するための生産ラインには、高密度で高速に表面実装する技術(サーフェス・マウント・テクノロジー=SMT)が欠かせない。
生産ラインはハンダ印刷機、検査機、計測器、マウンター、リフロー炉(リフローハンダ付け装置)、フラックス洗浄装置、それらをつなぐ搬送装置などで構成される。高密度に実装するマウンターは、速度や安定性に加え、実装時の不良率や装置停止の低減、全自動化を目指して生産効率向上を支えている。ジャパンユニックスの新レーザーハンダ付けシステムは、多品種小ロットのデバイスやスルーホールのハンダ付けに最適で、局所加熱のため製品の熱負荷軽減や省スペース、省エネルギー化に貢献する。
また実装密度の向上や電子部品の微細化、狭ピッチ化を背景とする信頼性の高い実装では、フラックス残渣(ざんさ)の洗浄が求められている。化研テックの洗浄剤はVOC(揮発性有機化合物)削減に応えるなど、地球環境に対応している。
自動車に搭載される電子部品やハンダ材料は過酷な温度、泥や粉じんなどの耐環境性、耐振動性に応えなければならない。温度変化が激しい環境でもハンダ内のボイドで熱や衝撃によるクラックが生じないように課題を克服し、高い品質と信頼性を支えている。
また超微細化した電子部品をハンダ付けするには、ハンダ材料や実装機の技術革新が求められる。電子部品の微細化により、プリント配線板の配線も細かくなる。超微細化した電子部品をハンダ付けするにはこうした課題にもハンダ材料メーカーは対応している。
エレクトロニクス産業にかかわる最先端技術・サービスを発信する「電子機器トータルソリューション展2024」が、東京ビッグサイトで6月に開催された。
FUJIは実装技術への要求に加え、省力化と自動化、生産効率向上に応えて進化を続けるマウンターや、自動化などを中心とする実機デモで訴求を図った。
日本スペリア社はハンダの仕組みなどをマンガで解説している。その続編となる内容を描いたパネルを介して、無銀鉛フリーハンダをハンダ付け体験コーナーで紹介した。
会場内ではJPCA賞(アワード)の授与式が会期初日に開催され、奥野製薬工業は「パワーデバイス向けリードフレーム用粒状銅メッキ添加剤『トップクラスターAR』」で受賞に輝いた。
初めてのハンダ付け/東京都電機卸商業協同組合が教室開催
電気機械器具および同部品の卸売団体の一つである東京都電機卸商業協同組合(TEP)の会員サービス委員会は、8月23日に「楽しく遊ぶ『ドローン教室』」を、東京都文京区の全国家電会館で開催した。TEP会員企業の親子ら20組50人が参加した。
教室はドローンの仕組みや知識をクイズ形式で学び、ドローンのキットを組み立て、室内で飛行させる。
本体にプロペラや電子基板を装着。プロペラに接続したモーターのリード線を、電子基板にハンダで接合する。講師が見守る中、子どもたちが挑戦した。初めて手にするハンダごてに「熱そう」と戸惑いながら、ハンダ付けを楽しんだ。
完成後はキット付属のコントローラーを使い、会場内の飛行エリアで飛ばした。参加者からは完成の喜びと感動の声が響いた。
TEP会員サービス委員会の市村康徳委員長(金大電子産業社長)は「子どもたちにモノづくりの楽しさや関心を持ってもらいたく、当委員会として初めて教室を開いた」と背景を述べ「親子からこぼれる笑顔を見て、次回も開催を検討したい」と抱負を語った。