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製造業の補助金
企業の人材確保が厳しさを増す中、中小企業には労働生産性の向上が求められている。経済産業省中小企業庁は中小の省力化投資を後押しするため、「中小企業省力化投資補助金」を創設し、今年6月に申請受け付けを始めた。ここでは同補助金について紹介する。
中小企業の省力化を後押し/省力化投資補助金
3年5000億円、A4「1枚」で応募
企業庁は中小の省力化投資を促す「中小企業省力化投資補助金」の申請を、随時受け付けている。多くの産業で人手不足が深刻になる中、同事業を通じて中小への設備投資を促す。
同補助金はIoT(モノのインターネット)やロボットなど、人手不足解消に効果がある汎用製品をカタログに掲載。中小は導入したい設備をそこから選択し、申請する。
補助対象者は人手不足の状態にある中小や個人事業主(表1)。補助の対象経費は、省力化製品の設備投資における製品本体価格と導入経費としている(図1)。
補助率は2分の1以下で、補助上限額は従業員数によって異なる。5人以下は200万円、6-20人は500万円、21人以上は1000万円。賃上げ要件を達成した場合はそれぞれ1・5倍の額に引き上げられる(表2)。2023年度補正予算や既存の事業再構築促進事業を再編して、3年間で5000億円の予算を確保している。
同補助金は一般的な設備投資補助金と比べて、簡易に申請できるのが特徴だ。あらかじめ国や事務局が省力化効果や価格妥当性を審査しており、申請者による相見積もりや書類提出の負担をなくしている。
例えば、事業再構築補助金の申請ではA4で15ページ程度の事業計画書が必要だが、省力化投資補助金ではA4で1枚程度の情報量で応募できる。また採択と交付決定を同時に行うため、交付審査の書類の提出や審査期間が不要となる。応募から採択・交付決定は1-2カ月の見込み(図2)。
簡易にすることで交付申請の利便性向上を図り、早期の省力化を後押しする。
企業庁、カタログ充実図る/全国で説明会
カタログには製造業のほか、倉庫業、卸売業、飲食サービス業、印刷業などの業界を対象にした製品が登録されている。
9月3日時点でのカテゴリー登録件数は22件、登録製品数は149件(表3)。製品カテゴリーは随時追加される予定だ。製造業を対象としたカテゴリーは清掃ロボット、配膳ロボット、自動倉庫、無人搬送車(AGV)、丁合機、検品・仕分けシステムなどがある。
今月、新たに鋳物用自動バリ取り装置が追加された。鋳物製造業向けに、鋳造工程で発生する鋳物の突出部やバリの除去作業を自動化する。これまでグラインダーを用いて手作業で行っていたバリ取り作業の工数を削減し、省力化につなげる。
企業庁は製品カテゴリーや登録製品の充実を図る。中企庁経営支援部の山本慎一郎生産性向上支援室長は「制度の周知や各関連工業会に向けた説明会を行っている。今後ますます充実させていきたい」と意気込む。また同補助金制度について応募から事業完了までわかりやすく解説する説明会を、今日から全国47都道府県で開催する。開催日時と会場はホームページから確認できる。
省力化製品メーカーに商機
省力化につながる製品を製造しているメーカーや販売事業者にとっては、カタログ掲載がビジネスチャンスにつながる。
自社製品の製品カテゴリーがカタログに掲載されている場合は、指定された工業会に製品登録申請をして、扱う製品が省力化に資するかなどの審査を受ける。承認を得られれば、証明書が発行される。事務局にカタログ登録申請と証明書を提出すると、カタログに製品が登録される。
自社製品のカテゴリーがカタログに掲載されていない場合は、自社製品を所管していると思われる工業会に、カテゴリー登録申請を依頼する。中企庁による審査・認定が行われると、製品カテゴリーが創設される。
8月にカタログ登録サポートセンターが設置された。同センターでは、省力化製品のメーカーや製品カタログの登録に関与する工業会、申請者、販売事業者などの相談を受け付けている。サポートを通じて、製品カタログの充実を目指す。
産ロボ/パッケージ型に道
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ロボットの中でもパッケージ製品はカテゴリー登録しやすい
生産現場の省力化には、ロボットの活用が有効だ。カタログに掲載されているロボットのカテゴリーは①清掃ロボット②配膳ロボット③飲料補充ロボット-の三つのサービスロボットとなっている。
産業用ロボットがカタログに掲載されていないのは、産ロボが単体では使えないことが理由に挙げられる。企業庁は当初、スタンドアローンでシステム構成要素がないものを対象としていた。また普及率が著しく高くはないものを要件としている。日本ロボット工業会(ロボ工)の矢内重章事務局長は「溶接や塗装、組み立てなど既存のロボット用途はシステム構成要素がある上に普及率が高く、カテゴリー化は難しいと判断していた」と話す。
しかし産ロボがカテゴリー化できない訳ではない。矢内氏は「パッケージ製品であればスタンドアローン的要素がある。例えば安全柵の中にロボットが組み込まれたパレタイザーなどがある」という。成形機の上に取り付け、成形品を取り出すロボットも周辺装置が少なくスタンドアローンの要素がある。だが「成形品取り出しロボットはすでに普及している」(矢内氏)。
ロボ工は今後、どの範囲までのロボットが補助対象に該当するか企業庁と調整していく考えだ。前述の3カテゴリー以外のカテゴリー登録の要望もロボ工に寄せられており、カタログ掲載に向けて取り組んでいる。
日刊工業新聞社3展示会/イベントでセミナー・相談会
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18―20日に開催されたJapan Robot Weekでは、ブースに多くの人が訪れた
省力化補助金事務局は日刊工業新聞社主催の3展示会に出展する。ブースでは事前予約が要らない無料のミニセミナーと個別相談会などを実施。人手不足に悩む中小企業や省力化製品のメーカー、工業会、販売店などの相談も受け付ける。
出展予定の展示会は10月16-18日にマリンメッセ福岡(福岡市博多区)で開催する「モノづくりフェア」、11月13-15日にインテックス大阪(大阪市住之江区)で開催する「未来モノづくり国際EXPO」、11月20-22日にポートメッセなごや(名古屋市港区)で開かれる「名古屋プラスチック工業展」。