-
業種・地域から探す
新分野進出に向け、企業連携広がる
自動車製造技術生かし、スタートアップと協業
-
浜松市内での実証実験で使用する車両
スズキは相次いでスタートアップに出資し、協業先を拡大している。スカイドライブ(愛知県豊田市)との協業では、「空飛ぶクルマ」と呼ばれる電動垂直離着陸機(eVTOL)の製造を開始した。スカイドライブ子会社のスカイワークス(静岡県磐田市)を通じて、スズキグループが磐田市に保有する工場で「SKYDRIVE(SD-05型)」を製造する。
自動運転技術の関連では、5月に米国の米グライドウェイズ(カリフォルニア州)に出資した。グライドウェイズは軽自動車並みの小型電動車両を専用レーンで隊列自動運転させる「個人用高速輸送システム(PRT)」を手がける。同システムで使う車両の開発・生産などの協業を検討していく。6月にはティアフォー(名古屋市中村区)と自動運転技術の研究開発や社会実装で資本・業務提携を結んだ。ティアフォーの技術と、スズキの製造ノウハウを掛け合わせた自動運転サービスの開発を目指す。
スズキは路線バスが廃止となった地域などで住民の足となる自動運転移動サービスを開発するため、浜松市で自動運転技術を活用したモビリティーサービスの事業化に取り組んでいる。
このほかにも2023年には、エリーパワー(東京都品川区)に追加出資を行った。両社でモビリティにも搭載可能なリチウムイオン電池を共同開発する。またソラコムにはスズキのコーポレートベンチャーファンド「スズキ・グローバル・ベンチャーズ」を通じて出資をした。IoT(モノのインターネット)活用で協業を検討する。
中国で自転車・バイク向け電動ユニット生産
-
電動バイク向け2速自動変速インホイールモータードライブユニット
ジヤトコは25年3月末までに、中国で電動自転車用と電動バイク用のドライブユニットの生産開始を目指す。まず電動自転車用が年産10万台、電動バイク用が同20万台の規模で生産する。30年には合わせて同100万台程度に拡大し、売上高全体の10%を占める事業規模に育成する。25年には日本で電動駆動装置「eアクスル」の生産も予定しており、電動化関連事業を一段と加速する。
中国で生産するのは電動アシスト自転車用ドライブユニットと、電動バイク向け2速自動変速インホイールモータードライブユニット。どちらもジヤトコ(広州)自動変速機で生産する。無段変速機(CVT)の生産ラインを流用するため、大きな追加投資はないという。
電動アシスト自転車用ドライブユニットは韓国自転車メーカーのマイベロ(順天市)に供給する。3月から検証用ユニット50台を順次供給しており、性能評価を行っている。
バイク用は中国の電動2輪向けドライブユニットメーカーの浙江九洲新能源科技(泰州市)と共同で開発。車輪に2速自動変速を内蔵したインホイール構造で、走行性能を高めた。「いずれも技術的な優位性を持つ」(佐藤朋由ジヤトコ社長)としている。CVT世界シェアトップのジヤトコは、成長の軸足を電動化向け製品に置いている。eアクスルは25年3月をめどに、富士工場(静岡県富士市)で年産10万台規模の立ち上げを計画。30年までに同500万台の目標を掲げる。
「フォーミュラE」参戦、電動駆動装置の技術提携
-
ヤマハ発動機は英ローラカーズと提携した
ヤマハ発動機は世界的な電動化製品の需要増化に備え、電動化製品の開発、ラインナップの拡充を実施し、需要を取り込む。このほど同社はレーシングカー開発企業の英ローラカーズと電気自動車(EV)の国際レース「フォーミュラE」の車両用高性能電動パワートレーン(駆動装置)の開発・供給に関するテクニカルパートナーシップ契約を結んだ。ローラカーズはフォーミュラEの参戦チームである独アプトと提携を結び、ヤマハ発とローラカーズが協力して開発する電動パワートレインを搭載した車体パッケージをアプトに供給する。ヤマハ発の4輪車レースへの関与は、1997年のフォーミュラワン(F1)撤退以来となる。
ヤマハ発はモーターやソフトウエアなどを開発し、レース活動を通じて電動技術獲得を目指す。2輪車事業での電動化推進プロジェクトの最高責任者も兼ねる丸山平二取締役は、獲得したい技術について「バッテリーを効率良く使うエネルギーマネジメント技術がカギになる」と語った。ローラカーズでモータースポーツの責任者を務めるマーク・プレストン氏は「ヤマハ発との提携で得られた電動技術は一般車両にも展開できる」と意義を述べた。今後活動の中で得られたエネルギーマネジメント技術の応用先はヤマハ発動機の持つバッテリー駆動の全ての製品が対象となる。ヤマハ発動機は船外機などのマリン事業でも、中期経営戦略で「マリン版CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」戦略をうたい、推進している。
北海道でレンタル需要開拓
レント(静岡市駿河区)は、北海道を基盤に建設機械器具などのレンタルサービスを手がける片桐機械(札幌市中央区)と業務提携した。半導体関連などの企業集積が進む北海道で、両社の建設・産業機械などのレンタル商品や設備、人材などを相互に活用し新規需要を開拓する。規模拡大に向けてレントは地域レンタル企業との協業を推進しており、26年までに国内でさらに3-4社程度との提携を目指す。今回の業務提携に伴い、レントは苫小牧出張所(北海道苫小牧市)を設置。北海道ではラピダス(東京都千代田区)が次世代半導体工場を千歳市に建設中。レントと片桐機械は同市を中心に建設関連のレンタル需要の増加を見込み、新規受注獲得に協力して取り組む。
レントは建設・産業機械関連商品を中心に全国ネットワークを構築し、レンタル事業を展開する。片桐機械との連携を通じて、レンタル商品の相互活用のほか、顧客情報の共有などでニーズに広範囲で対応していく。レンタル業界は生き残りのため、淘汰・再編が進んでいる。大手が企業買収などを進めているのに対して、レントは国内では他社との提携関係拡大を軸とする戦略を推進いる。業務提携先は23年の熊本中央リース(熊本県合志市)に続き、片桐機械が2社目。コロナ禍で止めていた国内の営業拠点拡大も再開しており、4月には愛知県あま市、兵庫県尼崎市に営業所を開設した。海外でもタイ、ベトナム、インドネシアなどに相次いで拠点を設けており、国内外でレンタル事業を拡大している。
