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培った技術生かし挑戦―協業・新製品開発など
積極姿勢で産業の活性化はかる サービス分野も強化
レント(静岡市駿河区)は、熊本県内で建設機械のレンタル・販売を展開する熊本中央リース(熊本県合志市)と業務提携した。半導体関連などの企業集積が進む熊本エリアで、両社でレンタル商品や人材、設備の経営資源を相互活用して需要を取り込む。提携に先立ち、レントは熊本中央リースが本社を置く熊本県合志市の栄工業団地内に営業拠点を開設した。24年の台湾積体電路製造(TSMC)の熊本工場稼働に合わせた関連企業の進出など、旺盛な設備投資に伴うレンタル需要を取り込む。
鈴与(静岡市清水区)は、日本政策投資銀行が実施する「DBJ BCM格付」融資制度で23年8月に最高ランクの評価を取得した。同社の取得は5回連続で、東海地区の企業では初。防災および事業継続への取り組みが特に優れているとして、最高ランクの格付けを取得するとともに評価に基づく融資を受けた。グループ全体の事業継続対策を底上げしていることなどが評価された。
ニーズ取り入れた製品開発進む
スター精密は自動車、油圧・空圧装置などさまざまな業種の部品加工に対応できるスイス型(主軸移動型)自動旋盤「SP-20」を12月に発売する。最大加工径は標準仕様で同20・0ミリメートル。コレットチャックとガイドブッシュの選択によるオーバーサイズ仕様で同25・4ミリメートルまでの棒材を加工できる。正面加工用刃物台にガイドブッシュを取り囲むように構成した門型刃物台を採用。手前側に最大8本の旋削用バイトを装着できる。奥側に装備した7軸型のクロスドリルユニットは、5カ所をカートリッジ式ポジションとし、加工部品の形状に応じて多様な工具ユニットが装着可能。上部に配置した穴開け工具用スリーブホルダーは4軸型と5軸型のいずれかを選択できる。
エンシュウは工作機械のメンテナンスやオーバーホールなどを担うサービス部門を強化する。修理依頼などの電話窓口「サービスセンター」の受付時間を7月から延長した。サービスを通じて顧客との接点を増やし、汎用機の拡販につなげる。サービスセンターの受付時間は平日を現在の18時から21時に延長し、新たに土曜日も16時半まで対応する体制を整えた。時間延長により、相談件数が従来比2割程度増えたという。
ビッグウェーブホールディングス(HD、浜松市東区)は、マイクロバスを改造した「移動式授乳室・オムツ替え用スペース」の試作機を開発した。イベント会場などで試験運用を重ね、市販モデルを完成させる。
内部は2部屋で、授乳用ソファやおむつ交換台、換気扇、エアコン、おむつ用ダストボックスなどの備品を置く。備品の電源は外部から充電できる容量20キロワットのバッテリーから取るため、エンジンを停止していても8-10時間程度稼働する。バッテリーは非常用電源としても活用できる。後部には折り畳み式のスロープやカーテンを、側面はサイドオーニングを配置した。車室を有効活用できるよう、これまでに開発した移動式分煙室やPCR移動検査車などの設計ノウハウを活用して備品の配置を工夫した。
モノづくりの楽しさ次世代に伝える 体験イベント、競技会など
次世代の担い手確保は今や製造業の最大の課題になっている。若年者にモノづくりそのものの魅力を伝えるため、夏休み期間中は各地でさまざまなイベントが開催された。
バリ取りの受託加工を手がける藤本工業(浜松市浜北区)は、浜松で活動するフレンチシェフ吉田貴洋氏らと共同で「大人力」と題したイベントを開催した。子どもたちに夢と希望を持ってもらえるよう、「大人ってかっこいいな」と思われることをコンセプトに企画。従業員とその家族や近隣住民、職業体験で訪れた中学生など計120人が参加した。
当日は藤本工業の工場とバリ取り作業を来場者に紹介。吉田シェフは「大人の味を知ってもらうため」、中学生以下には無料で野菜の水分と塩だけで味付けしたカレーを提供。準備した100食分が完売した。藤本工業の藤本社長は、「さまざまな分野のプロフェッショナルを見てもらえたので、子供たちが将来の夢を描くきっかけになっていけば良い。浜松にすごいものがあると気づいてほしい」と語り、今後の開催にも意欲を示した。
TRINC(同市西区)は、シルクスクリーン印刷を体験する教室を同社の研究所(同)で開いた。講師は美術大学でシルクスクリーンを学んだ従業員が務めた。シルクスクリーン印刷は、細かい網目の孔にインクが通る部分と通らない部分を作って版にする手法。
版にインクを乗せスキージー(へら)で擦って転写する。近年ではオリジナルシャツへの印刷技法として注目を集めている。
印刷工場の工程ではTRINCの静電気や異物対策製品が使われている。事業活動のなかでスクリーン印刷の奥深さに感銘を受けることも多く、実際に印刷の工程を見て欲しいほしいとの願いから企画した。TRINCの高柳順専務は「印刷を体験し、モノづくりの魅力を知って欲しい。地域貢献活動として継続していきたい」と話した。これまで6月から月一回の頻度で開催。毎回5人程度参加し、11月までの開催を予定している。
体験教室通じ産業界に貢献
浜松職業能力開発短期大学校(ポリテクカレッジ浜松、同市南区)は、「夏休みものづくり体験教室2023」をコロナ禍以来4年ぶりに実施した。小学4-6年の児童と保護者計38組が参加した。「くるくる回る三球儀」・「クリップモーター」・「塩水発電ロボット」など教育玩具を用いた工作体験や、厚生労働省ものづくりマイスターの指導による石材をつかったはんこ「篆刻」の作成、こてを使用した砂絵づくりを体験した。
ポリテクカレッジ浜松は1982年の設立以来、産業界への人材輩出や在職者教育を通じて地域に貢献し続けている。教室開催当日はロボコンの参加の様子の展示やゲーム体験、ブロックで学ぶ機械のしくみの開設など学校の紹介や施設見学も行った。
日本ロボットシステムインテグレータ協会(東京都港区)とヤナギハラメカックス(静岡県吉田町)は、「2023ロボットアイデア甲子園!~静岡中部大会発表会~」を共同開催した。ロボットアイデア甲子園は高校生が考案した産業用ロボットの新たな使用法のアイデアを競うコンテスト形式のイベント。全国各地のロボットセンターなどで産業用ロボットを見学してリポートを提出、そのうちの優れた八つのアイデアを地区大会でプレゼンテーションする。
審査の結果、静岡県立榛原高校2年の内野遥斗さんが最優秀賞に選ばれた。内野さんはビルの壁や窓を掃除する「クリーンスパイダー」を提案した。スマートフォン用アプリで撮影し、ロボットを操作する。プレゼンでは安全性や人件費削減効果を訴えた。内野さんは12月2日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される全国大会に出場する。