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滋賀県産業界特集
44年ぶりに開かれた国民スポーツ大会(国スポ、旧国民体育大会)・全国障害者スポーツ大会や、大ヒット映画「国宝」のロケ地、はたまた北陸新幹線の延伸を巡って、今年は特に注目を集めた滋賀県。大盛況だった大阪・関西万博では県の魅力、文化、技術、製品などを数多く披露し、日本有数の「ものづくり県」であることも国内外に広く発信した。
万博で滋賀の魅力発信
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人機一体の汎用人型重機「零式人機ver.2・0」
「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに10月まで開催され、2500万人以上が訪れた大阪・関西万博には滋賀からも多くの企業・団体が参加して盛り上げ、大盛況のうちに幕を閉じた。7月の滋賀県デイでは県が誇る琵琶湖の魅力を発信し、県民による伝統芸能、滋賀県ゆかりの歌手や芸能人によるライブイベントなども実施。世界遺産の比叡山延暦寺で1200年以上、灯し続けられている「不滅の法灯」が会場をくぎ付けにした。
立命館大学発のロボットスタートアップで注目の人機一体は、5月に万博で開かれた復興庁・経済産業省主催の大阪・関西万博テーマウィーク展示に出展した。鉄道設備での高所重作業解消を目的にJR西日本などと共同開発した汎用人型重機「零式人機ver.2・0」を展示。会場でデモンストレーションを行い、零式人機が来場者に手を振ったり、ミャクミャクのぬいぐるみを持ったりし、訪れた来場者を楽しませた。
金岡博士社長は「どういうストーリーで何を達成するかを届けたい。大人たちも純粋な目で見てくれる」と手応えを感じる。
大阪ヘルスケアパビリオンでも人型重機を静展示し、未来を示した。
このほか、近畿経済産業局が関西の販路開拓に意欲ある中小企業を応援する取り組みで「関西ものづくり新撰」として選んだ製品・技術が、日本や世界が抱える社会課題等の解決に貢献するとし、万博でも紹介された。滋賀からも、廣瀬バルブ工業やシンコーメタリコンなどが参加し、業界初や独自の技術・製品を世界に発信した。
大学連携で技術革新
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学校法人立命館の仲谷善雄総長(左から3人目)、熊本大学の小川久雄学長(左から4人目)ら
デジタルトランスフォーメーション(DX)推進やカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現で半導体研究の重要性が高まる中、1990年代から凋落が続く日本の半導体産業を強化する取り組みが全国で広がり、滋賀でも動き出している。
立命館大学は日本の強みである新規応用研究や新材料開拓で再び日本の半導体産業を国際舞台に戻そうと、2024年に半導体応用研究センター(RISA)を設立するなど、取り組みを加速している。
具体例の一つが熊本大学との取り組みだ。学校法人立命館と熊本大はこのほど、連携協定を締結。半導体分野を始めとする研究活動全般で、人的・知的交流を推進する。
熊本大や半導体産業が集積する九州地域の企業、自治体との協力強化にはRISAを活用する。
熊本大は半導体分野で国内外の企業や大学との連携を進めており、立命館はノウハウを学び、滋賀県で半導体を通じた地域活性化を目指す。将来は熊本と滋賀の企業交流も促す。
9月に開いた協定締結式で、熊本大の小川久雄学長は「両大学の強みを生かした新たな価値創出に取り組む」と強調。立命館の仲谷善雄総長は「半導体産業振興と人材育成を通じ、日本の産業競争力強化と地域社会発展に貢献する」と意気込んだ。
よろず支援拠点 車で巡回
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滋賀県よろず支援拠点 コンサルカー
経済産業省が各都道府県に1カ所ずつ設置し、中小・小規模事業者のための経営相談窓口の一つである、滋賀県よろず支援拠点(大津市)。ここでは、5月から月1回のペースで中小企業診断士の資格などを持つコーディネーターが「コンサルカー」に乗って各地に出向き、地域企業の相談に対応する取り組みを始めた。
10月までに長浜市や甲賀市、高島市、東近江市へ出向き、計7回相談会を開催した。「コンセプトはキッチンカー」(担当者)とし、各地に出向いて中小企業や小規模事業者の販路開拓、売り上げ拡大、経営改善などのさまざまな相談に現地でコーディネーターが対応している。場合によっては、工場など現場を訪れることもあったという。11月25日にも彦根市や多賀町でコンサルカーでの相談会を開催する予定。
滋賀県よろず支援拠点は、毎年約6000件の相談に無料対応しており、滋賀県産業支援プラザ(大津市)や長浜サテライト(滋賀県長浜市)に拠点を持つほか、出張相談会場を県内8カ所設けている。ただ、相談会場が遠い事業者も多いとして、車を使って遠隔地へ出向く取り組みを始めた。
