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製造装置、初の4兆円 今年度15%増
AI・パワー半導体 日本市場、右肩上がり
日本半導体製造装置協会(SEAJ)が7月4日に発表した2024年度の日本製半導体製造装置の販売額は、前年度比15・0%増の4兆2522億円となり初の4兆円を超す過去最高を予想した。中国市場向けが継続して堅調に推移するほか、年度後半からメモリー投資回復を見込んだ。国内外メーカーの日本市場における半導体製造装置販売高は、メモリー市況の回復に加え政府による補助金効果などを背景に、同17・0%増の1兆3375億円を見込み、過去最高を更新する。
河合利樹会長(東京エレクトロン社長兼最高経営責任者〈CEO〉)は「産業や社会インフラ、AIなど、新しいライフスタイルとともに、半導体製造装置市場の成長スピードが加速している」と述べる。
25年度の日本製半導体製造装置の販売額はロジック・ファウンドリー、メモリー全体で堅調な投資を予想し4兆6774億円、26年度もAI関連半導体の需要押し上げ効果が顕在化することから、5兆1452億円と予測した。
サーバーについてはAIサーバー向け画像処理半導体(GPU)の需要は高く、データを高速処理する広帯域メモリー(HBM)は需要が急増。今後はAI機能をサーバーだけでなく、オンデバイス(エッジ・ローカル)という形でパソコン(PC)やスマートフォンに搭載する動きが加速すると見ている。AI PCでは従来のCPU、GPUに加えて、AIの推論処理を行えるNPU(ニューラルネットワーク・プロセッシング・ユニット)を標準搭載し、高度なAI処理をCPU、GPUの負荷を軽減させつつ最適化し、低消費電力を実現する。
こうしたCPU、GPUに加えてNPUを同時搭載するには、相対的に集積度を上げるか、ダイ面積を増やす必要がある。さらに動画を含め快適に動かすには一層の大容量化が求められる。オンデバイスAIが半導体市場に与える影響は、ロジックとメモリーにとってプラスとなる見込みである。
また25年10月には米マイクロソフトのOS(基幹ソフト)「ウィンドウズ10」のサポートが終了する。エンタープライズ向けのPC買い換えも促進される。
データセンター投資もAI用途だけでなく、いずれ汎用サーバーを含めた更新投資に向かうとみられる。
日本市場における半導体製造装置販売高では、25年度では複数の大手ファウンドリー投資が重なり、メモリー投資も大きく復活が期待され1兆7388億円、26年度も引き続き堅調な投資が見込まれ1兆8605億円を予測する。
日本市場における半導体製造装置販売高は、07年度に1兆円を超えて以降、22年度までの15年間は1兆円に達しなかった。河合会長は「これからは日本市場において、右肩上がりは想定できる」と成長に期待を寄せる。
世界の半導体市場は23年の5268億ドルから、30年には1兆ドルを目指すと言われ、半導体製造そうちともに、高い成長率が見込まれる。
次世代パッケージで研究会
自動運転向けなどの次世代半導体では、後工程のパッケージ技術がキーテクノロジーの一つとなっている。半導体パッケージングは採用するアプリケーションにより小型化、低消費電力、高信頼性、低コストなど、求められる要件が異なる。これらには2・x次元(2・xD)や3D、再配線層(RDL)、シリコン貫通電極(TSV)、チップレット、新たな設計手法、シミュレーション環境などの掛け合わせが必要となる。
こうした中、日本電子回路工業会(JPCA)は半導体パッケージ基板に関する活動として「次世代パッケージ(HCM)基板研究会(仮)」を発足すると6月27日に発表した。
同研究会では最先端の半導体パッケージ基板に関するネットワーキングの構築やマッチングなどを中心に活動しする。
レゾナックホールディングスは、7月8日、次世代半導体パッケージ分野において、日米の材料・装置などの企業10社によるコンソーシアム「US-JOINT」を米国・シリコンバレーに設立すると発表した。
半導体の製造装置・材料メーカーの枠を超えて日本で進めてきた半導体パッケージ技術開発のコンソーシアム「JOINT」と「JOINT2」の取り組みを、米企業も交えて海外に展開する。
