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セルフメディケーション
医療費の増大や医療体制の逼迫(ひっぱく)を背景に、自身の健康に対して注意を払い、軽度な身体の不調は自分で手当てする「セルフメディケーション」の重要性が増してきている。厚生労働省は「セルフメディケーション税制(セルメ税制)」を延長するなど、施策でセルフケアを後押ししている。また、日本OTC医薬品協会はOTC医薬品を利用するための情報提供サイトを5月にリニューアルオープンし、生活者に向けた発信を強化している。
セルメ税制 26年12月まで延長/自分の健康に責任
4本柱
世界保健機関(WHO)によるとセルフメディケーションは「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義され、①規則正しい生活を心がける②一般用医薬品(OTC医薬品)を上手に使う③症状やけがに対して正確な知識を持つ④常日ごろの健康と生活習慣をチェックする―の4本柱を基軸としている。
2026年まで延長されたセルメ税制は、特定の成分を含んだOTC医薬品の購入額が1家庭で年間1万2000円を超えた場合に適用される。確定申告後に所得税が一部還付となり、翌年の住民税が減額となる。当初は21年12月までの時限措置となっていたが、26年12月まで延長された。
医療費2倍
セルフメディケーションが推進される背景には、医療費の増大や医療機関の逼迫がある。厚労省によると、21年度の国民医療費は45兆359億円と、30年前と比較して2倍以上に膨らんでいる。毎年増大し、21年度は20年度と比べて2兆694億円の増加となった。国民医療費は今後も増加する見通しで、社会保障給付の持続性が喫緊の課題となっている。
コンテンツ拡充
日本OTC医薬品協会はOTC医薬品を正しく知り、有効活用するための情報提供サイトを5月にリニューアルオープンした。OTC医薬品の正しい使い方や一問一答、症状別アドバイスなどの情報を一元化したポータルサイトとなっており、今後も随時コンテンツを拡充していく。
未来の医療提供体制に貢献/日本OTC医薬品協会 会長 杉本 雅史 氏
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日本OTC医薬品協会 会長 杉本 雅史氏
日本OTC医薬品協会はわが国の医療提供体制と国民皆保険制度を持続可能なものとするため、「自分の健康は、自分のために、自分で守る」というセルフケア・セルフメディケーションの意識を醸成し、優れたOTC医薬品を生み出し、育てることで、OTC医薬品が「生活者と医療をつなぐ大切な存在」となることを目指して活動しています。
現在も新型コロナウイルス感染症は流行の波を繰り返している状況ではありますが、軽度な体調不良については解熱鎮痛薬などのOTC医薬品を活用し、コロナウイルス抗原検査キットなどのOTC検査薬により自身の体調を知る行動が広まっています。そこで培われたセルフケア・セルフメディケーションへの意識の向上・変革は未来の医療提供体制に貢献ができると考えています。
当協会は今年度、特に「生活者に寄り添ったセルフケア・セルフメディケーションであるために」 というテーマを掲げました。「OTC医薬品・OTC検査薬の普及と拡大」「ヘルスリテラシー向上のための環境整備」を重点活動項目としています。その具体策の一つに「セルフメディケーションに関するDXの推進」を取り上げており、「上手なセルフメディケーション」サイトをリニューアルしました。本サイトは生活者や医療関係者が必要とする信頼できるOTC医薬品のさまざまな情報に、誰でも簡単にアクセスできる環境を整備しました。生活者とOTC医薬品をつなぐ重要な接点として活用していきます。
さらに次のステップとしてOTC医薬品の情報を電子版のお薬手帳と連携し、医療用医薬品との飲み合わせなども一元管理し、セルフメディケーション税制の申告を容易にすべく検討を重ねているところです。
日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会内に設置された「日本OTC医薬品分科会」に協力し、学術大会におきまして、スポンサードシンポジウムを開催しました。アカデミアなどとの学術的な見地からOTC医薬品のあり方を検討すべく、「日本OTC医薬品学会」の設立に向けて活動しています。
これからも、日本OTC医薬品協会はOTC医薬品が生活者の健康維持、管理から医療への橋渡しをする大切な存在として貢献できるよう活動を進めてまいります。