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7月15日 海の日
日本は古くから海洋国家として海外との貿易で栄えてきた。7月日の「海の日」は1996年に施行された国民の祝日。「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」ことを趣旨とする。内航海運は日本の基幹的な物流手段だが若年層の人材獲得をはじめさまざまな取り組みで業界を支える。
輸出船、5月契約2・6倍 170万総トン
日本船舶輸出組合(JSEA)が6月19日に発表した5月の輸出船契約実績によると、受注量を示す一般鋼船の契約は前年同月比の2・6倍の170万1000総トン。4カ月連続で前年同月を上回り、さらに単月では2カ月ぶりに100万総トンを超えた。
鋼材の高騰や高止まりは課題としてあるものの、為替の円安効果が働いた。鋼材の価格高騰を船価へ転嫁する動きも見られる。
新造船受注量から完成分を引いた国内における輸出船の手持ち工事量は621隻、2888万427総トン。約2年分に相当する2000万総トンを超えた。
世界の船舶需要の約9割を日本、中国、韓国が建造しており、国際競争は激しさを増している。今後の船舶市場の拡大が見込まれる中、海運分野の脱炭素化の加速、船舶の省人化・自動化の進展など、世界的な潮流に対応しつつ競争力を強化する必要がある。
内航海運、輸送力増強/2024年問題 モーダルシフト進む
わが国の貿易は99・6%を海上輸送に依存している。また、22年度の内航海運の輸送量は1627億トンキロで、国内物流の約40%、鉄鋼、石油製品、セメントなどの産業基礎物資輸送の約80%を担っている基幹的な物流手段。
近年の「2024年問題」を背景に、トラックが運ぶ貨物の一部を内航海運や鉄道に振り替える「モーダルシフト」のさらなる推進が求められている。モーダルシフトの受け皿である中長距離フェリーやRORO(貨物用フェリー)船航路は、輸送力増強のために新規航路開設や代替建造が検討されている。
若年船員微増
しかし、内航船は船員のなり手不足や高齢化に加えて、船の老朽化が進みやすい問題を抱えている。
国土交通省海事局の「数字で見る海事2023」では、22年10月時点で法定耐用年数の14年を超える船齢の船舶が全体の約7割、50歳以上の船員が全体の44・4%。30歳未満の船員数は、17年には全体の18%に当たる5012人から、22年には同19・8%の5551人と少しずつ増加している。
未来のエンジニア、「出航ヨーソロ」/鳥羽商船高専―4代目練習船を新造 来年
鳥羽商船高等専門学校は商船高専5校の中でも長い歴史を持つ。1881年(明治14)に鳥羽商船黌として創立し、国内だけでなく世界に向けて船員養成を続けて百余年。同校の商船学科は連綿と紡がれたシーマンシップを船乗りの心のより所として、船と海で活躍できる技術者を育成している。
優秀な学生を輩出した練習船「鳥羽丸」は、6月までの運航。25年には地域利用として、災害支援機能を持つ新しい鳥羽丸(4代目)が竣工する。研究や地域連携などの活用で、学生に新しい思い出を届ける。
同校はこうした練習船をはじめ、操船シミュレーターや内燃機関・蒸気タービンなどさまざまな実習設備を持ち、学生は実際の機器に触れることで、知識だけではなく技術も確実に身につけられる。
商船学科は3年時に、航海と機関のコースを選択して進級し専門科目を学習する。機関コースではエンジンなどあらゆる機器を管理する機関士や機関長を養成する。エンジンだけでなく空調、電機、制御などの機械・機器のエキスパートを目指す。
窪田祥朗商船学科長は「海技士試験の知識だけにとどまらず、練習船実習や実験実習を通して技術力、応用力、人間力を身につけ、充実した学生生活を送ってほしい」と在学生を見守る。
同校は商船学科と情報機械システム工学科、専攻科(海事システム学専攻、生産システム工学専攻)を擁している。
25年4月から情報機械システム工学科に新設される高度情報工学コースでは生成人工知能(AI)やサイバーセキュリティー、DXなどデジタル分野に特化した人材育成を行う。
ディズニーがクルーズ船/日本最大級 2028年度就航
東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは7月9日、米ディズニー・エンタプラゼズ・インクと日本を拠点とするクルーズ事業に関するライセンス契約の締結を発表した。2025年度から造船を開始し、28年度の就航を目指す。建造費や開業準備費などの総投資額は約3300億円。
総トン数は約14万トン、客室数は約1250室、乗客定員は約4000人、乗組員数約1500人を予定している。日本籍のクルーズ船としては最大級で、首都圏の港を発着する短期航路が中心となる。乗客は食事や宿泊、キャラクターとの触れ合いなどを船上で楽しめる。
ディズニークルーズは米国で1998年に就航以降、現在5隻が運航している。