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精密・特殊ねじ
ねじは産業社会において重要な機械要素部品の一つで、自動車をはじめ建設、エレクトロニクス、医療などさまざまな業界で活躍している。その種類は電子機器に使われる小ねじから橋梁(きょうりょう)などに使われる大型ねじまで幅広い。中でも高速道路などの都市インフラや半導体の製造現場といった特定用途向けのねじには、より高度で特殊な機能性が求められている。
高速道路 耐振動性を重視
安全性・省力化を両立
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首都高速道路の締結部品には特に耐振動性が求められている
多種多様な用途先の中でも建設業界では、安全性はもちろんのこと、人手不足を背景に施工後の管理のしやすさに対する要求が高まっている。
特に高速道路では、常に振動や衝撃にさらされる厳しい環境にあり、万が一、標識や視線誘導標などが外れてしまうと事故につながりかねない。こうした事故を未然に防ぐためにも、ねじの性能面では緩みや脱落の防止に加え、強力な耐振動性が求められている。
メーカーの中には、首都高速道路(東京都千代田区)が設けている道路付属品用の独自規格「ゆるみ止めナットA種」を取得し、信頼性向上を図っている。この規格は米国の航空宇宙規格「NAS3350」や「NAS3354」を参考にした振動試験を採用。ナットに3万回の振動を加えた際の緩み、脱落の有無を試験する。
試験条件はナットのサイズが呼び径16ミリメートル(M16)、材質がステンレス材の場合は、締め付けトルク値が30ニュートンメートルとなっている。これはあるメーカーのM16ナットの推奨締め付けトルク値の約3分の1の数値で厳しい基準が設けられている。
こうした条件には、人手不足に伴い、作業現場でのトルク管理が難しく、戻り回転せず、締め付け状態の確認の手間を減らすといった背景がある。安全性と省力化の両立のためにも、ねじ部品への要求性能が高まっているようだ。
コーティング材で高機能化 スーパーエンプラ活用
エレクトロニクス分野では、AI(人工知能)関連の半導体需要がけん引し、今後も継続的な成長が期待される。
半導体製造装置向けのねじであっても、装置の安定稼働が最優先であるため、緩み対策は欠かせない。これに加えて成膜形成やエッチングなど製造工程の中で耐熱性や耐薬品性、耐摩耗性、耐プラズマ性などの性能が求められている。
成長市場に向けて、ねじ関連企業は半導体製造装置用のねじ製品を市場に投入している。八幡ねじ(愛知県北名古屋市)はコーティング材として「PIコート」「PBIコート」を提案している。樹脂の中で最高レベルの耐熱性、機械的強度を持つスーパーエンジニアリングプラスチックを活用。アルミニウムやステンレスなどの材質のねじに加工することで、耐プラズマ性や耐熱性、耐薬品性などの機能を付与できる。
一般的に半導体製造装置部品に使われているニッケル合金鋼は、レアメタルのため材料コストが高いのが難点。この代替の選択肢の一つとして、コスト削減を訴求する。
市場環境の変化とともに、ねじに必要とされる機能も変わっていく。こうした変化をとらえ、製品・技術を進化し続けるねじメーカー、商社の取り組みが社会基盤を支えている。
