-
業種・地域から探す
ねじと関連機器
ねじは自動車や工作機械、建設物、医療機器などさまざまな業界で活躍している。また家具や家電製品など日常生活のあらゆる場面でモノとモノをつなぐねじは、陰ながら安全を支える縁の下の力持ちのような存在だ。中でも建築用のねじは職人向けといった産業用途だけでなく、一般消費者向けのDIY(日曜大工)でも活用され、その用途は幅広い。
建築用ねじ プロ向け重点
下穴加工不要で負担軽減
-
第61回JAPAN DIY HOMECENTER SHOW2025の会場の様子
ねじの主要な用途先の一つである建設業界の市場をみると、建設投資は堅調に推移している。国土交通省が発表した「令和6年度建設投資見通し」によると、2024年度の建設投資は前年度比2・7%増の73兆200億円の見込みとなった。
こうした中、建設業界では労働者の人手不足と高齢化が深刻化している。24年4月から建設業界でも時間外労働の上限規制が施行され、今後も人手不足が加速するとみられる。このため、業界全体で作業効率化や省力化への対応が急がれる。これを受け、ねじ業界でも建設現場の人手不足対策を後押しする製品が多数市場に投入されている。
最近では職人もホームセンターで購入するケースが増えているという。8月21日から23日までの3日間、幕張メッセ(千葉市美浜区)で「第61回JAPAN DIY HOMECENTER SHOW2025」が開かれた。同展示会に出展していたねじ企業の中には、実際に製品のねじ締めを体験できるところもあり、プロ、一般向け問わず楽しめる催しが盛り込まれていた。中でも施工時間の短縮や施工品質の安定化、作業負担の軽減など職人の作業をサポートする製品の展示が目を引いた。
大里は自社オリジナル製品として下穴不要の石こうボード締結用アンカーを披露した。ねじやクギが効かない石こうボードに対して確実に取り付けできる。
手回しドライバーでアンカーを壁にねじ込み、ビスをアンカーにあてがい、締結する。アンカーの軸部には独自技術によってヒビを設けており、割れやすくなっている。ビスをねじ込むと、一定のところでアンカーの軸部が左右に割れ、軸部が割れる際に「パキッ」と音が鳴る仕組み。この音によって誰でも施工完了を判断できるようにした。
同社販売担当者は「今のキーワードは時短と施工性」と話す。この製品を使うことで、ビス締結の施工不良の予防につながる。
今後は改良を重ね、10月をめどに販売する予定。職人に限らず、DIY用途でも活躍する。
また八幡ねじは2種類のドリルねじをメインに出品。このうち、厚板用のドリルねじは独自の刃先形状により、M4サイズで最大厚さ6・5ミリメートルの鋼板まで締結可能。下穴なしでねじ締めが可能なため、1工程で施工が完了する。工場などの施設内の照明やスイッチの増設といった建設後のちょっとしたレイアウト変更など、手早く作業したいといったニーズに応えた。
同社は24年8月に職人向けの商材を扱うブランドを立ち上げた。建設業界の人手不足を背景に建設現場の作業効率向上につながる製品ラインアップを増やしていく。
梱包刷新し陳列を楽に
-
梱包の箱に切り取り線を入れ、入荷してそのまま陳列できるように工夫した(八幡ねじ 提供) -
フィルムに直接印字した新パッケージ(八幡ねじ 提供)
ホームセンターなどの小売店でも売り場の人手不足は課題となっており、商品の補充・陳列の時間を無駄なく減らせるかが重要になっている。こうした背景から、八幡ねじは売り場の従業員の負担を軽減する取り組みを進めている。
同社は梱包(こんぽう)の仕様を刷新。梱包の箱に切り取り線を入れたことで、入荷してすぐに陳列できるようにした。この梱包方法は以前から一部の商品に対して導入していた。導入してすぐの頃は売り場のスタッフがただの梱包と勘違いして、そのまま捨ててしまうことがあったという。そこで、梱包に記載する商品名の印字を大きくし、店頭広告(POP)としても活用できるように工夫した。今後も順次この梱包方法にシフトしていく。
また同社はフィルムパッケージの印刷工程の内製化を図っている。この印刷技術を活用し、フィルムに直接印字した新パッケージを使った製品を展開する予定だ。
新パッケージは幅が従来より5ミリメートル減の48ミリメートルまで削減。限られた売り場面積に対して、多くの商品を陳列できるようにした。無駄な資材を減らしたことで環境配慮にもつながる。また袋状のフィルムにチャックを備え、ねじを出し入れしやすくした。さらに、裏面にも印刷が可能になり、商品説明を入れるスペースが増えた。
こうした取り組みを通して、売り場の陳列作業の負担軽減を図り、ねじを提供する環境をより良くしている。
