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精密・特殊ねじ
ねじは日常のあらゆるモノに組み込まれ、社会基盤を支えている。用途先は自動車をはじめ、建築、医療、エレクトロニクス、航空宇宙分野といった最先端分野など幅広い業界で展開されている。中でも特定の目的で使われる精密ねじ、特殊ねじは、小型・軽量化や高耐食性、耐薬品性、緩み止めなどの機能性を強みとし、専門的な分野で活躍している。
高付加価値市場に重点
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PEEKを用いた樹脂ねじ(丸ヱム製作所提供)
精密・特殊ねじ類は精密機器・電子部品に使われる小ねじから建造物用の大型ねじまであり、専門的な業界のニーズに応えている。用途先の一つであるエレクトロニクス分野では、自動車の電動化や自動運転の普及に向けて、半導体や電子部品の継続的な需要が見込まれる。これに伴い、ねじメーカー各社では半導体製造装置や電子基板向けのねじを多数展開。特に高付加価値製品に重点を置き、競争力を強めている。
丸ヱム製作所はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を用いた樹脂ねじを売り出している。ねじのサイズはM3、M4、M5を展開。半導体製造装置をはじめ、医療、食品、洗浄装置などに向けて訴求している。昨年8月から本格的に在庫販売を始め、初年度の目標だった売上高1000万円を達成した。
PEEK樹脂はエンジニアリングプラスチックの中でも耐薬品性、耐熱性、耐摩耗性に優れ、安定しているのが強み。同社のこれまでの樹脂ねじ成形で培ったノウハウを生かし、自社で製造から検査まで一貫して対応している。同製品は温度変化によるPEEK樹脂の収縮を計算して設計しているため、金属ねじと同じような感覚で使用できる。
八幡ねじは電子基板のショート(短絡)を予防する基板取り付けねじを開発した。十字穴付きなべ小ねじと、ばね座金、平座金で構成されている。被締結部材に接触する平座金の角が丸くなっており、基板に傷がつきにくい。これにより、座金と基板の接触による金属粉の発生を抑え、基板のショートを防ぐ。
清浄度の検査では、JIS規格品と比べ、コンタミネーション(不純物)の数量が80%減少する結果となった。また表面処理技術によりウィスカーの発生も予防する。
さらに、一般的な基板の厚さである1・6ミリメートルの薄板の締結が可能。サイズはM3、M4、M5を受注生産で対応している。
また大判用の基板取り付けねじも開発し、受注対応している。大判用は段付きねじ、平座金、ゴム座金で構成される。熱サイクル(温度変化)の性能を重視し、特殊な形状のゴム座金を採用した。ゴムの力で振動や熱ひずみを吸収。熱膨張による反り、ねじれ、ひずみを軽減する。
ねじの中には緩み止めやいたずら防止などの機能を持たせたものがある。特に緩み対策は安全性に関わる重要な課題。ねじメーカーは、ねじの形状や素材などを工夫した製品を数多く市場に投入している。
丸ヱム製作所は金属ガラス製の極小ねじを開発した。素材がジルコニウムやアルミニウムなど4種の金属を配合したアモルファス合金のため、高強度かつ低弾性率を実現。このため、ねじ頭がつぶれにくい。さらに、振動などの衝撃にも強く、外力によってねじ軸部がねじれ、戻り回転するのを防ぐ。
今後は時計やウエアラブル端末など小型の精密機器向けに提案していく。