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ねじと関連機器
ねじは日常生活において欠かせない機械要素部品。普段は意識することは少ないが、家具や家電製品に加え、自動車、建築物、工作機械などに組み込まれ、産業を支えている。一方で、2024年4月から働き方改革によりトラックドライバーに時間外労働の上限規制が設けられた。これによる物流の停滞などの影響は、ねじ業界においても無関係ではない。今回は〝物流×ねじ〟をテーマに、「物流2024問題」でのねじ企業の現状と、物流効率化への取り組みを取り上げる。
物流問題、現状と取り組み
ねじは建設など大型ねじから、電子機器など小型ねじまで、幅広い種類がある。また1台の自動車に数千本使われているとも言われ、数多くのねじが日々流通されている。
トラックドライバーの時間外労働の上限規制が始まって約5カ月がたつ。配送料の値上げや荷待ちなどの問題が予想される中、ねじ企業でも「すでに2、3社値上げ交渉が始まっている」など、その影響を受けつつある。
池田金属工業の物流責任者は、「運送会社から事前告知があり、集荷が早まっている」また「リードタイムが(以前より)長くなっている印象」と話した。
同社は約30万点のねじ品種を取り扱う商社で、オリジナルブランド製品も約5000点展開している。オリジナルブランド製品は商品ごとにコードをつけており、在庫管理を効率化している。
多品種少量配送も対応
八幡ねじは業界に先駆けてコンピューターを活用し、バーコードによる商品管理を導入。またシステム制作を内製化し、独自システムを次々と開発するなど物流効率化を進めてきた。
中でも「ヤハタ・フレックスシステム」は、商品のピッキングを作業者が歩かずに行える。出荷指示が入ると、商品の入ったコンテナが自動倉庫からコンベヤーにより作業者の元まで運ばれる。その後の梱包作業は人が行う。さらに、多品種少量配送への需要増に応え、ねじ1本からでも出荷できる。
このシステム導入で、歩行作業が約30%削減。自律移動ロボット(AMR)も活用し、効率化を実現した。鈴木建吾会長は、「できるだけ人の仕事を楽にすることを考えている」と効率化へのポイントを語った。無駄な作業を省き、より生産性の高い作業に人を充てる方針だ。
人手不足解消に貢献
ねじ専門商社のサンコーインダストリーは、ロボットによる物流自動化への取り組みに力を入れている。同社は7月に自動配送ロボットを活用し屋外でねじを運ぶ実証実験を実施。ロボットが約100キログラムのねじを積載し、約230メートルの公道を往復走行した。
この実験は同社の東大阪物流センターから加工前のねじを加工業者まで運び、そして加工したねじを積んで戻るというもの。資本業務提携しているロボットメーカーと近畿大学との共同で行った。
実験の舞台となった東大阪市は、ねじ産業を含め、多くの製造業が集積する。製造業の高齢化が進み、人手不足が問題となっている中、省人化は喫緊の課題だ。
同社は、こうした実証実験を通じて、配送業務などの人手不足解消に貢献するとともに、地域活性化を目指している。