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6月1日は「ねじの日」
6月1日は「ねじの日」。社会において重要な役割を果たすねじを広く発信するため、業界団体の日本ねじ工業協会と日本ねじ商業協同組合連合会で組織した「ねじ商工連盟」によって1975年7月に制定された。6月1日とした理由は、49年(昭24)のこの日に工業標準化法が制定され、日本工業規格(JIS)にねじ製品類が指定されたことに由来している。
6月1日は「ねじの日」
ねじは多様な産業の根幹を支える機械要素部品の一つ。そんなねじの起源は紀元前までさかのぼる。ねじの形態をした最初の造形物はアルキメデスの揚水ポンプだと言われる。傾斜した筒の中に木板を螺旋(らせん)状に張り巡らせた構造で、回転させて水を低い場所から高い場所へくみ上げるために活用されていたという。また締結用のねじは、1500年頃、レオナルド・ダ・ヴィンチのノートにねじ加工の原理がスケッチされているのが起源とされる。今では産業社会だけでなく、日常生活でも欠かせない存在となっている。
ねじは自動車をはじめ、建築、工作機械、電子機器、医療機器など用途先は幅広い。中でもねじの主要用途先の自動車業界では減少基調が続いている。日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)がまとめた24年4月の新車販売台数は、前年同月比11・2%減の31万346台で、4カ月連続の減少となった。減少率は3月の同21・1%減より縮小した。認証不正問題による出荷停止が続いていたダイハツ工業は4月、国土交通省から全ての現行生産車種の出荷停止指示が解除された。生産・出荷の再開による今後の影響が注目される。
自動車業界は減少基調にあるが、燃費削減や電動化による軽量化の動きは今後も進むとみられている。電気自動車(EV)向けの部材には、軽量かつ高強度な炭素繊維強化プラスチック(CFRP)や高張力鋼板(ハイテン)など薄板の採用が進む。こうした影響によりねじメーカー各社でもCFRPやハイテンといった素材の締結用ねじも多数市場に投入されている。
もう一つの主要な用途先である工作機械業界でも、日本工作機械工業会(日工会)が発表した24年4月の工作機械受注実績は、前年同月比8・9%減の1209億200万円と、16カ月連続で減少した。一方で、外需の約3割を占める中国が自動車関連のまとまった受注もあり16カ月ぶりに増加した。
適切な締結条件 重要に
自動車や工作機械など安全性が特に問われる業界では、ねじの緩みや腐食、着座不良などトラブルの対策が不可欠。中でも緩みは重要な課題の一つとされている。こうしたトラブルが事故につながる恐れもあり、ねじは日常生活の安心・安全において重責を担っている。
ねじは締め付けた時に発生する引張力と被締結物にかかる圧縮力が釣り合うことで締結されているが、さまざまな要因で均衡が崩れると緩みやすくなる。ねじ部品の呼び径やピッチ、座面の形状、表面処理などのねじ部品に関わるものや、工具の状態などが緩みの原因になる。
締め付ける力も重要で、不良を起こすとねじの脱落の原因になることもある。このためねじを力強く締めればいいという訳ではない。ねじは適切な締め付けが施されてからはじめてその真価を発揮する。このため緩みを抑えるためには、ねじの種類や強度、座面の摩擦、締め付け方法、部材など、使用する環境に合わせて締結条件を選ぶ必要がある。