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埼玉SDGs特集
埼玉県では「国連の持続可能な開発目標(SDGs)」への機運が高まっている。県は「埼玉県SDGs官民連携プラットフォーム」や「埼玉県SDGsパートナー登録制度」の設置をはじめ、今年度より新たな展開も予定。民間企業も脱炭素・健康経営・働き方改革・地域貢献など取り組みを進める。大野元裕知事に今後の取り組みを聞くとともに、主要企業の動きを紹介する。
官民連携プラットフォーム設置 多彩な取り組み
埼玉県知事 大野 元裕 氏/企業認証制度や簡易公表ツール開始
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埼玉県知事 大野 元裕 氏
私は知事に就任して以来、あらゆる人に居場所があり、活躍でき、安心して暮らせる社会である「日本一暮らしやすい埼玉」を実現するため、多様なプレイヤーとの協働を通じてSDGsの推進に取り組んでまいりました。
具体的には、企業・団体や県民の皆様のSDGsの取り組みを促進するため、「埼玉県SDGs官民連携プラットフォーム」や「埼玉県SDGsパートナー登録制度」、埼玉版SDGs推進アプリ「エスキューブ」の運用などを行っています。
これらの取り組みに加えて、今年度は、経営資源が限られている中小企業であってもSDGsの取組状況を簡易に公表できるツールを展開するとともに、高いレベルで取り組んでいる企業を認証する制度を開始します。
引き続き、企業や県民、NPO、大学、金融機関、市町村などとの協働を強固なものとし、ワンチーム埼玉でSDGsを推進してまいります。
カネパッケージ/万博会場に間伐材再利用製品を設置
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カネパッケージグループや協賛企業を合わせ約100人が設置作業に参加
カネパッケージ(入間市)はコア技術の「究極の緩衝設計」を駆使し、製品を安心安全に包み運ぶことはもちろん、梱包材の小型化や省資源化、積載効率の向上など商品の開発設計から物流全般まで最大限の効率化に取り組んでいる。
同社は「さまざまな経験・体験」を大事にしており、企業の社会的責任(CSR)活動としてのフィリピンでのマングローブの植林活動や、希望する社員が参加できるボランティア活動などを積極的に行っている。
2025年3月には、間伐材をチップにして再利用し、製品を作る京都の企業と協力して、2025年大阪・関西万博の会場に椅子と机を合わせて400基設置。また、椅子にあるQRコードから協賛企業や行政へのホームページ(HP)へ飛べる仕組みも付けた。金坂良一社長は「万博に訪れる社員には“ウォーリーを探せ”のように、自ら設置した椅子や机を探して貰いたい。SDGsにもつながる取り組みで永年の記憶、記念として残っていけば」と語る。
久保井塗装/新たな塗装技術確立 新工場に導入
久保井塗装(狭山市)は、2035年までのカーボンニュートラル(CN、温室効果ガス排出量実質ゼロ)と廃棄物ゼロの実現を目指し日々奮闘している。
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超高塗着塗装(左)と一般塗装(右)の比較
22年度より、Go―techの支援のもと、「超高塗着塗装技術」確立のための研究開発を進め、プラスチック小物部品塗装で塗着効率85%を実現。併せて、高い外観品質やメタリック・マットでの塗装、騒音低減効果、省エネ効果なども確認できている。
この技術は新塗装ロボットとともに、新工場に導入する。新工場は、本社に隣接し建屋の長寿命化のための工夫も施す。具体的には、外壁に「ポリウレア」という強靱で外的要因による劣化が少ない素材を使うことを計画する。また、屋上や壁面に太陽光パネルを設置し、エネルギー自給率の向上を図る方針。
窪井要社長は「新たな塗装システムの研究開発も着々と進み、活躍が期待できる。新工場も“リーン・グリーン・コンパクト”を合い言葉に在り方を示したい」と語る。
大起理化工業/働き方改革への取り組みが評価
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災害対策への活躍が期待される多機能土壌水分センサ―
大起理化工業(鴻巣市)は、「土と水を守る」という経営理念のもと、土壌水分計などの環境測定機器を設計・開発している。直近では、土壌に埋設し、水分量や傾斜角が分かるセンサーの本格販売を開始。土砂崩れの研究などに役立ち、既に多数の引き合いも発生している。
また、2023年12月には「埼玉県多様な働き方実践企業」のゴールド企業に認定。初めて男性社員が育児休暇を3カ月取得するなど社内の産休・育休制度が整っている。そのほか、環境に配慮した水関係の仕事をしたとして「水循環ACTIVE企業」の認定、土壌水分センサーの「防災・減災✕サステナブル大賞 減災サステナブルアワード」にて優秀賞を取るなどさまざまな観点から、取り組みが評価されている。24年9月期には過去最高の売り上げ高となるなど、安定した事業展開とともに、働き方改革やSDGsに関連した取り組みも積極的に進める。
日東精密工業/健康経営で「ネクストブライト1000」取得
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ハイキングを通し社員間のコミュニケーションも深まる
日東精密工業(寄居町)は、精密切削工具の「ブローチ」やダイカスト金型の主要部品「鋳抜きピン」、昨今特に注力する金型事業の中でもさまざまな分野に使用されている「精密ゴム金型」など、高付加価値な製品の提供で自動車産業をはじめとする“日本のモノづくり”を支えている。
同社は健康経営にも積極的に取り組んでおり、健康経営優良法人2025として「ネクストブライト1000」を獲得。社内をあげて行うウォーキング・ハイキング・バトミントン・禁煙活動などの地道な取り組みが評価された。ほかにも毎年開催のゴルフコンペや、駅伝部の創設で2025年2月には2回目の駅伝大会への出場を果たすなどしている。主に健康経営チームがイベントの企画を行い、有志が集まって成り立ってきた。また若手社員の参加も多く、コミュニケーションの場としても役立っている。このような活動を続け、今後「ネクストブライト500」というステップアップした認定の獲得を目指す。