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県内中小企業の経営戦略を支援 第46回埼玉産業振興懇談会①
埼玉産業人クラブは11月11日に「第46回埼玉県産業振興懇談会」を開き、企業経営者と埼玉県幹部が意見交換した。「持続可能な企業成長を目指すレジリエント経営戦略」をテーマに、経営者からは事業継続計画(BCP)やサーキュラーエコノミー(循環経済)、M&A(合併・買収)戦略、人手不足への対応策などの意見・質問が相次いだ。これに対し埼玉県は、支援策や複数の実績を示した。埼玉県は今後も企業と連携し、さまざまな施策に取り組む姿勢を示した。
ーーーパネルディスカッション参加者ーーー
【産業界】
日さく社長 若林 直樹 氏
古郡建設社長 古郡 栄一 氏
日本伸管社長 細沼 直泰 氏
サン精密化工研究所社長 村上 守 氏
【埼玉県】
産業労働部長 目良 聡 氏
産業労働政策課長 内田 貴之 氏
産業支援課長 神野 真邦 氏
産業創造課長 坂入 康昭 氏
雇用労働課長 高橋 利維 氏
産業技術総合センター長 福田 保之 氏
産業振興公社理事長 神田 文男 氏
【司会】
日刊工業新聞社さいたま総局長 松之舎 茂喜
社会課題の解決・企業の成長 両立を応援/埼玉県 産業労働部長 目良 聡 氏
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埼玉県 産業労働部長 目良 聡 氏
46回目の開催となった埼玉県産業振興懇談会は、4人の経営者が各社の取り組むBCPなどについて講演。その後、埼玉県幹部らと意見交換をした。
目良聡産業労働部長は、意見交換の冒頭あいさつで「世界情勢の混迷が深まっている中、あらゆる変化に対応して成長し続けられる企業を築くことは非常に重要だ。県も支援していきたい」との姿勢を示した。
また、「企業の目指すべき方向性は時代とともに変化する。現在の世界の潮流はESG投資や、SDGs(国連の持続可能な開発目標)のもと、社会課題の解決と企業収益の両立が求められているのではないか」と指摘。「課題があるところにはビジネスチャンスがある」と強調した。埼玉県は2025年7月にイノベーション創出の拠点「渋沢MIX」をさいたま市内に設置する計画だ。こうした拠点などの活用を呼びかけ、「社会課題の解決と企業の成長の両立を応援していきたい」とし、あいさつを結んだ。
中小企業のBCP策定機運を醸成 アドバイザーが無償で支援/優れたBCP取り組み事例
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日さく 社長 若林 直樹 氏 -
埼玉県産業振興公社 理事長 神田 文男 氏 -
産業支援課 課長 神野 真邦 氏 -
日さく 若林直樹社長 BCP策定済みの企業においては、策定後に空洞化し、十分に機能していない場合は改善が必要となります。県で優れた取り組みを実施しているBCP策定中小企業の事例を紹介してほしいです。また県が「中小企業BCP優良取組事業所認定制度」を設けてBCPの意識を高めてほしいです。
埼玉県産業振興公社 神田文男理事長 県内企業のBCP策定率は全国と比較して低いのが現状です。そこで埼玉県産業振興公社では3人のBCPアドバイザーを配置し、中小企業のための簡易版BCP「事業継続力強化計画」の策定支援を無償実施しています。うち12の支援事例をホームページで紹介しています。「事業継続力強化計画」の認定期間は最長3年で、さまざまな優遇措置を受けられます。ただ経営環境の変化への対応が必要なため、現在は3年前に策定した企業に対し、計画のアップデート、支援が必要ないかを問い合わせています。今後アップデート事例も生まれるでしょう。また当公社は国土交通省版のBCPや中小企業庁版のBCPも有償で策定やアップデートの支援を実施しています。
産業支援課 神野真邦課長 「中小企業BCP優良取組事業所認定制度」はBCPを策定した企業のうち、実効性を高めるために実施している優れた取り組みを認定することで、BCP策定の機運を高めるものと認識しています。一方、県のBCP策定率は全国比で低いため、現在は企業に対してBCPへの意識を高める取り組みに注力しています。
若林氏 昨今の発災後の当該地域の状況を見ると、BCPを機能させることに関し単独企業のBCPで対応可能な範囲を超えています。今後は同じ地域の企業間の連携が必要で、地域連携BCPへの取り組みが急務です。単独では対応できない課題の解決に向けて、情報共有、相互支援などの体制を構築できます。ご検討お願いします。
神野課長 災害発生時には地域企業同士の連携、サプライチェーンでの連携などを通じ、事業を継続する視点が非常に重要です。そこで国は、複数の事業者で策定する防災・減災に対応する取り組みをまとめた「連携事業継続力強化計画」の認定制度を設けています。埼玉県産業振興公社は連携型の策定支援も実施しており、ホームページで複数事例を紹介しています。ぜひこうした事例をきっかけにBCPに興味を持ってほしいです。
