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財務局、経産局 地域経済の成長を支援
埼玉県のさいたま新都心には、1都9県の地域金融行政を担う財務省関東財務局と、1都10県の地域産業を支える経済産業省関東経済産業局が拠点を構えている。関東経済産業局の佐合達矢局長と関東財務局の目黒克幸局長の両トップに管内の現状や今後の取り組み、将来の方向性などについて語ってもらった。
関東経済産業局長 佐合 達矢 氏
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関東経済産業局長 佐合 達矢 氏
関東経済産業局は、「サポートします!!地域経済」のスローガンの下、地域企業の成長戦略やさまざまな経営課題への支援、適正な事業環境整備などを通じて、地域経済の活性化や健全な発展に取り組んでいます。
足元の関東地域の経済動向は、一部に弱い動きがあるものの、緩やかな回復基調にあり、賃上げの実現や設備投資に向けた融資も動き出しています。一方で、物価高、人手不足は事業者共通の課題であり、コロナ後の経営状況を見ると二極化の傾向にあります。成長に向けて挑戦する企業、事業基盤の再構築を図る企業など、さまざまな状況に置かれた事業者へのきめ細かな支援を関係機関とも連携して取り組むべき重要な局面にあります。
デフレ脱却、経済の成長局面への移行にあたっては、物価高を上回る賃上げを継続できるか、特に中小企業に賃金上昇の流れを広げられるかがカギとなります。その実現のためには、生産性の向上とともに、サプライチェーン全体で労務費を含めた価格転嫁・取引適正化を推進し、中小企業の賃上げ原資の確保につなげることが重要です。当局としては、「価格転嫁の円滑化に関する連携協定」に基づき、埼玉県や関係機関と連携し、「パートナーシップ構築宣言」の普及拡大や価格転嫁対策に関する情報共有、事業者間の取引実態の把握、下請法に基づく立ち入り検査の強化などに努めてまいります。
また地域経済は、中小企業の人手不足が深刻化する中、その解決にあたっては生産性向上や省力化を進めるとともに、これまで以上に多様な人材の活用が必要となります。当局ではイノベーションの創出支援や、IoT・ロボット等の導入を補助するカタログ型の「中小企業省力化投資補助金」などの支援策を展開しています。加えて、支援機関と自治体が一丸となって中小企業における多様な人材活用を推進する「地域の人事部」や地域金融機関と連携して企業のOB・OG人材を地域企業につなげる「新現役交流会」などの取り組みにより、中小企業や地域を支える人材の確保・育成・定着を支援してまいります。
さらに、地域経済の更なる成長のためには、地域経済の牽引役である「中堅企業」の成長を促すことが重要です。政府は2024年を「中堅企業元年」と位置づけ、中堅企業の経営力強化に取り組みはじめました。当局としても、中堅・中小業の活発な投資を促す「大規模成長投資補助金」や、各地域の支援機関と連携したプラットフォームの構築により、中堅企業の新事業展開や収益力向上を目指す支援を実施してまいります。
関東経済産業局は、これまでも現場主義を第一に地域の声に耳を傾け、DXやGXなどの新領域を含めてさまざまな分野において地域企業の挑戦や経営課題の解決をサポートしてまいりましたが、激動する経営環境の変化に迅速に対応するためには、自治体・支援機関・金融機関などともさらに連携を深め、これまで以上のスピード感を持って業務に取り組む必要があると考えています。職員一同、物事の本質を見定めて政策の立案・執行に努めることで、成長型経済の実現による地域経済の活性化に貢献してまいります。
関東財務局長 目黒 克幸 氏
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関東財務局長 目黒 克幸 氏
関東財務局は、関東甲信越1都9県で財務省・金融庁の施策を実施するとともに、「地域と歩み、希望ある社会を次世代へ」をスローガンとして、地域の方々の声をよくお聴きしながら、地域の課題解決にも貢献していくことを使命としています。
こうした業務の一環として、当局では管内の経済情勢の調査・分析結果を四半期ごとに「経済情勢報告」として取りまとめており、直近の埼玉県内の経済情勢についても11月7日に公表しています。7―9月期の乗用車新車登録台数が完成車メーカーの生産正常化の動きもあって3期ぶりに前年比でプラスに転じたこと等を踏まえ、個人消費に関する判断を上方修正し、県内経済全体に関する総括判断についても「持ち直している」と上方修正したところです。
金融行政に目を転じますと、コロナ禍を経て社会経済活動の正常化が進み、いわゆるゼロゼロ融資の大宗について返済が本格化する一方で、事業者の方々にとっては、物価上昇や人手不足への対応、さらにはいわゆるデジタル変革(DX)の推進など、経営課題が多様化してきていると認識しています。
こうした環境変化を踏まえ、管内の地域金融機関が事業者の抱える課題を的確にとらえ、資金面の支援にとどまらず、個々の事業者の課題に応じて、例えばコンサルティング機能を発揮するなど、質の高い支援・サービスを提供することが重要になってきています。
このため、当局としても、管内の地域金融機関による事業者支援を後押しする取組を進めてきており、本年1月には、現下の大きな課題の一つである価格転嫁に関する支援をテーマとして、地域金融機関向けに「価格転嫁サポートセミナー」を開催しました。
このほか、金融機関の担当者向けに定期的な勉強会の開催や動画配信などを行い、金融機関職員のスキル向上と関係者間の連携強化に取り組んでいます。引き続き、支援機関等とも連携しつつ、地域金融機関による事業者支援を後押しする取組を進めてまいりたいと考えています。
また、最近では、当局は経済安全保障関係の業務も担うようになってきています。財務省所管の外為法における対内直接投資審査制度において、経済安全保障に関わる一定の業種を営む日本企業に対して外国から投資が行われる場合には、国の安全等に係る技術などが流出することなどを防ぐため、外国投資家に対して事前の届出を求めており、本制度について、財務局でも制度の周知等の業務を行っています。
本年5月には、県内企業を対象に、広く経済安全保障全般をテーマとするセミナーを開催しました。引き続き、経済安全保障関係についても、県内企業にとって有用な情報の提供に努めてまいる所存です。
このほか、関東財務局では国有財産の管理処分・有効活用、地方公共団体への財政融資資金の貸付、自然災害時の復旧工事の査定立会など、幅広い業務を所掌しています。引き続き、管内の住民・事業者の方々に質の高い行政サービスを提供するとともに、当局の幅広い機能を有機的に活用しながら地域課題の解決にも貢献してまいります。
