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人が支える 彩の国
埼玉県産業界 持続可能な企業成長へ
衆院選挙での与党過半数割れや米トランプ前大統領の返り咲きなど、国内外の政治状況が大きく変化する中で、国際経済や国内産業の不透明感は今後さらに増すと見られている。埼玉県内の企業も原材料価格の高騰や人手不足、為替や金利の動向、税制の行方など、経営を取り巻く状況は予断を許さない。こうした環境の中で、持続可能な企業成長をいかに実現していくか。技術力を生かした新たなアイデアやチャレンジが求められている。
和光紙器/環境配慮型資材 100%リサイクル材使用
和光紙器(川口市)は段ボールなどの梱包・包装資材を手がける。現在はサーキュラーエコノミー(循環経済)を推進している。このほど100%リサイクルポリエチレン(LDPE)を使った環境配慮型資材「ポリエコレン」を開発した。内外で発生した廃プラをペレット化した後にシート状にし、真空成形によって製品化。生産過程で生じたロス材などは材料に戻し再利用するためゴミを発生させない。現在はポリエコレンシリーズとして複数の商品を開発・提供中だ。本橋志郎社長は「ゴミを出さない工場を目指している」と力を込める。
久保井塗装/環境配慮の塗装技術を提供
久保井塗装(狭山市)は、「カーボンニュートラルおよびサーキュラエコノミーの実現」を目指し、工業塗装業を通しつつさまざまなことに積極的に取り組んでいる。昨今は成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)の一環で、高い塗着効率を目指した工法の開発を先駆けて進めており、産学連携も含めながら毎週集まり意見を交換しながら研究を行っている。本社に隣接して新工場の建設も進行中で、新たな塗装ロボットの導入による省力・省人化や工場内の作りにも工夫を施し、環境に配慮し、高い塗装技術を引き続き提供していく体制を構築している。
DekiTech/たき火台開発 職人技術を集結
DekiTech(デキテク、八潮市)は埼玉県内の中小企業5社が立ち上げた異業種コラボ集団。金属加工や縫製、溶接など多様な技術を持つ職人が集まる。たき火台「炎満(えんまん)」は、職人の技術を集結させて開発した。地面からたき火台までの高さは約5センチメートル。低い位置で火をたくので足元から温まる。たき火を囲みながら調理もできるオプションパーツも用意。クラウドファンディングサイト「machi-ya(マチヤ)」で発売中だ。
サティス製薬/県花「サクラソウ」から化粧品原料
サティス製薬(吉川市)は埼玉県の県花「サクラソウ」の未分化細胞を使った化粧品原料を2025年春に製品化する。肌セラミドの最大成分「セラミドNP」と肌を紫外線から守る機能性エキスをサクラソウから取り出した。農学博士で研究部フェローの柚木恵太さん(写真右)は「植物からヒト型セラミドNPを生産する技術は世界初」と強調する。特許も取得済み。産学連携で埼玉県立杉戸農業高校の植物細胞培養技術を活用した。中村夏帆さん(写真左)は「絶滅危惧種や希少植物であっても少量の細胞から安定的に原料を作り出せるサステナブル(持続可能)な技術」と話し、他の植物にも技術を活用する計画。
