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越谷市
越谷市は埼玉県南東部に位置し、首都圏に近く生活や通勤に便利な都市だ。市内のレイクタウンエリアには国内最大級の商業施設があり、市外からも多くの買い物客が訪れる。製造業や物流、商業など多様な産業が集積する一方、中小企業支援や創業支援、企業誘致などで地域経済の活性化を図っている。福田晃市長に今後の産業振興や企業支援の方向性を聞いた。
市政二期目、地域経済の底上げ
—市長二期目となりました。力を入れたい取り組みは。
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福田 晃 越谷市長 -
産業振興を図る越谷市(越谷市役所の外観)
「産業振興を軸に、企業誘致や中小企業支援など地域の経済基盤を強化する取り組みを重点的に進める。これは将来的な税収確保と行政サービスの安定につなげるためだ。人口減少が続けば雇用の縮小や固定資産税の減少を招き、税収全体の落ち込みにつながる。その結果、持続的な行政サービスの提供に影響を及ぼす可能性がある。このため、地域を支える産業の力を長期的に高めていくことが必要だと考えている。例えば、現在、物流企業が進出を希望しても、高さ制限などの規制によって参入できないケースがあることから、制限緩和を検討している事案がある。また、越谷市は都心に近く、東埼玉道路の整備も進むなど交通利便性に優れており、物流に限らず多様な業種の受け皿となり得る」
—中小企業の支援策は。
「中小企業の成長支援にも引き続き力を入れる。越谷市独自の『ビジネスパワーアップ補助金』では、中小企業による新商品開発や生産性向上などの取り組みに対して経費の一部を助成している。例年多くの申請があり、厳しい経営環境の中でも成長・拡大に向けて新規事業に取り組もうとする中小企業が存在している。今後も意欲ある企業を積極的に支援していく。また、市民や中小企業が市内施工業者を利用して住宅や店舗を改修する際、工事費の一部を助成する『住宅・店舗改修促進補助金』も交付している。この補助金に関する、2024年度の改修工事費用は約2億8000万円となり、高い経済効果を生んだ。補助金申請者への住宅改修や中小企業の事業継続などに対する補助だけでなく市内施工業者への受注拡大効果もあり、ニーズも高いため、今後も継続実施していきたい」
「さらに中小企業の経営相談窓口として『ビジネスサポートセンターこしがや』を設置している。人材不足やデジタル技術への対応など、中小企業が抱える経営課題に向き合い、継続的な伴走支援を実施している」
—持続成長には創業支援も大切です。
「創業の活性化も越谷市の持続的な成長に欠かせない。『越谷市中小企業振興計画』で掲げる『創業しやすいまち』の実現に向け、『創業者支援補助金』の交付や『創業支援セミナー』の開催を進めている。また、『ビジネスサポートセンターこしがや』では創業相談にも対応しており、24年度は延べ560件の相談があった。事業計画の策定から販路拡大、資金調達まで、創業に関する多様な相談が寄せられている。創業支援は雇用拡大だけでなく新たな価値創出にもつながるため、今後も創業への機運を醸成するための支援をさらに充実させていく」
—物価高対策は。
「国の交付金を活用し、影響を受ける事業者の負担軽減を図っている。24年度は一般貨物自動車運送事業者などを対象に、事業継続や車両維持を目的として燃料費の一部を支援した。25年度も前年度の国の交付金を活用し、エネルギー価格高騰の影響を受ける市内企業を対象に、省エネ・効率化を目的とした設備導入・更新の経費や、業態転換・販売促進を目的とした改修工事費用を助成している」
—イオンモールと連携し、ショッピングモール『イオンレイクタウン』隣地にある河川の利活用を進めています。
「水辺空間の民間活用による地域活性化を進めている。レイクタウンの大相模調節池で取り組む『水辺deベンチャーチャレンジ』では、水辺のカフェや地域交流拠点となる施設の整備、水上アクティビティの充実などを計画している。現在は民間企業がSUP(立ち漕ぎボード)やカヤックのレンタル事業を実施中だ。店舗整備も進んでおり、25年度は越谷市でもインフラを中心とした周辺環境の整備を実施している。全体オープンは26年度を目指している」
「今後、大相模調節池では、地域の事業者や創業者がチャレンジできる場として、お試し出店やコミュニティーづくりを推進するための企画などが展開されていく。周辺に新たなにぎわいが創出されるように、さらなる魅力の向上を図っていく」
—24年にふるさと納税推進室を立ち上げましたが、進捗(しんちょく)は。
「都市部では、ふるさと納税による財源流出が行政サービスに影響を及ぼすことが懸念されている。越谷市も例外ではなく、看過できない状況にある。このため、ふるさと納税をさらに活性化させるべく、24年度は返礼品の新規開拓や寄附受け付けポータルサイトの拡充に重点的に取り組んだ。職員が市内事業者を直接訪問して返礼品登録を促したほか、事業者説明会を開催して品目の充実を図った。その結果、1年間で約400品の返礼品を増やすことができた。寄附受入額も大きく伸び、23年度の約5700万円から24年度は約2億6000万円となった。今後も地域産業の活性化を図るとともに、寄附受入額のさらなる拡大を目指す」
【メッセージ】 中島 美三郎 越谷商工会議所 会頭
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中島 美三郎 越谷商工会議所 会頭
越谷商工会議所は、前身の越谷市商工会から2016年4月に組織移行をし、今年度で10年目を迎えることが出来ました。これもひとえに関係各位のご理解、ご協力のたまものと厚く感謝申し上げます。
さて、地域経済は個人消費やインバウンド需要の回復など社会経済活動の正常化が図られデフレからの脱却を目指す一方、国際情勢の不安定要素に起因した原材料・エネルギー価格の高止まりによる生産活動コストの上昇への対応など、経営環境の先行きに不透明感が拭えない状況下にあります。
特に商工会議所会員の多くの中小企業・小規模事業者においては、賃上げへの対応や人材の慢性的な不足、適切な価格転嫁などの課題を多く抱え、より厳しい経営環境におかれています。
このような状況の中、越谷商工会議所は第2期中期ビジョン(21年〜25年)「『今』に応え、新たなつながりを創出する商工会議所」を掲げ、会員企業の活力強化、地域経済の活性化、組織力強化を推進すべく様々な事業を行っています。
令和7年度は特に、会員企業の持続的な成長を支援し、多様化する専門的な経営課題の解決を図るため、「こしがや企業応援プラットフォーム」を構成する支援機関の連携を一層強化し、DX・デジタル推進セミナーの開催や新規相談者の掘り起こしに取り組んでおります。
越谷商工会議所は、今般の役員改選により、11月1日から「中島丸」として新たな船出の時を迎えました。変化するニーズへ対応し【6000会員とともに】商工会議所事業の推進による活力ある地域社会の構築を目指すとともに、地域総合経済団体としての役割を役職員ワンチームとなり果たしてまいります。
