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樹脂コンベヤーベルト
樹脂コンベヤーベルトは軽貨物の搬送に使われ、主に食品工場や物流施設などで活躍している。特に物流現場では、人手不足を背景に作業の効率化や省人化・省力化が求められている。ベルトメーカー各社はニーズに応えた製品を開発し、現場の環境改善や生産性向上に貢献する。
省人化・省力化に貢献
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各用途に対応する機能を付加した製品「ミスターProキャリー」を開発(バンドー化学提供)
樹脂コンベヤーベルトは、一般に帆布などで作られた心体に、ポリウレタンや塩化ビニールでできたカバーを積層した構造。樹脂の材質や積層する帆布の枚数を変えることで、用途に合わせてさまざまな機能を付与できる。軽く柔軟で清潔さを保ちやすいため、食品の製造ラインや軽貨物搬送などに必要不可欠な存在だ。
軽搬送用といっても用途は多種多様で、それぞれニーズと課題がある。メーカー各社は、各用途に対応する特性を付与した製品を開発している。
特にさまざまな状態の食品を扱う食品業界では、食中毒や異物混入防止のため厳格な衛生管理が求められている。メーカーの中には衛生面での取り組みとして、ベルト表面を鏡面のようにすることで搬送残留物を拭き取りやすくするタイプを提供。これに抗菌・防カビや耐次亜塩素酸などの仕様をそろえる。異物混入対策では、糸ほつれしにくい仕様にするほか光透過性ベルトや視認性の高い青色系を使ったベルトを展開し、現場の衛生管理を支援する。
一方で、物流業界では深刻な人手不足と運送コストの上昇により、省力化および自動化が進められている。また、電子商取引(EC)市場の拡大に伴ってさまざまな搬送物が急増している。この物流業界で使用されるベルトには、スムーズな貨物移動と限られたスペースで高い搬送力を発揮する必要がある。例えば、傾斜搬送用ベルトは省スペース化と効率化を目的に導入されることが多い。このため貨物を滑らせない高いグリップ力やメンテナンスのしやすさ、低騒音性などが求められる。水平搬送用ベルトの場合は高速搬送に耐える糸ほつれ防止性、反り防止性などを付与し、搬送トラブルの軽減に貢献する。
ニーズに応えた製品開発
これらのニーズに応え、あるメーカーは蛇行防止桟を取り付け可能な光透過性ベルトを開発した。発光ダイオード(LED)などの光源を使用して製品の異物や不良の検査が可能だ。従来品を改良し、より幅広い用途での使用が可能になった。
また別のメーカーは軽搬送向けに低騒音性と横剛性に優れたベルトを開発した。使用材料や加工方法を見直すことで低騒音性を実現し、横剛性も従来品と比べてより向上した。水平ライン、傾斜ライン、インダクションラインなどそれぞれ用途に対応する機能を付加した6製品をラインアップする。このように、メーカー各社は付加価値の高い製品開発で搬送でのトラブル発生を予防し、安定稼働と高効率な搬送をサポートする。
昨今、物流だけでなくさまざまな業界が人手不足の課題を抱えており、省力化・自動化への対応が急務となっている。
細やかなニーズに応えるベルトメーカーの取り組みが搬送ラインを安全に保ち、搬送物の品質安定化と生産性向上に貢献している。
