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再生プラスチック
日本では長年にわたり使用済みプラスチックをプラ製品に再生するリサイクル技術を確立し、普及してきた。しかしいまだに多くのプラスチックは再生されずに廃棄、焼却されている。最近では脱炭素化などの流れを受け、ようやく資源として循環利用しようという気運が高まってきた。
再生品、多彩な用途
プラスチック循環利用協会の調べによると、2022年は国内の廃プラスチック総排出量が823万トンあり、そのうち再生利用されたのは180万トン(22%)だった。再生利用向けの原料は産業系廃プラが多くを占める。
樹脂原料メーカーから排出される規格外品や樹脂加工業から出る端材などは、樹脂の種類がはっきりしていて品質が一定であり、排出量も安定しているので原料にしやすいためだ。そのほか物流に使用されるパレットや梱包用のフィルムなども再利用されている。
これまで廃プラを原料にした再生加工品は物性が低下する、品質が不安定であるなどの短所があったが、原料となる廃プラの品質管理、配合技術や加工技術の向上によりこれを克服し、現在では建設用資材から農林水産用資材、包装用資材、日用品までさまざまな用途に使われている。
廃プラの再生加工では、まず回収したプラスチックを選別する。その後不純物を除去し、粉砕、洗浄したものを溶融して粒状にしたもの(ペレット)を原料にして製品化する。このリサイクル方法はマテリアルリサイクルと呼ばれる。
需要・供給側で連携
国内の循環利用量を増やすには、再生プラの品質確保、安定供給、トレーサビリティー(履歴管理)の明確化など、需要側と供給側の連携が必要だ。
今年7月に再生プラの利用拡大を目指す任意団体「サステナブル・プラスチック・イニシアチブ(サスプラ)」が設立された。会員は現在110程度。一方、サスプラが事務所を置くサステナブル経営推進機構では、適正なマテリアルリサイクルシステムの要件を満たす工場・事業所を第三者が認証する「SPC認証制度」を立ち上げた。現在、パイロット認証を実施しており、25年度から本格的に運用を開始する見込み。
サスプラは再生プラの需要側と供給側が企業規模を超えてフラットな立場で連携し、品質確保や安定供給につながるSPC認証の拡大、環境性能指標の策定などにより、再生プラ市場の健全な拡大を目指す。こうした活動により、生産から廃棄までのライフサイクル全体で捉えたプラスチック資源循環メカニズムの構築が進むことが期待される。
廃棄せずー資源に再生
これまで工場や倉庫から排出、廃棄していたプラスチックは、適正に分別すれば資源になる。リサイクル業者は無償または有価で廃プラを引き取っているため、排出事業者側は処理費用を抑えられる。プラはゴミではなく資源になりうるので、リサイクル業者が再生加工しやすいよう、分別に協力したい。
ストレッチフィルムを製造する野添産業は、06年から本格的にリサイクル事業を始めた。同社は使用済みのストレッチフィルムを回収し、再びストレッチフィルムなどの製品に再生している。ストレッチフィルムは倉庫業での梱包、運送業での積み荷の固定などに使われる。
同社管理部の東内克馬氏は「当社はゴミの回収ではなく、資源を買い取るというスタンス」と説明する。排出事業者側で紙ラベルやセロハンテープなどを取り除くなどの協力を得て、不純物の少ないフィルムを回収している。回収拠点は福岡、奈良、愛知、茨城、千葉、埼玉、神奈川にある。
不純物が少ない使用済みフィルムを原料とし、水を使った洗浄を伴わない独自の再生加工により、再生原料の含有率が高いフィルムの製造を実現している。東内氏は「今後は回収網を強化し、再生製品のラインアップの充実も図りたい」と意気込む。