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鉄道の日
10月14日は「鉄道の日」。鉄道は輸送力や定時制に優れた公共交通機関として、現代社会に不可欠な交通インフラだ。高い安全性と信頼性を確保しながら、利便性向上を図るため、車両、軌道、管制、架線・電力設備、予約・発券など多くの要素を統合した巨大システム技術として進化を続けている。運行に伴う二酸化炭素(CO2)排出量が少ないという優れた環境特性などに大きな期待が寄せられている。
【鉄道大賞】 神戸市交通局/地域と鉄道のストーリー
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「KOBE KAWARU ACTION」の集中広告を展開した三宮駅コンコース階(神戸市交通局提供)
「鉄道の日」は1872年10月14日、新橋—横浜間に日本初の鉄道が開通したことにちなみ、1994年に定められた。国民の鉄道に対する理解と関心を深めることを目的に、鉄道事業者や関係団体、国などが毎年全国各地で多彩な行事を実施している。
国土交通省は9月に鉄道に関する施設設備・サービス・映画・アートなどさまざまな取り組みを対象とした「日本鉄道賞」の受賞者を発表した。24回目となった今回は神戸市交通局による「KOBE KAWARU ACTION 駅から神戸をよくしよう」が日本鉄道大賞に選ばれた。
神戸市の人口は2011年の154万5000人をピークに減少傾向へ転じている。9月現在で148万6000人となっており転出者の増加が深刻な問題となっている。同市では都市ブランドの価値を高めることで流入人口の増加を図ろうと「リノベーション・神戸」プロジェクトに取り組む。その一環として「駅周辺のリノベーション」が策定されたのを機に、神戸市営地下鉄を運営する神戸市交通局では「駅から神戸をよくしよう」をコンセプトにした広報キャンペーン「KOBE KAWARU ACTION」を開始した。
第1弾として、開業から半世紀近くが経過し、定期清掃では落としきれない汚れが目立つ壁や床、天井の大掃除を行う「駅を丸洗い」編を実施した。第2段ではすべての駅トイレを洋式化し、シャワー式の温水洗浄便座や便座クリーナーを設置。さらに使用頻度に応じて1日の清掃回数を増やすことで、常に清潔なトイレ環境を利用者に提供する「トイレこそキレイに」編を展開した。
第3段ではこれまで土日祝などに限定されていた、大人1人につき同伴の小学生2人まで乗車が無料になるエコファミリー制度を通年で実施する「こども無料!?」編を行った。駅のリノベーションに取り組む第4弾「駅、ヘンシン!」編では、これまでに新長田駅、三宮駅、名谷駅、西神中央駅が完成し、27年には板宿駅が完成する予定だ。
鉄道輸送でCO2 11分の1
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モーダルシフトの推進に貢献する「EH500形電気機関車」(JR貨物提供)
国交省によると23年度の日本のCO2排出量は9億8900万トンとなっている。運輸部門が1億9014万トンで19・2%を占めており、そのうち貨物自動車は7283万トンを排出している。
物流の貨物輸送手段をトラック輸送から、より環境負荷の小さい鉄道や海運に転換することを「モーダルシフト」という。鉄道コンテナ輸送は営業用トラックに比べてCO2を約11分の1しか排出しない。そのため環境に与える負荷を軽減し、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を実現するために重要な取り組みの一つとなっている。
また、貨物列車1本で大型トラック65台分に相当する650トンの貨物量を輸送できるため、トラックドライバー不足の解消にも貢献する。24年4月に働き方改革関連法の適用拡大によりドライバーの時間外労働時間に上限が課された。「物流の2024年問題」として、人手不足や効率化が依然として課題になっている。その解決策としてモーダルシフトを推進することが有効な手段とされている。
貨物列車は決められた走行速度で時刻表通りの正確な運行を行っている。線路での輸送は渋滞などのトラブルもないため、計画的な出荷を行うことができる。鉄道輸送は輸送距離が長いほど割安になり、一度に大量の貨物を輸送できるため、長距離輸送では物流コストの削減も期待できる。
現在、JR貨物と全国通運連盟は「鉄道コンテナ利用キャンペーン2025」を実施している。キャッチフレーズは「レールがつなぐ地球の未来、やさしく便利な鉄道コンテナ輸送」。全国の展示会で鉄道コンテナ輸送の仕組みやメリットを紹介するなどして、鉄道コンテナ輸送のさらなる認知度向上と利用促進を目指す。
引退T4 ドクターイエロー/幸せの黄色い新幹線 名古屋で展示
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絶大な人気を誇る検査車両ドクターイエロー
JR東海とJR西日本は、これまで電気設備や軌道設備の定期的な検測を新幹線電気軌道総合試験車(通称ドクターイエロー)を使用して行ってきたが、同車両の老朽化に伴い、その役割を終える。
ドクターイエローは「新幹線のお医者さん」と呼ばれる。通常運行では一般客は乗車することができず、運行ダイヤも公表されていなかったため、鉄道ファンなどの間では「見れば幸せになる」と言われ長年親しまれてきた。JR東海が保有するT4編成は25年1月に引退。JR西日本が保有するT5編成は27年以降をめどに引退する。T4は01年9月から運用を開始し、05年に登場したT5と交互に走行して東海道・山陽新幹線(東京—博多駅間)の安全・安定輸送確保のために検測を行っていた。
なお、T5については引退する27年までは10日に1回のペースで引き続き走行する。また、T4に搭載していた検測機器を予備機として残し、T5の運用を補完する。T5引退以降の後継車はなく、現在同車両で行っている検査はN700Sに導入される営業車検測機能により代替される予定。
引退したT4の先頭車にあたる7号車は名古屋市港区の「リニア・鉄道館」に搬入され、6月14日から常設展示されている。現役時代には決して体験できなかった車内の見学が可能で、運転席体験などのイベントが行われることもあるという。
鉄道技術展/11月26日 幕張メッセ
鉄道・交通システムや車両、旅客サービスなど鉄道分野に関わるあらゆる技術が集まる「第9回鉄道技術展2025」が11月26日から29日までの4日間、千葉市美浜区の幕張メッセで開かれる。主催は産経新聞社。開場時間は10時から17時まで(29日は16時まで)。入場料は2000円(招待券持参者・事前登録者は無料)。
