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雷害防止対策技術
落雷の被害(雷害)の多くは8月に集中しているが、日本海側では冬季にも多くなっている。雷害は直接落ちた物的損傷だけでなく、落雷地点の周囲に発生した「雷サージ」と呼ばれる過電圧・過電流によって、〝知らないうちに落ちていた〟ということが少なくない。デジタル変革(DX)化や自動化が進む生産現場で雷害を受ければ、生産・物流ライン全体が停止して大きな機会損失につながるため、雷害防止対策はますます重要になっている。
電源・通信設備の対策カギ
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音羽電機工業はさまざまなニーズに応える
SPDをそろえる(「JECA FAIR
2024」音羽電機工業ブース)
雷害は大きく「直撃雷」と「誘導雷」に分けられる。直撃雷は一般的に言われる落雷で、建築物や樹木、人などの物体に直接落ちる現象。建物の損傷や火災の原因になり、人名を奪う危険性もある。建築基準法によって高さ20メートル以上の工作物・建築物には避雷設備を設置することが義務付けられている。
一方、雷害の多くは誘導雷によるものと言われている。誘導雷は落雷が起こった周囲の電線などに雷サージと呼ばれる過電圧・過電流が発生すること。雷サージが電源線や通信線などを経由して建物内部に侵入して、電機・電子機器や通信機器の破損、誤動作、データ損失を引き起こす。
その影響範囲は広く、雷鳴が聞こえる範囲には危険性がある。機器の内部が損傷するため、気づかないうちに被害に遭っていることも少なくない。近年は電子機器が高性能化、小型化、省電力化によって低電圧で動作するため、低いレベルの雷サージでも故障しやすい。また電源、通信、回路のネットワーク化で雷の侵入経路が多様化し、雷被害が増加している。
対策には通信線を光ファイバーにするなど絶縁化する方法のほかに、雷サージの侵入経路ごとに避雷器(サージ防護デバイス=SPD)などを取り付ける方法が採用されている。対策は義務化されていないが、事業継続計画(BCP)の観点から不可欠だ。
SPDは電源用、通信・信号用があり、雷の電流を大地に流すとともに雷の異常電圧を電子機器の耐電圧以下に抑えて故障を防止する。想定する雷撃や接続回路、機能などによりクラス・種類を選定する。
耐電圧が弱い機器やサーバーなど、より重要な機器に対しては、SPDよりも保護性能の高い耐雷トランス(サージ・アイソレーション・トランス=SIT)で対策を行う。
定期的な更新・メンテ重要
SPDを設置しているにもかかわらず、適切に設置されていないために被害に遭うケースもある。設置の際は施設の設計者や雷害対策のコンサルタントなどに相談することが望ましい。また、SPDやSITは保護する機器の手前に取り付けて侵入する雷サージを処理し続ける消耗品のため、日頃のメンテナンスや定期的な更新が欠かせない。
近年は雷サージを検出すると遠隔で通知を送るサービスの開発なども進んでいる。被害の最小化に向け、〝正しく設置して適切な管理をする〟ことが重要になる。