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正しく設置、適切に管理
次世代機器の誤動作・破損防ぐ
雷害は大きく「直撃雷」と「誘導雷」に分けられる。直撃雷は一般的に言われる落雷で、建築物や樹木、人などの物体に直接落ちる現象。建物の損傷や火災の原因になり、人命を奪う危険性もある。
建築基準法によって高さ20メートル以上の工作物・建築物には避雷設備を設置することが義務づけられている。しかし20メートル以下の建物でも落雷の可能性はあるため、自主的に設置することが望ましい。
かつての電気学会技術報告によると雷の年間被害額は、工場が操業停止するなどの二次災害を含めて1000億円から2000億円と推定されている。日本雷保護システム工業会(JLPA)が過去に調査した「火災保険に占める雷被害額指数」(二次被害額を除く)では、工場の被害額が最も多く全体の約6割、次いで一般住宅が約2割を占めている。
こうした雷害の多くは誘導雷によるものと言われている。誘導雷は落雷が起こった周囲の電線などに”雷サージ”と呼ばれる過電圧・過電流が発生すること。雷サージが電源線や通信線などを経由して建物内部に侵入して、電子機器や通信機器の破損、誤作動を引き起こす。
その影響範囲は広く、雷鳴が聞こえる範囲には危険性がある。機器の内部が損傷するため、気づかずに被害に遭っていることも多い。近年の電気製品は低電圧化しているため、低いレベルの雷サージでも誤動作や故障を起こしやすい。また電源、通信、回路のネットワーク化で雷の侵入経路が多様化し、雷被害が増加している。
対策には通信線を光ファイバーにするなど絶縁化する方法のほかに、雷サージの侵入経路ごとに避雷器(サージ防護デバイス=SPD)などを取り付ける方法が採用されている。
SPDは電源用と通信・信号用があり、雷の電流を大地に流すとともに雷の異常電圧を電子機器の耐電圧以下に抑えて故障を防止する。想定する雷撃や接続回路、機能などによりクラス・種類を選定する。
近年は監視カメラやセンサーを用いた遠隔管理などの普及により、通信用SPDの需要が増加するとともに、次世代通信システムに対応した製品開発が行われている。またSPDの劣化が遠隔でもわかる製品や、落雷の検知時刻を記録して見える化する製品なども開発されている。
耐電圧が弱い機器やサーバーなど、より重要な機器に対しては、SPDよりも保護性能の高い耐雷トランス(サージ・アイソレーション・トランス=SIT)で対策を行う。電源用と通信・信号用があり、雷の異常電圧を遮断して電子機器を保護する。
機器の故障は電位差が発生するために起こる。電流は電位の高いところから低いところへ流れるため、建物内のすべての金属導体を共通に接続し、等電位ボンディングを図ることも重要だ。別接地とする場合には接地間用SPDを用いて等電位化する。
JLPAによると、SPDを設置しているにもかかわらず、適切に設置されていないため被害に遭うケースも少なくない。また、SPDやSITは保護する機器の手前に取り付けて侵入する雷サージを処理するため、雷サージの大きさによっては劣化する場合がある。
一度取り付ければ良いのではなく、定期的なメンテナンスが欠かせない。被害を最小化に抑えるためには、”正しく設置して適切な管理をする”ことが重要になる。
再生エネ・住宅の対策重要
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「JECA FAIR2023」では再生可能エネルギー分野への対策が紹介された(㊤音羽電機工業ブース ㊦昭電ブース)
今後、雷から保護する必要がある対象としては、脱炭素社会に向けて再生可能エネルギーや電気自動車(EV)などの分野が増加すると考えられる。太陽光発電システムや風力発電設備は屋外に設置され、雷害のリスクが高い。また設備・機器の復旧には費用も期間もかかり、操業停止による機会損失も大きくなることからしっかりした対策やメンテナンスが求められる(写真)。
さらに現状では、働き方改革の進展で在宅ワークが増え、会社と自宅間の情報伝達がインターネットを通じて行われている。
「火災保険金の請求に使われ、第三者機関が発行する『雷害証明書』の発行は個人からの依頼が多い」(JLPA)という。にもかかわらず、住宅への雷害対策機器の設置はまだまだ普及段階といえる。誰でも簡単に対策を施せるコンセントタイプの対策機器もあり、JLPAは住宅の雷害対策を強く推奨している。
