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ポンプと関連製品(2024年2月)
労働人口の減少、働き方改革などの影響により国内の職場では自動化・省人化が注目されている。しかし食品加工の現場では衛生管理、安全管理、製品固有の条件、小ロット対応など容易に解決できない課題が多い。当社では従来の大型固形物移送用のインナーボルテックスポンプに加え、昨年度、高粘性液に対応する「二軸スクリューポンプGemiL(ジェミル)」の販売を開始した。
高粘性液に対応する二軸スクリューポンプ
食品加工とポンプ
二軸スクリューポンプは、ケーシング内に左右対称でかみ合いながら回転する2本のスクリューアセンブリーが平行に配置され、ケーシング内壁と2本の回転するローターの間に形成されるチャンバー(密閉空間)が連続的に平行移動する。
そのため移送物にせん断力がかからず、食材を傷めず食感を損なうこともない。また軟弱な固形物や高粘性液、ゴマのような細かい粒子の混ざる液、沸点近くの臨界液、多量に気体を含む液、そのほか高粘性液移送など難しい条件を克服する。
さらにメンテナンス性に優れ、非接触回転構造のため金属粉やゴム粉の発生がなく、食の安全を守り大幅なコストダウンを実現する。
優れた経済性
非接触回転ポンプで内部に接触、摺動(しゅうどう)する部品がなく(メカニカルシールを除く)、金属粉やゴム粉などの異物の発生がなく、長寿命で信頼性が高い。正常な運転であれば長期間連続運転が可能で、定期的な部品交換は不要となる。トータルでのライフサイクルコストを大幅に削減できる。
ポンプのL寸が短く設備の設置スペースを最小化し、工場敷地の有効活用と生産設備の増強を図れる。またメンテナンススペースと設備配置に余裕ができ生産性の向上につながる。
6本のカバーボルトを外すだけでポンプ室内部が露出し、短時間で内部点検、洗浄が容易にできる。これにより生産設備のダウンタイムを大幅に削減できる。
標準仕様で高自吸に対応が可能。NPSHr(必要吸い込みヘッド)は0・1メートル(低粘性液使用時)で、高温液や揮発性液でも押し込み配管なしに吸引が可能となり、設備費を大幅に削減する。
安全性の確保
安全性に関する特徴は次の通り。
非接触回転式構造で、ポンプ内での異物の発生がなく、食の安全を守る。
脈動、振動が少なく背圧弁(オプション)の併設により、理想に近い無脈動を実現し、牛乳、豆乳、果汁などの高精度瞬間殺菌を実現する。
低―高粘度の液に対応する。1台のポンプで送液と大流量・高圧の定置洗浄(CIP)を実現し、システムの簡素化によりコストを抑え、信頼性を向上する。
このような特徴を持つ二軸スクリューポンプにより、食品をはじめとする工場の省人化・重労働環境の改善を実現し、さらに市場の要望を吸い上げ改善に努めていきたい。
【執筆】ニクニ 営業管理課 リーダー 藤林 順氏