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破砕・粉砕技術
工場の製造工程で発生する廃材やスクラップ、家庭から出るゴミなどを安全、かつ円滑に効率よく処理する破砕・粉砕技術は、資源の有効利用に欠かせない存在で、循環型社会の構築に重要な役割を果たしている。異なる種類や形、大きさの物質を砕き、目的に応じた粒度や形状にすることで、リサイクルしやすくする。こうした技術は資源の少ないわが国にとって大きな力となり得る。近年、破砕・粉砕の対象物が多様化する傾向が強まっており、機器メーカーでも顧客の細かなニーズに応える製品開発が進められている。
ニーズに応える製品開発
破砕機は固形廃棄物の処理の起点とも言えるところで活躍している。破砕機には1軸破砕機、2軸破砕機、ハンマー破砕機などがあり、目的とする処理後の対象物の大きさによって仕様が異なる。金属をはじめ、ガラス、木材、プラスチックなど処理対象は幅広く、形状、サイズもさまざま。このため、金属向けやプラスチック向けなど素材や用途ごとに各種の破砕機、粉砕機が提供されている。
製造業向けは製品の製造工程で出る金属くずや樹脂スクラップなどのリサイクル用途が多い。旋盤加工の工程などから大量に発生する金属くずは、かさばって場所を取り、現場の安全確保の邪魔にもなる。このくずをラインサイドなどに設置した破砕機で細かく砕き減容化することでコスト面も含め、効率が高められる。
自治体向けは粗大ゴミの処理からペットボトルの再資源化などまで、処理の目的や処理量に合わせた装置・機器が市場投入されている。
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樹脂ブロック向け小型粉砕機「XUGM5—360KGH」(ホーライ提供) -
粉砕機「DB—3048型」(ホーライ提供)
顧客ニーズへの対応を目指し、装置・機器の省エネルギー化や小型化も進められている。破砕・粉砕機メーカーのホーライ(大阪府東大阪市、鈴木雅之社長)は昨年、樹脂ブロック向けの小型粉砕機「XUGM5—360KGH」を開発した。特殊構造の回転刃を採用することで、従来機よりも少ない力での粉砕を可能にした。このため、小型モーターを搭載できるようになり、省エネ、省スペースが実現した。
モーターの小型化で消費電力は従来機の半分の11キロワットに低減。外装部品を同社の標準品から流用することで、従来の大型機と比べて生産コストも抑えた。原材料費や電力料金の高騰を背景に、低コスト・省スペースでの導入が可能なマテリアルリサイクル機械として拡販する。
一方で、処理が困難な樹脂ブロックのリサイクルを可能にする粉砕機「DB—3048型」も製品化している。DBシリーズの粉砕機はブロックを刻みながらカッティングする方式で、大きな樹脂ブロックでも低馬力で粉砕でき、騒音や振動の低減、機械の長寿命化も可能にしている。
国内の人手不足が深刻化するなか、破砕・粉砕機および周辺機器においては遠隔操作・監視、ロボット、AI(人工知能)といった新技術の導入が盛んに行われている。メーカーは今後もニーズの変化にいち早く対応することで、新たな市場・需要の取り込みを図っていく構えだ。
